運動連鎖とは!

運動連鎖(キネティックチェーン:kinetic chain)は
姿勢や運動・動作の分析もしくはエクササイズを処方する上でよく用いられる概念で

「ある関節の運動が他の隣接する関節へ影響を及ぼす」という意味で、

筋骨格
スポーツ医学
神経リハビリ
装具
などを含む広範囲の臨床状態で使用されています。

特に理学療法の分野において、
評価や病態の原因を把握するために用いられている、
人間の動きを分析するために用いられるコンセプトです

運動連鎖の定義

遠位セグメントが自由に動かせる関節の組み合わせ」
オープンキネティックチェーン(open kinetic chain:OKC)

「遠位セグメントが自由運動を禁止(固定)された関節の組み合わせ」
クローズドキネティックチェーン(closed kinetic chain:CKC)

OKC(開放運動連鎖)とは

・OKCの特徴とは?

OKC(open kinetic chain)は手先や足先が固定されておらず、自由に遠位の関節を動かす事が出来る運動の組み合わせです。
そのため、日本語訳では「開放的運動連鎖」と言われます。

・OKC(開放運動連鎖)の利点

OKCは、特定の筋肉や関節をターゲット(分離)して、リハビリやトレーニングを集中的に行う事に優れています。

負荷量
動作範囲
スピード
などを容易かつ安全・効果的にコントロールすることができ、特定の運動制御の改善、強度の向上を得意とします。

低負荷でしか運動強度をかけられない場合
高強度で運動強度を増加したい場合
特定の関節範囲のみ焦点を合わせて強化を図りたい場合
特定の関節の可動スピードを訓練したい場合
などにOKCは効果的です。

・OKC(開放運動連鎖)の欠点

人間は地面に足をついて生活をするため、しばしば、OKCでの訓練は身体機能の改善に直接的に結びつきません。

特に下肢・体幹機能においてはその傾向が強く、上肢においても機能的な動きを獲得するためには、CKCで機能的な動きが出来ている事が、多くの場合、必要となってきます。

つまり、OKCのみのリハビリやトレーニングだけでは、日常生活における機能的な身体機能を獲得しにくいため、必ずCKCエクササイズを組み込んだプログラムが必要となります

CKC(閉鎖運動連鎖)とは

・CKCの特徴

CKC(closed kinetic chain)は日常生活やスポーツの動きと似ているため、OKCよりも機能的です。

手先や足先が固定されているため、地面からの反作用を受けながら関節を動かす運動の組み合わせになります。

そのため、日本語訳では「閉鎖的運動連鎖」と言われます。

・CKC(閉鎖運動連鎖)の利点

CKCは、障害の回復を目的としたリハビリやトレーニング、スポーツパフォーマンスを向上する事に優れています。

関節の安定
筋肉(固有)感覚の向上
一度に複数の筋肉・関節を協調的に働かせる能力
などを獲得しやすいCKCエクササイズは、組織の治癒の促進と運動機能向上の両方に貢献する、最も効果的な方法です。

・CKC(閉鎖運動連鎖)の欠点

OKCと比べてCKCは、一度に複数の筋肉と関節の動きが組み合わさるため、体の動きが複雑化するだけでなく、体を動かす神経系統までを包括して評価・処置する必要があるため、セラピストの能力に依存されやすい傾向があります。

筋肉
関節
神経
バイオメカニクス
などの幅広い知識と技術を駆使した上で、個別の特異性に基づいた適切な評価と処方を行うための

観察力
分析力
洞察力
も重要なファクターになります。

CKCはOKCに比べて機能的な動きではあるものの、間違った評価・処方は、関節や筋肉の負担を増やしてしまうだけでなく、間違った神経系統の運動パターンを学習してしまいます。

そのため、CKCは非常に高度な運動方法とも言えます

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