マリーシアとは

マリーシアとは、ポルトガル語でずる賢いという意味の単語で、イタリアでは「マリッツィア」と発音しサッカー大国ブラジル発祥の言葉だと言われています。

サッカーの試合中における駆け引きの意味合いで使われる言葉ですが、国や地域においてそのニュアンスが若干違ってくる言葉でもあります。実際にブラジルで使われていたのは南部の一地域で「豊富な経験から得た知恵」という意味です。

このマリーシアはずる賢いといっても、決して審判の見ていないところでファールをしたり、ハンドをごまかしたりといったような反道徳的な、スポーツマンシップを踏みにじるプレーの事を言うわけではありません。

海外選手に代表されるような、試合のプレーの流れに合わせてオンオフを切り替え、その局面に適したプレーをするというのがマリーシアのひとつの定義でもあります。

審判を欺くプレーはマリーシアではない

よく誤解されるプレーが、シミュレーションといわれる審判を欺いたプレーです。

あたかも相手のタックルや、チャージを受けたことで倒されたと思わせて、実は自ら転んでファールであることを審判にアピールするようなプレーのことです。

この技術がブラジルでは大変発達しており、巧みなドリブルと相まって、ブラジルサッカーのテクニックのひとつに数えられています。しかし、これはブラジルの選手が巧みなだけであり、ルール上はシミュレーションであり、マリーシアとは似て非なるプレーです。

決してチャージを受けていないのに審判を欺くことは公に許されているわけではないので、正しいマリーシアとは言えません。

サッカーで大事とされるマリーシアは、日本では多くのファンからずるいプレーという意味で認知されています。しかし、南米やヨーロッパでは厳しい戦いを勝ち抜くために、戦況にあわせてプレーを調整する「豊富な経験から得た知恵」としてむしろ賞賛されるようなプレーなのです。

昨今では紳士のスポーツとも言われるサッカーというスポーツの性質上、シミュレーションとマリーシアの意味の区別が明確にされつつあり、VARなどの最新の技術を用いたレフェリングでは、多くの埋もれていたファールを見逃さないのと同時に、多くのシミュレーションも暴きだしました。

今後このような技術の発展によって、マリーシアの正しい定義にのっとり、より洗練されたずる賢いプレーに進化していくことでしょう。

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