プラスネジの利点

プラスネジの利点はネジに対してまっすぐにドライバを当てなくても力が込められるという点で、奥まったところにあるネジでもプラスネジは回せます。
そして、プラスドライバーはどんなに力を掛けても横滑りすることも無く、作業上の危険も回避できるのです。
現在、世に出回っているネジのなんと9割はプラスネジだそうです。
ではマイナスネジはどのような場面で使うのでしょうか。

マイナスネジが残っている理由

プラスネジのシェアが9割なのに、なぜマイナスネジが存在しているのか。それは、プラスネジの唯一の弱点である、「汚れが溝につまったら取れにくい」というのがポイントです。
プラスネジは強く締めこむというネジ本来の役割で考えればベストな形ですが、一度溝に汚れがつまったり、それが原因でさびついたりするとドライバーが入らなくなり、二度と抜けないやっかいなネジになってしまうのです。そのため、泥や水垢などの汚れが最初から想定される場所では、比較的簡単に汚れをかき出せるマイナスネジを使用していることが多いそうです。
腕時計は今でもマイナスネジがつかわれています。
腕時計が作られるようになった1920年代には、まだマイナスネジしかなく、ヨーロッパを中心とした高級腕時計メーカーにおける古くからの職人たちの手仕事の証となっていたそうです。このことから、腕時計にかぎってはマイナスネジのほうが高級感やクールなイメージがあり、デザインの面で現在の製品にも積極的に採用されることがあるそうです。

プラスネジの話に戻りますが、
プラスネジの歴史は1935年と浅く、アメリカのヘンリー・F・フィリップスという技術者によって発明されました。
マイナスネジの歴史はかなり古く紀元前400年前後と言われていて、彼が発明するまで誰も「+」のネジを思いつかなかったそうです。彼はマイナスネジを締める時にドライバーが滑ったり、ネジの溝が潰れたりして、そのたびに腹を立てていたことがプラスネジができたきっかけみたいです。
「ネジの頭をプラスにすればうまくいくはずだ」という彼のひらめきで
1935年に特許を取得しましたそうです。
彼の思った通り、プラスネジはドライバーが滑らずしっかりと締め付けられると評判になり、世界中に広まっていきました。
開発者にちなんで、今でもプラスネジのことを英語で「フィリップス・スクリュー」といったりしているそうです。
日本の場合、1952年にヨーロッパの自動車産業を視察してきたホンダ創業者の本田宗一郎がプラスねじを持ち帰り、一気に広めることになったと言われています。
それまで日本の工場ではマイナスねじを手作業で締めていましたが、プラスねじなら圧縮空気による機械作業で締めることが可能で、これを採用したことにより飛躍的に生産効率の向上が可能になったそうです。

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