冬だけではなく、夏も色々な感染症が流行になります。
夏に流行る感染症にはどういったものがあるのでしょうか。調べてみました。

手足口病

これはエンテロウイルス(エンテロというのは腸管という意味ですが)、お腹の中で増えるウイルスで起こる病気です。
いまは冬場でも結構見られるようになっていて、ヨダレなどでうつりますので、保育園などで大流行することが多いです。
この病気は休ませるかどうかということが随分話題になったりするのですが、これについては平成五年の日本小児科学会見解によると、あまり休ませる意味がないということになっています。


それはどうしてかというと、不顕性感染…要するにかかっていて人にうつす力はあるのだけれども、ほとんど症状のないお子さんが非常に多いということです。
もう一つは、ウイルスの排泄期間が長い。よくなったと思っても、まだ便の中にはいっぱいウイルスが出ている。そういう人たちを、ただ発疹が出ているという理由で長く休ませることは意味がないということです。もちろん、熱が出たり口が痛くて食べられないとか、具合が悪ければお休みします。だけど、元気になったら来させてもいいというふうに小児科学会は見解を出していますし、皆さんもそのことは理解してほしいと思います。

りんご病

この病気も、発疹が出たころにはもうウイルスが体の外に出なくなって、人にうつらないということがわかっています。だから休ませる必要はないわけです。


この伝染性紅斑を起こすパルボウイルスB19というウイルスはヒトの血液の若い細胞に感染して、そこで増えるウイルスなのです。
特別な血液の病気の人がかかると、その人がすごい貧血になることもわかっています。伝染性紅斑が妊婦さんに感染しておなかの中の赤ちゃんに感染すると、赤ちゃんは若い血液の細胞をいっぱい持っているわけです。

そこで赤ちゃんがものすごく貧血になって、胎児水腫といって極度にむくんだ状態になり、流産の原因になるということが知られています。だから、妊婦さんにとってはちょっと危険です。


ただ、いま言ったように、伝染性紅斑はうつる時期は何も症状がないんです。だから、誰がうつしているか全くわからないわけです。発疹が出たときにはもううつらないわけで、その1週間ぐらい前にうつる時期があったわけですけれども、それはわからないのです。
そういうときにどうするかということですけれども、アメリカが出している「RedBook」という、感染症を扱うときのバイブルとされる本には、妊娠可能年齢で伝染性紅斑(りんご病)にかかる率は1%~2%ぐらい、妊娠の前半20週までの間にかかった人で、胎児水腫になるのが2%~6%と書かれています。

アメリカの小児科学会では、例えば幼稚園の保母さんが妊娠しても、伝染性紅斑が流行しているからという理由で休ませることは推奨しない、要するに休まなくてもいいというふうに言っています。ゼロではありませんけれども、非常に確率が低いということです。だから、あまり神経質になることはありませんけれども、妊婦さんで心配であれば、幼稚園の中に長いこといないようにするとか、そういうことをお知らせしておくぐらいで十分だろうと思います

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