コーギー

●ウェルシュ・コーギー・ペンブロークの歴史

「ウェルシュ コーギー」とひとくくりにされている犬には、紀元前から歴史のあるカーディガン種と、日本でも大変人気のあるペンブローク種の2つがあります。同じようにイギリス・ウェールズ州を原産とする大変よく似た犬なのに、実はその成り立ちや祖先犬はまったく違います。

日本でもテレビ番組やCMにたびたび登場し、知名度の高いのがウェルシュコーギー・ペンブロークです。
ウェールズのペンブロークシャーにいたことで、その名がつきましたが、いつからそこにいたのかは実ははっきりとしていません。
有力な説として、1107年頃、当時のヘンリー1世が招致したチャネル諸島の職人が連れて来たとされています。さらにその祖先はバイキングが連れていた北欧のスウェーディッシュ・ヴァルファントとも言われています。スウェーディッシュ・ヴァルファントは、コーギーと同じような短足胴長であり、チャネル諸島にはバイキングがたびたび訪れていた経緯があるため、ペンブロークの成立に深いかかわりがあると考えられています。
初期のペンブロークは牛追いの牧畜犬として、土着のスピッツなどと交配して改良されていました。その後、ヘンリー2世のペットとなってからは、繁殖家の手によって改良が進み、現在のペンブロークに近い形になったようです。2種類のコーギーとイギリス王室の関わりは深く、現在の女王エリザベス2世もペンブロークを大変可愛がっています。
女王陛下の愛犬としてイギリスほか、世界で人気を博したペンブロークですが、現在のイギリス国内では、絶滅の危機にあるとされています。コーギーはもともと尻尾がある犬で、ペンブロークは生後間もなく断尾をしますが、動物愛護精神の高いイギリス国民は近年これを受け入れられず、ペンブロークの繁殖をやめてしまった繁殖者が増えているというのです。

一方のカーディガン種は、ペンブロークと同じく、牧畜犬として働いてきましたが、断尾の習慣がなく、尻尾のあることが普通とされてきました。
体格はペンブロークより大きく、茶色の単色と白の組み合わせに限るペンブロークと異なり、黒やブリンドルも認められています。
カーディガン種はペンブロークよりずっと早く、紀元前1200年頃と伝えられています。中央アジアのケルト人が、ヨーロッパを経由してイギリスにわたった時に連れてきた犬とされ、ダックスフンドと同じ祖先であるという説もあります。
ペンブロークと同じウェールズ州の山間のカーディガンシャー地方で飼われていたものが、1925年頃にその存在が表面化し、1933年にジョージ6世がペットとして飼っていたことから、世間に広く知られるようになりました。
この当時はまだ、ペンブロークもカーディガンも同じ犬種と考えられていました。同じウェールズ地方の犬ということもあり、両方を交配することもあったようです。
しかし、体の大きさや毛色、尻尾の存在などで、同一の犬種標準で計ることが難しくなり、原産国であるイギリスのケネルクラブは、1943年、別々の種類のコーギーとして登録することになりました。
以降、日本も含め海外の多くの国で、ペンブロークとカーディガンは別々のコーギーとされています。


●ウェルシュ・コーギー・ペンブロークの飼い方

コーギーは短毛ですがダブルコートで下毛(アンダーコート)が密集していますので、喚毛期は抜け毛があります。
ブラッシングは週に2~3回以上は行ってあげましょう。

本来、攻撃的な面は少ない犬種ですが、運動量や作業、飼い主とのコミュニケーションが少ないと、ストレスによって攻撃的になることがあります。
運動が好きでアジリティやフライングディスクなどドッグスポーツで活躍するコーギーもいるほどです。
運動は毎日しっかり行い、しつけによるコミュニケーションも子犬の頃から行いましょう。

牛の脚を咬んで動きをコントロールするという牧畜犬の特性として、人の足が気になって咬んでしまう個体もあります。子犬の頃から人の足を咬んではいけないことを教えましょう。小さなお子さんがいるおうちではよく注意することが大切です。

シェパード

●ジャーマン・シェパード・ドッグの歴史

日本でも警察犬として知られているジャーマンシェパードですが、現在のジャーマンシェパードが作出されたのは19世紀末から20世紀初頭にかけて、第一次世界大戦の少し前のことでした。
この犬種を作出するにあたって、世界中の優秀な使役犬が候補となりましたが、基礎犬として選ばれたのは、ドイツの農家で古くから飼育されてきた牧羊犬でした。現在のジャーマンシェパードと区別するために、原種を意味するオールドを冠にして「オールド・ジャーマンシェパード」と呼ばれるこの牧羊犬は、牛と羊の牧畜管理はもちろんのこと、荷物を引いたり、番犬となったり、物を回収したりと多様な働きを見せます。その知的能力と運動能力の高さに目を付けたドイツの軍人・ステファニッツ氏により繁殖計画がなされ、新しい犬種の作出が始まりました。徹底的な作業性の向上と訓練性能の向上を目的に交配を繰り返した結果、生まれたのが現在のジャーマンシェパードです。
1899年、ドイツにジャーマン・シェパード・ドッグ協会の初の総会において、作出者ステファニッツ氏の主導により、最初のスタンダード(犬種標準)が作られました。

ジャーマン・シェパード・ドッグ協会は、本種のスタンダードを厳重に管理し、繁殖に際して厳しいルールを与え、より優秀な個体が選択交配されることで、短い間に能力が向上することになりました。
そして第一次大戦以降、戦時下では優秀な軍用犬として働き、第二次大戦時は世界中で20万頭ものジャーマンシェパードが働いていたという記録もあるようです。日本に入ってきたのもこの頃で、軍用犬として入ってきましたが、きちんとした訓練が必要であるため、犬の訓練所もこの頃から盛んになったという歴史があります。
戦争が終わると、ナチス・ドイツの軍用犬であったというイメージから、原産国のドイツではジャーマンシェパードの虐殺すら行われたと伝えられています。しかし、軍用犬として海外に渡っていたシェパードたちは、優秀で多彩な能力を生かして警察犬や番犬などに少しずつ「転職」が行われていました。
怖そうに見える外見ですが、実は服従心と忍耐力が強く、きちんと訓練すれば家庭犬としても素晴らしいパートナーであるため、20世紀になるとアメリカでは、映画出演を重ねる「俳優犬」シェパードの人気により、一時はAKC登録数1位になるほどたくさん飼育されていました。

現在のジャーマンシェパードは、なんでもできる「ユーティリティ・ドッグ」として、様々な分野で活躍しています。優れた嗅覚と洞察力を生かして、警察犬や麻薬探知犬など犯罪捜査の現場や、災害救助の現場で働き、盲導犬としても使われます。
訓練競技会の場では近年、ボーダー・コリーやラブラドールレトリーバーが増えていますが、常に上位を独占するのはやはりジャーマンシェパードで、犬のプロである訓練士を育成する時にも欠かせない存在です。
犬をよく知っている犬通(つう)こそが好む犬種として、日本でも家庭犬として改めて見直され、安定した人気を保っています。


●ジャーマン・シェパード・ドッグの飼い方

シェパードを家庭犬として飼育する場合は、屋内で人間のそばに置きましょう。自分に与えられた役割や家族の求めているものを考えるようになり、信頼できる家族の一員となるでしょう。
反対に、家屋の外などで放置して飼育すれば、精神的な緊張から防衛能力や警戒心を前面に出すようになり、番犬としては優秀でも家庭犬としては不安定な性格になってしまいます。
目的に沿った飼育方法を行うこと、指示を与える人間とは訓練により強い信頼関係を築くことが、シェパードには一番大切です。

また、問題行動につがなるストレスをためないよう、運動はしっかりと行う必要があり、朝晩1時間ずつの散歩をしてあげたいものです。

シェパードは短毛であっても、ダブルコートのため、意外と抜け毛があります。できれば週に3回程度はしっかりとブラッシングをしてあげましょう。

ビーグル

●ビーグルの歴史

のほほんとしたキャラクターで知られるスヌーピーは「世界一有名なビーグル犬」ですが、ビーグルはハウンドドッグであり、もともとはたくましい猟犬です。ハウンドドッグの中で最も小さく、14~15世紀ころからウサギ狩りに使われてきました。ビーグルは、13世紀ころから存在しているとされるハーリアや、ハーリアの祖先犬とされ11世紀ころから使われてきたイングリッシュ・フォックスハウンドの血を引いていると考えられており、容姿と毛色だけを見れば互いによく似ています。

イギリスの小説「カンタベリー物語」に、著者チョーサーにより記述されている犬もまたビーグルであるとされていますが、物語の中では「小さなハウンド犬」と書かれ、ビーグルという名前になったのは16世紀頃のこととされています。
エリザベス1世女王は、所有していた小型の猟犬たちを「歌うビーグルたち」と呼び、ジェームス1世は彼の妻に宛て「親愛なる小さなビーグルへ」という書き出しで手紙を書いていたと伝えられています。
名前の由来は諸説あり、フランス語やケルト語で「小さい」という意味、またフランス語で「大声を出す」という意味もあるとされています。

これとは別に、17世紀頃のアメリカにも、ビーグルと呼ばれる名前の犬がいました。この犬はバセットハウンドのような姿をしており、バセットよりも足が長いことで、イギリスのビーグルたちといくらか似たような外見ではあったようです。
しかし、1860年頃にアメリカにもビーグルが輸入されるようになると、アメリカでもたちまち人気の犬となり、アメリカに在来していたビーグルたちの人気に取って変わってしまいました。
以降、ビーグルはアメリカンケネルクラブの登録数ランキングのベスト10入りが続く、人気の犬種となって現在に至っています。
原産国のイギリスでも大変多くの愛好家たちがおり、ドッグショー以外にも、本来の役割である猟犬としての能力を審査する「ワーキング・セクション」というイベントが行われ、犬質の向上を図っています。


●ビーグルの飼い方

ビーグルは体の大きさの割には、かなりの運動量を欲する犬種です。できれば1日1時間以上の散歩をしてあげたいものです。運動不足では太りやすくなります。
嗅覚を利用して獲物を追いかけるハウンドドッグですので、散歩中などに匂い取りを始めると、夢中になってその場にしがみついてしまうことがあります。
子犬の頃から、制止をよく教えておくのが良いでしょう。

平和主義者で、飼い主にも家族にも大変愛情深いですが、休息の場である室内で子どもにしつこくされることは苦手です。子どものいる家庭では、ケージやクレートなどのテリトリーを用意してあげましょう。
また、ビーグルは集団行動をする犬なので、留守番は非常にさびしがります。子犬の頃からケージやクレートに慣らすことで、分離不安症防止に役立ちます。

短毛で毛の手入れは楽です。週に1度くらいブラッシングをしてあげるのが良いでしょう。

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