現代社会は“認知症社会“へ?迫りくる「高齢者の20%が認知症」時代

2015年時点で、日本の老年人口(65歳以上)の割合は26.6%。そのような社会で今新たな課題となっているのは認知症患者の増加です。2025年には日本の認知症患者数が700万人を突破するとの予測もあります。これは、高齢者の5人に1人が認知症という状態です。「認知症社会」とも言うべき社会が目の前に迫っています。また、株式会社ネイチャーラボが行った「脳の健康に関する調査」によると、20代から60代までのすべての年代で、60%以上の人が脳の衰えを感じたことがあると回答しています。「脳の健康管理のためになにか取り組む必要があるか」という質問に対しては、60%以上の人が取り組む必要があると回答しているものの、そのうちの3割は脳の健康管理のために特に取り組んでいないと回答しており、脳のケアの必要性を感じつつも行動に移せていない人も一定数存在するという結果になりました。

認知症の原因のひとつは“脳にゴミが溜まること”!

認知症の原因のひとつに、脳の神経細胞にアミロイドβやタウタンパクといった、いわゆる“脳のゴミ”が溜まることが挙げられます。それらの物質が溜まることによって脳が炎症状態になり、脳細胞が死滅していってしまいます。それにより記憶機能の障害が引き起こされ、認知症につながります。脳の使い過ぎや睡眠不足、ストレスや老化など、人生のあらゆるきっかけで“脳のゴミ“は蓄積していきます。もちろん、”脳のゴミ”を溜めないようにするのが一番ですが、溜まってしまったものをそのままにするのではなく、早いうちからケアすることも重要といえます。

簡単にできる早めの脳ケア、キーワードは睡眠・食事・運動

認知症のリスクを少しでも下げるためには、アミロイドβやタウタンパクといった“脳のゴミ”をなるべく溜めないようにする、排出するということが重要になります。そのために、簡単にできる脳ケアをご紹介します。

睡眠の質を上げる

脳のゴミを排出するためには、睡眠の質を上げることがとても重要となります。なぜなら、睡眠中の脳の活動のひとつに老廃物の排出があるからです。日中の活動で発生した不要なアミロイドβは脳脊髄液が回収し、排出しています。逆に睡眠不足によって脳脊髄液の循環機能が低下すると、アミロイドβが蓄積しやすくなるといわれています。早稲田大学研究院教授の矢澤一良先生によると、睡眠の質を上げるためには、寝る直前のお酒やタバコをしない、寝る前60分はスマホなどの電子機器を扱わない、昼間に日光を浴びる、汗をかくくらいの運動をする、眠い時に30分の昼寝、ぬるめのお湯で10分以内の半身浴、などの方法があるそうです。また、睡眠の時間も、成人は睡眠時間を最低でも6~7.5時間取ることが必要です。休日にたくさん寝て普段の睡眠不足を補おうとする、いわゆる「寝だめ」は生活リズムが壊れてしまうためおすすめできません。

適度な運動をする

適度な運動を行うことによって、ネプリライシンという酵素が活性化します。この物質はアミロイドβを分解する効果があるため、溜まった脳のゴミをケアすることができます。 運動の中でも、ウォーキングや軽いジョギング、サイクリングやエアロバイクといった有酸素運動が良いとされています。また、激しい運動を週1回行うよりも、30分程度の運動を週3~4回行うことが大切です。

ブレインフードを食べる

ブレインフードとは、脳の活性化のために必要な栄養素や、脳機能障害を予防するための食品です。これらの食品を積極的に摂取することによって、脳のケアを行うことができます。ここではブレインフードの一例をご紹介します。

青魚

鯖や秋刀魚といった青魚には、DHA(ドコサヘキサエン酸)という成分が多く含まれます。DHAは、脳の神経細胞を活性化させたり、傷ついた神経細胞を修復したりする効果があります。

チョコレート・赤ワイン

チョコレートや赤ワインにはポリフェノールが含まれています。ポリフェノールには、アミロイドβやタウタンパクの蓄積を抑える効果があります。また、抗菌化作用もあるため、脳のケアにはぴったりです。ただ、ワインはアルコール分も含まれているため、飲み過ぎには注意が必要です。

大豆

大豆にはPS(ホスファチジルセリン)という成分が含まれています。PSとは、脳の細胞膜の20%を占める成分で、脳細胞に溜まったアミロイドβやタウタンパクの排出を促進する効果や、DNAと結合することで細胞膜の柔軟性を高める効果があります。PSは体内でほとんど作り出すことができないため、日々の食事で補うのが良いでしょう。

質の良い睡眠、適度な運動、ブレインフードの摂取をバランスよく行い、継続的な脳のケアを行うことが重要です。脳ケアのために今日は少し早めに寝てみてはいかがでしょうか。

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