動体視力とは

動体視力とは、動いている対象物(動体)に対して視認するという能力です。簡単に言えば、動いているものを見る力ということになります。

動体視力は、元から人間それぞれに備わっている能力ですが、個人の生きてきた環境や成長の過程などによって、その能力に差が生じます。そのため、アスリートなどは動体に対する反射速度が常人より強化されて優れており、動体視力が高いという方が多くなっています。

この動体視力は様々な鍛え方の方法によって強化・鍛えることが可能ですが、年齢と共に低下するものでもあります。そのため、高齢者講習という75歳以上の運転者が免許を更新する際に義務付けられている講習では、動体視力検査が運転適性検査の1つとして実施されています。

静止視力と動体視力の違い

動体視力とは、動く物体を視界で認識する能力のことですが、これに対して対象物が静止している場合の視力のことを静止視力と呼んでいます。
動体視力と静止視力は、全く別のものと考えられています。そのため、もし静止視力が高かったとしても、同じように動体視力が高いとは限りません。したがって、健康診断等で行われる一般的な視力検査の結果が良かったからといって、動体視力も同様に良いということは無いのです。

DVA動体視力とは

動体視力にはいくつかの種類があり、DVA動体視力はその動体視力の種類の1つです。動体視力の動いている対象物を見極める能力のうち、上下方向または横方向に動く対象物を見る能力のことをDVA動体視力と呼んでいます。DVA動体視力の「DVA」とは「Dynamic Visual Acuity」の略称です。
このDVA動体視力では眼球運動、つまり目線の移動が伴うことになり、後述するKVA動体視力とはこの点でも異なります。また、成功しているスポーツ選手はこのDVA動体視力が強化されているといわれており、プロ野球の王貞治さんの「通過中の新幹線の車内に知人が乗っているのを、駅のホームから確認できた。」というエピソードは有名です。

KVA動体視力とは

KVA動体視力もDVA動体視力と同じように、動体視力の種類の1つです。DVA動体視力が上下方向または横方向に動く対象物を見る能力であったのに対し、KVA動体視力は前後方向に動く対象物を見る能力です。例えば、ボクシングで言うと横方向のパンチであるフック、上下方向のパンチであるアッパーを見極めるのがDVA動体視力です。それに対して、前後方向のパンチであるストレートを見極めるのがKVA動体視力ということになります。
また、DVA動体視力には眼球運動が伴いましたが、KVA動体視力では眼球運動はありません。その代わり、眼の中でレンズの役割を果たしている水晶体の厚みを素早く変化させ、前後方向に動く対象物を正確に認識する能力が求められます。

スポーツに必要な動体視力・視機能とは

各スポーツで前述のDVA・KVA動体視力の分類をすると、サッカーなどの空間をワイドな視点で見ることが必要なスポーツにおいては、DVA動体視力が重要です。これに対し、野球などのスポーツは前後方向の動きを見極めるKVA動体視力が重要です。
ただ、例えば野球において自分の方にきた球をキャッチしたり、自分に近づいてきた球を打ったりするのにはKVA動体視力が必要ですが、自分の体を横切るような打球をキャッチする時はDVA動体視力が必要です。このように、野球がうまくなるためには、DVA動体視力とKVA動体視力の両方を鍛えることが必要です。したがって他スポーツでも、プレーを総合的に良くするためには動体視力・視機能を全体的に強化・鍛えることができる鍛え方が重要です。

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