風邪の治療法とは

風邪の8割の原因であるウイルス性感冒に対して根本的に治すことはできません。ただし、細菌感染の場合やインフルエンザウイルスの場合は、根本治療が可能です。

●一般的なウイルス性感冒については栄養と休息
いわゆるウイルスによる風邪症状の緩和を訴えられる場合は、その症状を抑える「対象療法」となります。
その際の柱となるのが「総合感冒薬」です。総合感冒薬とは、頭痛・発熱・のどの痛み・筋肉の痛み・咳・くしゃみ・鼻水・鼻づまりを緩和するのために解熱鎮痛剤と咳止め・去痰薬・抗ヒスタミン剤などを複合した医薬品です。
これだけでは対処できない場合に、さらに単剤として解熱解熱剤、咳止め、去痰剤等を加えます。しかし、あくまで根本療法ではなく対処療法であることをご理解ください。
感冒薬を使わずとも人間の自然治癒力に従えば必ず治るのです。

●細菌感染による風邪は病院で抗生剤の投与
高熱が出ている場合、当院では至急の血液検査を行います。その際に、白血球、血液像、CRP(体内で炎症や組織細胞の破壊などが起こると血液中で増加する数値。症状の程度に比例して数値が上昇するため、炎症や感染症の指標として用いられる)を確認します。
これらの数値が高値の場合は、細菌感染を疑い、積極的に抗生剤を投与します。経過が長引いている場合は、外来でも点滴で抗生剤を投与します。

風邪を早く治すカギは「睡眠」「水分」「ビタミンC」

「睡眠」
体を温め睡眠時間を十分確保する
まず重要となるのは、睡眠時間を十分に確保することです。良質で長い睡眠をとると体の免疫力が高まり、風邪のウイルスを素早く撃退することができます。免疫力を高めるためには体温上昇も重要となるので、寝るときにはこれでもかとういうぐらい布団を重ねるといいでしょう。

「水分」
適切な水分補給
風邪をひいたときは、発熱や発汗のため脱水になりやすく、水分補給にも気を使う必要があります。ただ無闇に水分をとるだけが、正しい水分補給というわけではありません。一度に飲むのは少しずつ、できれば室温程度の水を飲むようにしましょう。また、風邪のときに不足しがちなミネラルを補給するためには、経口補水液やスポーツドリンクを飲むのもおすすめです。

「ビタミンC」
ビタミンCは風邪に最も有効な栄養素
風邪を撃退するためには、必要な栄養をたくさん摂取することが非常に重要になります。中でも風邪にもっとも有効な栄養素と考えられているのがビタミンCです。ビタミンCを積極的にとるようしたところ、風邪の治癒が劇的に早くなったという報告例がいくつもあがっています。
ビタミンCは野菜や果物に豊富に含まれているので、食事から摂取するのも簡単でしょう。また、手軽により多くのビタミンCをとりたければ、自費になりますがビタミンCを含む点滴もご用意しておりますので、ご相談ください。または市販のサプリメントを食べるのもいいかもしれません。幸いビタミンCの摂取量が多くても体に害が出ることはありませんので、ご自分に合った方法で多くのビタミンCをとるようにしてください。

※病院での処方薬・医師の診断も重要
上述したような心がけで、風邪の治りは劇的に早くなります。さらに病院で処方される治療薬を服用し、医師からのアドバイスに従えばすぐにいつも通りの日常生活に戻ることができるでしょう。

栄養が取れる食べ物・飲み物

◆みかん
みかんはビタミンCが豊富で抗酸化作用もあるため、風邪をひいた際に積極的に摂ってもよい食品の1つです。
成人の場合、ビタミンCの推奨量は1日あたり100mg。みかん1個には35mgのビタミンCが含まれるので、1日3個食べれば推奨量を満たします。

◆しょうが
しょうがはからだを温めるはたらきがあるので、風邪を予防するにも早く治すのにも有効だといえるでしょう。

◆栄養ドリンク
風邪をひいたときには、しっかり栄養をとるべきとはいえ、体調が悪いなか食事の準備をするのもなかなか大変……。また、食欲がなくて食事が喉を通らないこともありますし、栄養ドリンクに頼っても大丈夫でしょうか?
栄養ドリンクの主成分であるタウリンやビタミンBには、疲労回復や粘膜を正常に保つ効果があるので、風邪の症状改善に有効だといえます。
また、タウリンには肝臓のはたらきをサポートする効果も。肝臓は、栄養をエネルギーに変換したり、老廃物や毒素を排出したりする臓器なので、風邪でからだが弱っているときに、栄養ドリンクでタウリンを摂取するのはよいと思います。
ただし、過度に栄養ドリンクに頼るのではなく、あくまで食事の補助として利用することが望ましいでしょう。

◆ねぎ
昔から、“風邪をひいたらねぎを首に巻け”などといわれますが、ねぎは風邪の患者にとって、お助け食材なのでしょうか?
“ねぎを首に巻く”というのは、おばあちゃんの知恵袋的に伝えられていますが、医学的に推奨されているわけではありません。
ただ、ねぎ自体には、各種ビタミンが含まれているほか、特に白い部分には、ビタミンB1の吸収を助ける“アリシン”という成分があります。首に巻くのではなく、食品として摂るとよいでしょう。

◆卵酒
これまた昔からの言い伝えで“風邪をひいたら卵酒”といわれますが、本当に卵酒は風邪に効果があるのでしょうか。
卵酒が風邪によいとされるのは、卵が高級食材だった頃のなごりかもしれません。栄養価の高い卵と、体を温めるお酒を組み合わせたものですから、昔の人は風邪のときに卵酒を重宝したのでしょう。
ただ、卵酒を飲めば風邪が早く治るという医学的なエビデンスはありません。もちろん、からだに害のあるものではないので、あくまで“お好み”で飲むといいでしょう。

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