ロシアンブルー

●ロシアンブルーの歴史

ロシアンブルーはロシアに土着していた猫が祖先と言われ、北極圏に近いアルハンゲル(Archangel)島の原産という説もありますが、定かではありません。彼らがイギリスに入った頃は、アルハンゲルキャットと呼ばれ、英語読みのアークエンジェルキャットという名前で1880年代からイギリスのキャットショーに出陳されていました。ロシア皇帝やイギリスのビクトリア女王の寵愛を受けた猫とされ、高貴で美しい容姿は猫愛好家の心を捉えて繁殖が盛んになり、1912年にはフォーリンブルー(外国の青猫)という名前で独立したクラスになりました。
19世紀後半から20世紀前半、戦争の時代は世界中で食糧難であり、ペットの猫たちも個体数が少なくなっていきました。ロシアンブルーも例外ではなく、純血を維持できないほど激減してしまいました。そのため、戦後はロシアンブルーを復活させるために、異種交配の試みが始められることになりました。
美しいブルーの毛色を求める繁殖家はブリティッシュショートヘアなどの猫種と、小さな頭と大きな耳を持つ頭部から肩へのシルエットを求める繁殖家はシャムと、それぞれ交配を行い、最終的にはこれらもひとつの血統に統合されていくことになりました。ちなみに、この時交雑に使われたシャムはブルーポイントの毛色でしたが、劣性遺伝子のため、通常ロシアンブルーの交配で生まれることはあまりありません。しかし、両親ともシャムの毛色の遺伝子を持っているロシアンブルーを交配に使うと、21世紀の現代であってもシャムの毛色の子猫が生まれることがあります。戦後、シャムとの交雑が行われて数世代の頃はさらに出現頻度が多かったことから、ロシアンブルーの人気は過熱することなく、落ち着くことになりました。
20世紀初期にはアメリカにわたりましたが、アメリカの繁殖家はイギリスで交雑が行われていたロシアンブルーと、スカンジナビアに残っていたロシアンブルーを輸入して、これらの交配により育種を行ったと言われています。


●ロシアンブルーの飼い方

ロシアンブルーは若猫の頃の運動量は多く活発で、人間に遊びを要求することもしばしばです。しっかりとした体と信頼関係を作るために、積極的に遊んであげることが大切です。
高い所も好みますので、キャットタワーを用意してあげましょう。
ロシアンブルーは短毛ですがダブルコートですので、抜け毛はかなりあります。
定期的なブラッシングやコーミングは欠かせませんが、ロシアンブルーは我の強い面があり、嫌なことは徹底して嫌がることがあるので、子猫の頃からケアに慣らしておかないと、成猫になってグルーミングを嫌がって反撃することがあります。
敏感で、臆病ですが賢い猫ですので、子猫の頃から生活の様々な場面を経験させ、慣らしていくことが大切です。


●ロシアンブルーの毛色

ロシアンブルーはブルー(灰色)の単色のみです。1本の毛の中に濃淡の部分があり、これによって被毛は光の波のように見えます。


●ロシアンブルーの気を付けたい病気

ロシアンブルーは純血猫種としては遺伝性疾患が非常に少ない猫として知られています。
平均寿命は10~12歳とされていることが多いようですが、健康な個体では17~18歳まで長生きする個体も時々いるようです。
1日でも長く一緒に暮らしていくためには、ほかの猫種と同じように、中年齢以上になったらこまめに健康診断を受けましょう。眼病、膀胱炎、尿結石はシニアになるとより発生しやすくなります。
繊細な性格のロシアンブルーでは、日常のちょっとしたきっかけからストレスを感じて、身心の変調を引き起こすことがあります。
人見知りの傾向があるため、来客にかまわれたり、見知らぬ猫や犬などを預かったりすると、食欲が落ちてしまったり、おなかを下すこともあります。ストレスが長期にわたると脱毛したり、未避妊、未去勢の場合は近所の猫の発情に反応してストレス症状を起こしたりことがありますので、注意が必要です。

ソマリ

●ソマリの歴史

ソマリはアビシニアンの長毛種ですが、現れ始めたのは1950年頃からと言われています。
古い起源をもつアビシニアンは19世紀後半から純血種としての繁殖が始まり、20世紀初頭には世界中の猫血統管理団体に登録されていました。
第二次世界大戦までに世界中で純血種のペットたちが激減し、戦後は種の復活のために様々な異種交配が行われていた時期がありました。アビシニアンの長毛種も、その経過として生まれて来るものと考えられていたため、繁殖者のあいだでは長毛のアビシニアンが生まれることは純血の育成に反するものとして否定的でした。アビシニアンから生まれた長毛の猫は、ペルシャのような一般的な長毛猫よりも被毛が短く、セミロングよりもやや短いというあまりない長さの被毛であることも、中途半端な印象を与えていたようです。
アビシニアンの繁殖をするブリーダーは、長毛タイプが生まれるとショーには出せないと考え、ペットとして一般の飼い主に譲ることが多くありました。1963年、カナダの血統登録団体CCAが主催するキャットショーで、繁殖者メアリー・メリングはちょっとした悪戯を思いつき、価値の低いものと考えられていた長毛猫を審査用のケージに入れて、ほかのショーキャットたちのケージと混ぜておきました。
これを発見したショーの審判員ケン・マッギルが感嘆の大きな声をあげたため、アビシニアンのブリーダーたちは面白がって笑いましたが、マッギルはこの長毛のアビシニアンの魅力に驚いて声を上げていたのです。マッギルはメリングに長毛のアビシニアンをオーダーし、ソマリの育種が始まったとされています。
ソマリの育種には、もう1つドラマチックな話が伝わっています。
カナダでケン・マッギルが長毛のアビシニアンを見初めたその頃、アメリカでは繁殖家イブリン・メイグが、長毛の遺伝子を持つ2頭のアビシニアンを、そうとは知らずに交配していました。生まれた子猫「ジョージ」をメイグは友人を通じて、ペットとして一般の飼育者に譲渡しました。しかし、譲られた相手は、猫アレルギーのため飼い続けることができなくなり、猫を保護施設に譲り渡していました。メイグは繁殖をしながら猫の保護活動も行っていましたが、持ち込まれた長毛のアビシニアンを見てその美しさに驚きました。さらにその猫が、自ら繁殖し譲ったジョージであることを知ると、大変ショックを受けました。
ジョージを取り戻したメイグは、自分の繁殖していたアビシニアンたちとの評価の差に悲しみ、やがてジョージと同じロングヘアのアビシニアンを猫愛好家に受け入れてもらえるべく決意して、育種を始めたのでした。

なお、近年の遺伝子解析による研究や繁殖者の経験から、ソマリが長毛になったのは異種交配が原因ではなく、突然変異であったことがわかってきました。
ソマリは現在ではカナダ、アメリカ以外にも世界中で猫種として登録され、アビシニアン同様、世界中で愛されています。


●ソマリの飼い方

ソマリは運動量が多く、遊びが大好きで、不足するといたずらをすることもありますので注意が必要です。
また、アビシニアンとソマリは水を怖がらない猫が多く、風呂掃除やトイレ掃除の邪魔をしに来ることがあります。特に子猫時代は、危険防止のため浴槽の水量の管理には十分に気を付けるようにしましょう。
ソマリは協調性や親和性が優れていますので、ほかの猫や犬などのペット、人間の子どもとも仲良くできます。
優しく繊細な面があり、神経質な点は人間やほかのペットではなくソマリ自身に向かうため、ストレスを抱えると病気の原因になってしまうことがあります。
不安にさせない落ち着いた環境に、たっぷりの運動とコミュニケーションを与えることを心がけて飼育しましょう。
ソマリは長毛ではありますが、短めですので手入れは大変ではありません。
週に2回以上のブラッシングやコーミングをしてあげましょう。


●ソマリの毛色

ソマリの主な毛色はルディー、レッド、ブルーおよびフォーンとなります。
アビシニアン同様、ティックドタビーです。


●ソマリの気を付けたい病気

ソマリが起こりやすい遺伝疾患はアビシニアン同様で、重症筋無力症は、発症数は少ないものの猫ではアビシニアンとソマリが最も起こりやすいとされています。
猫では3歳以上で、巨大食道症や嚥下障害などが併発することもあるようです。
ソマリの平均寿命は10~15歳くらいと言われています。ほかの猫種同様、シニア猫になると慢性腎不全が増えてきます。老化により少しずつ腎臓の組織が衰え壊れていくことで、毒素の排出ができなくなり、尿毒症などを起こして死に至ります。
多飲多尿が病気のサインのひとつです。気づいた時に早めに動物病院を受診しましょう。

シンガプーラ

●シンガプーラの歴史

シンガプーラは1980年前後にCFA、TICAに登録を受理された比較的新しい猫種です。当初は、シンガポールの下水溝で暮らしている猫として、現地で発見された土着の猫とされていました。
しかし、育種のいきさつから、自然発生種であるかどうかの議論に決着がついていないとして登録を見送っている団体もあります。
発見されたのはシンガポールですが、彼らを発見し自国に連れ帰って育種を行ったのは、アメリカ人のメドゥ夫妻でした。
1970年代初めころ、メドゥ夫妻は夫・ハルの赴任する東南アジアで、現地の動物保護団体SPCAからティックド・タビーの小さな猫を引き取り、ほかの数頭の猫たちと共に暮らしていました。1975年、彼らが任期を終えて帰国することになった時、5頭の猫たちを連れてアメリカに戻ることになりました。
シンガプーラは成猫であっても大変小さく、独特のセピア色のティックド・タビーという美しい毛色というほかの猫にない個性がありました。猫らしくない人懐こさも魅力で、わずかな間に人々の心を捕えました。メドゥ夫妻がアメリカに帰国しシンガプーラの育種を始めてから、わずか6~7年という異例の早さで、CFA、TICAという大きな血統登録団体に猫種として公認登録されました。さらに1979年にはTICAの、1988年にはCFAのチャンピオンシップにも登録されることになりました。
1987年になると、メドゥ夫妻から早くにシンガプーラを譲り受けた繁殖家ジェリー・メイスもシンガポールを訪れ、新たに基礎猫を輸入して、アメリカへ連れ帰りました。この時、メイスはメドゥ夫妻によって、アビシニアンがシンガポールに持ち込まれた記録を発見してしまいました。アビシニアンはシンガプーラとよく似た猫であり、交雑が行われていたとすれば、土着の純血猫ではなくハイブリッドである可能性が出てきます。
実は、メドゥ家には先住猫としてバーミーズとアビシニアンがいたことから、シンガプーラは土着の純血猫ではなくバーミーズ、アビシニアンが交雑したのではないかと疑問を持たれたことで、決着していない議論になっているのです。
この件を調査したCFAは、バーミーズあるいはアビシニアンが交雑されていたとしても、メドゥ夫妻がシンガポールの捨て猫を譲り受けて交配したことは間違いのない事実として、シンガプーラの登録を取り消すことはありませんでした。
アジアでは野生種においても様々な動物が比較的小さく、アメリカでは大きくなる傾向があります。世界一小さな猫として人気上昇中のシンガプーラですが、アメリカで育種されたシンガプーラたちは、近年サイズが大きくなってしまう個体が増えているようです。


●シンガプーラの飼い方

シンガプーラは活発で運動好き、高い所にも気軽に上りますが、人への依存心が強く、同じ高い所なら人間の肩の上の方が良いとばかりに飛び乗ってきます。背の高い家具の上から家族の肩をめがけて飛び降りてくることがありますので、お互いにけがのないように、人間の方が注意してあげなくてはいけません。
運動量を確保するためには、面倒くさがらずに遊んであげることが大切です。
水を怖がらない個体も多くいるようですので、事故防止のため水のたまった浴槽や洗濯機、トイレのふたはきちんと閉めておきましょう。
シンガプーラは賢く、しつけはそれほど難しくありません。
被毛の手入れは、定期的なブラッシングやコーミングで十分でしょう。


●シンガプーラの毛色

シンガプーラの毛色はアグーチセピアと呼ばれる淡い茶色のティックド・タビーに限ります。


●シンガプーラの気を付けたい病気

2007年の大規模な遺伝子研究により、シンガプーラを含めて22の猫種で、遺伝子多様性が狭いことがわかりました。この結果は、遺伝性疾患が起きやすいということを示しています。
シンガプーラに特徴的な遺伝性疾患として、ピルビン酸キナーゼ欠損症による貧血があります。
また、肥大型心筋症も比較的起こりやすいとされています。
血液や心臓の病気は、元気がなくなり、食欲が落ちる、多飲多尿などの症状に表れることが多くあります。
シンガプーラは東南アジアの温かい地域で生まれた短毛の猫ですので、日本の冬は苦手です。
秋~冬は室温を高めに設定して、温かい敷物などを用意してあげましょう。
人に対する依存心が強い猫ですので、留守番時間の長い生活をしていると精神的に参ってしまい、ストレスによる脱毛や食欲不振、消化不良を起こす場合があります。

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