プレッシャーに勝つ人、つぶされる人の違いとは

ある人は、ここぞというときに実力を発揮して、周囲に認められて伸びていく。別の人は、いつもチャンスを逃し、どんどん自信をなくして萎縮する。その分岐点はどこにあるのでしょうか。「プレッシャーに勝つ」人は、プレッシャーをどう利用しようかと考える。「プレッシャーに潰される」人は、プレッシャーからどう逃げようかと考える。“プレス”とは英語で“圧力”です。我々人間にとって、プレッシャーはある意味で圧力となる要因です。人は、いろんなものがプレッシャーになるわけです。

 たとえば、ある人にとってみれば「今から雨が降るぞ」という情報が「雨降ってもらっちゃ困るな」となる。それがすでにプレッシャーになるわけです。また違う人にとってみれば、同じ「今から雨が降るぞ」が、「あ、今日はこれで休める」「うわ、ラッキー」とノープレッシャーになる。一つの情報でもある人にとってはプレッシャーになるけれど、またある人にはまったくプレッシャーにならないということがあるのです

そのプレッシャーを感じた人にとって、本当にそれが悪い情報なのか、というとそうではありません。実は我々人間には、「向上性」といって、「よりよく生きる」という脳のプログラムがありますが、プレッシャーがかかって一旦“ひずみ”が出ると、人間の脳はそのひずみを回復させよう、よりよく生きていこうとします。そういうプログラムが発達しているから、プレッシャーを感じる期間はあっても、その期間を越えたときにより強い自分に生まれ変われるわけです。

 プレッシャーに勝つ人は、プレッシャー自体をうまく利用しているわけです。たとえば逆境になればなるほど強くなる人はまさにその典型。「よっしゃ、ここで一発」とか、「よっしゃ、来い」と、何か燃えてくる感じの人というのは、まさにそのプレッシャーをエネルギーに変えて奮いたっていく状態。だから、プレッシャーはマイナスイメージではなく、ある意味で自分を高めていくためのエネルギーなんです。

 だけど、プレッシャーに潰される人はプレッシャーを感じた時点で、もう自分で「自分は弱い人間なんだ」「ダメなんだ」となってしまう。たとえば、我々現代の人間はマニュアルに囲まれている。こうなればこうなっていく、という答えがあるのが当たり前になっている。マニュアルで育てられた人間は、プレッシャーがあると「自分はどう対処したらいいのか。どうしよう…」と、答えが出せない状態におちいって、プレッシャーが来ないほうへ流れていく。どんどん自分を狭めていくわけです。

 プレッシャーは自分を育ててくれる、伸ばしてくれるものなのに、それを避けたら無意識に自分を潰すわけです。だからプレッシャーをどうエネルギーに変えていくかがすごく大事なんです。

打たれ強い人は、土壇場でも「緊張」の使い方を知っている

リラックスしているときなら何でもないことが、ここ一番のかんじんなときにできなくなってしまう。よくあることです。このように、大事さを意識しはじめたときに緊張やプレッシャーを感じる。それはつまり、「今から自分の力を発揮するんだ」という気持ちの副産物(燃料)ともいえます。緊張はうまく利用すれば普段以上の力を生むエネルギーとなります。トップレベルのスポーツ選手が「緊張を楽しむ」のはまんざらかっこつけではなく、真実なのです。

 たいていの人は緊張コントロールのトレーニングをしていないから、緊張すると自分を失ってしまうかのように思う。「緊張してはダメだ」「みっともないぞ」と自分の状態を否定するのに忙しくなり、その葛藤からとんでもない状況になってくる。自分を否定しようとすると、潜在意識がそちらに向かって動き出してしまうのです

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