古来、皇室にも献上されていた果物「ムベ」

「ムベ」は漢字では「郁子」と書き、古来より「無病長寿の霊果」とされ、天知天皇の御世、毎年この実が献上されていたと伝えられています。食べると長生きするという言い伝えから“不老長寿(不死)の実”とも言われ、昭和50年代まで皇室に献上されてきたそうです。「ムベ」の実には甘味があるので、砂糖のない時代には甘味の材料としても使われていました。

「ムベ」はアケビに似た植物ですが、アケビとは異なり常緑性です。アケビは、熟すと果皮が裂けて開きますが、ムベでは熟しても果皮は閉じたままで開きません。果実はアケビに似て長さ10cm前後の長楕円形となり、秋に熟すと暗紅紫色となって食べられるようになります。

日本では古くからアケビなどと共に果実として親しまれてきたとされていますが、現在ではほとんど市場に流通していません。ただ、山に自生している物や庭木などにも用いられているので目にする機会はあるかもしれません。

不老長寿の果物と言われる所以

名称の由来には諸説あるそうですが、滋賀県近江八幡市に残る伝説に「ムベ」が登場します。天智天皇が蒲生野(古代近江の歴史地名)に狩猟で訪れた際、現在の近江八幡で8人の男子を持つ健康な老夫婦と出会ったそうです。その時その老夫婦にどうすればそのような長寿でいられるのか尋ねたところ、この地でとれる無病長寿の霊果を毎年秋に食べているからだと言い、それを差し出したそうです。これを食べた天智天皇が「むべなるかな(いかにもそのとおりだなあ)」と仰せられたとか。その時の「むべ」がその後その果実の名称になったと伝えられているとの事です。また、それ以来朝廷に毎年献上されるようになったとされています。

不老長寿の効果とは、、、

「ムベ」の主な栄養成分は、茎葉に配糖体スタントニン、ムベニン、果実にはベータ・シトステロール、アミリンなどが含まれています。茎や根の乾燥したものは野木瓜(やもっか)という生薬で利尿薬となります。また、中国では果実や種が駆虫薬として用いられています。強心作用、利尿作用、通経作用、抗炎症作用、腎臓炎、膀胱炎、浮腫の薬としての効能があるとされます。

また、果実は、スタミナ果実として、精がつくともいわれ、脚気や脳卒中の予防薬としても利用され、不老長寿の果物とも言われています。

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