カルシウムといえば?という質問をすれば、牛乳を1番最初に思い浮かべる方は多いと思います。育ち盛りのお子さんに牛乳を毎日飲ませているという方もいるかもしれません。しかし、残念なことに、牛乳だけでは必要なカルシウムの量をまかなうのは難しいそうです。カルシウムの99%は骨や歯に存在していますが、残りの1%は血液中や細胞内に、カルシウムイオンとして存在しています。血液中や細胞内に存在するカルシウムは微量ですが、神経の情報伝達や細胞増殖の制御や筋肉の収縮、血液の凝固などに関る大切な役目を担っています。健やかな身体をつくるためにも、カルシウムは欠かせない存在です。今回は、カルシウムが本当に必要な理由についてまとめました。

バランスよくカルシウムを取るコツ

カルシウムをバランスよく摂るコツは、1つの食品だけで、1日に必要なカルシウムを全て摂ろうとしないことです。カルシウムを摂ろうとするあまり、1つの食品に偏り過ぎると、どうしても栄養バランスが崩れてしまいます。たとえば、前述した通り、牛乳から1日に必要なカルシウムをすべて摂取しようとすると、コップ6杯分もの牛乳を飲む必要があります。
かといって、本当に毎日、それだけの量の牛乳を飲み続けていれば、乳脂肪を摂りすぎてしまいます。脂質過多は肥満を引き起こす原因になりますし、場合によっては、高コレステロール血病や糖尿病などの生活習慣病を引き起こす要因の一つになりかねません。このように、1つの食品から栄養を摂取しても、栄養バランスはうまく保てなくなり、健康に悪影響を及ぼすことがあるのです。

カルシウムの吸収率

カルシウムは食材によって吸収率が異なります。牛乳やチーズなどの乳製品からは40~50%ほど吸収できるのに対して、小魚は30%程度、ほうれん草や小松菜などの緑黄色野菜は20%ほどです。しかし、単に吸収率だけで考えるのもよくありません。たしかに吸収率は牛乳に劣るものの、小魚にはカルシウムの吸収を助けてくれるビタミンD、緑黄色野菜にはカルシウムと共に骨を強くしてくれるビタミンKが含まれているため、単独では吸収率が多くなくても、カルシウムの働きは強化されるのです。このように考えると、カルシウムは、体への吸収率だけでなく、カルシウムの吸収を助ける栄養素とのバランスを考えることも大切です。

カルシウムが必要な理由

① 骨粗しょう症を防ぐ
カルシウムの体内への吸収率は、腸の機能の衰えから、年齢が上がるごとにどんどん低下していきます。カルシウムを多く摂取しているつもりでも、健康診断や骨密度の検査ではカルシウムが足りていないと診断されてしまうのは、こうした理由もあります。特に、女性は骨粗しょう症に注意する必要があります。骨粗しょう症とは、骨の密度が低くなり、少しの衝撃でも骨折しやすくなってしまう病気です。

② 動脈硬化
カルシウム不足は、骨粗しょう症だけでなく、高血圧、動脈硬化などのさまざまな疾患の原因のひとつにもなると考えられています。血液中のカルシウムが不足すると、身体は副甲状腺ホルモンを分泌して、骨からカルシウムを呼び出します。骨のカルシウムがどんどん溶けだしてしまい、次第に骨はスカスカになってしまうのです。骨から溶けだしたカルシウムは、血液に移動します。血液中に大量のカルシウムが流れ、血液のカルシウム濃度をあげます。

③ 成長期の骨の成長に影響
成長期の子どもは、1年間で5㎝以上身長が伸びることは決して珍しくありません。子どもの骨は、柔らかい軟骨からカルシウムやリンなどの骨の材料になる栄養素をどんどん取り込むことで、太くて丈夫になります。骨の成長は子どもの身長の伸びにも大きく関わっており、特に成長期には骨や歯の主成分となるカルシウムを十分に摂取することが求められます。

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