ラム肉は不飽和脂肪酸が多い

ラム肉が健康にいいとされる理由の2つ目は「不飽和脂肪酸」だ。現代人にとってとくに気になる体の数値がコレステロール。これ自体はホルモンや神経細胞の材料として、人間の体を維持するのに必要なものだが、問題は過剰となることだ。

 コレステロールが過剰になると血液中に必要以上に入り込んで粘度の高い血液にしてしまい、また血管の壁に付着して血管内部を細くし血流を妨げる。その結果、高血圧や動脈硬化を起こし、心筋梗塞や脳卒中、糖尿病などの生活習慣病を引き起こす原因となる。そうしたコレステロール過剰の引き金となるのが肉食とされているわけで、牛肉、豚肉、鶏肉、羊肉などを食べて動物性脂肪を摂取する場合には、必ず付いて回る問題だ。

 ところが、牛肉・豚肉・鶏肉と羊肉の間に一線を画しているものがある。それが不飽和脂肪酸である。この成分を他の食肉に対して格段に多く含んでいるのが羊肉なのである。

 イワシやサバ、アジなどの青魚に多く含まれているこの成分は「コレステロールを減らす働きに優れている」とされている。したがって、コレステロール過剰を気にするならラム肉を選択することをお薦めするという話になるのだ

脂肪燃焼を促すカルニチン

ラム肉が健康にいいとされる理由の3つ目。それは「カルニチン」である。動物性タンパク質に含まれるアミノ酸の一種で、羊肉や牛肉、馬肉や魚のカツオ、牛乳などに含まれているが、とくに羊肉には多く含まれている。

 カルニチンの健康的効果とは、「体内の脂肪を燃焼させる働きに役立つ」ということである。体内で脂肪酸からエネルギーを取り出すのは、細胞の中にあるミトコンドリアという“工場”だが、この工場に脂肪酸を運び入れる機能を持つ唯一のアミノ酸がカルニチンだ。これが多ければ、脂肪酸の“燃焼”を促すことに役立つはずだというわけだ。

 カルニチンはヒトの体内でも生成している。しかし、20歳をピークに年々生成能力が落ち、体内のカルニチン量が少なくなっていく。脂肪を運ぶカルニチンの量が少なくなれば、工場であるミトコンドリアの中に入る脂肪の量も減って、燃焼できなかった脂肪は体内に蓄積される。反対に、カルニチンを食事によって補給すれば脂肪の燃焼が促されて、脂肪は体内に蓄積しにくくなり、肥満防止となる上に、肥満が原因となる生活習慣病の予防にもつながると考えられる。

 カルニチンの健康的効果はまだある。近年、アスリートの間でカルニチンが注目されている。それというのも、カルニチンを毎日一定量摂取すると、体内に取り込める酸素の量が増え、運動が長く続けられるようになるとされるからだ。また、カルニチンは筋肉中の疲労物質である乳酸を減少させる働きもあるので、激しい運動をより長く続けることができるという。

 さらには、カルニチンは体内で代謝されると新たに「アセチルカルニチン」という物質に合成される。これには脳細胞を再生する働きがあるので、脳の活性化につながるといわれている

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