みなさんはジロ・デ・イタリアをご存知でしょうか。
自転車競技の1つですね。
自転車競技の中でもツール・ド・フランスは有名ですね。
今回はジロ・デ・イタリアを少しですが紹介したいと思います。

ジロ・デ・イタリア

真夏のツール・ド・フランス、晩夏のブエルタ・ア・エスパーニャに先駆けて行われる、シーズン最初のグランツール。5月のイタリアを、3週間かけて駆け巡り、たった1人の勝者を選び出します。それがジロ・デ・イタリアであり、「コルサ・ローザ(ばら色のレース)」です。

フランス一周が自転車界最高峰のレースなのだとしたら、ジロは最も美しく、最も過酷な大会と言われます。初夏の抜けるような青い空、きらめく碧い海。悠久の歴史を感じさせる旧市街を駆け抜け、いまだ頂に白き冠を抱く標高2000m級の山々を目指します。そして勇者を讃えるピンクのリーダージャージ。全てがカラフルで、華やかです。

もちろん総合覇者の証「マリア・ローザ」を手に入れるためには、あらゆる地形を乗り越え、アルプスやドロミテの恐ろしき峠群を征服せねばなりません。しかも、難しい山越えステージに、時には未舗装登坂路、勾配20%超の激坂、距離200km超え……の難条件さえ詰め込まれます。

だからこそ1909年に産声を上げたイタリア一周は、いつだってクライマーたちを讃えてきました。第2次世界大戦前後に大会を5度制したファウスト・コッピは、今でも大会最高標高地点を意味する「チーマ・コッピ」に名を残しました。トスカーナ地方を通過するステージは、総合優勝3度のジーノ・バルタリにちなんで必ず「バルタリ区間」と呼ばれるし、夭逝の山岳王マルコ・パンターニにゆかりある山が、毎年1つずつ「パンターニの山」に指定されます。

一方で、あらゆる脚質に輝く機会を与えるのも、ジロの良き伝統。スプリンターはシクラメン色の「マリア・チクラミーノ」を争い、クライマーは青の「マリア・アッズーラ」を追い求めます。平坦ステージを活気づけるのは、「フーガ賞」や「中間スプリント賞」目当ての逃げ選手。正々堂々と戦い抜いたチームは、「フェアプレー賞」で称賛されます。たくさんの賞と、たくさんの英雄たち。フィニッシュ後の表彰台では、スプマンテシャワーがきらきらと弾け飛ぶ。

そして21日間の激戦の終わりに、マリア・ローザを身にまとっていたチャンピオンには、黄金の螺旋型オブジェ「トロフェオ・センサ・フィーネ」に自らの名を刻む権利が与えられます。この「終わりのないトロフィー」と共に、永遠に、ジロ・デ・イタリアの歴史の一部となります。

コース

アドリア海岸線での個人タイムトライアル19.6kmから、2023年のイタリア一周は全速力で走り出す。5月6日から28日までの3週間の長旅は、間違いなく、このストップウォッチ相手の孤独な戦いが鍵になります。

もちろんばら色の戦いを華やかに盛り上げるのは、山の男たち。開幕地アブルッツォ州から一旦南下し、イタリア半島の「長靴の足首」までたどり着いた大会4日目、アペニン山脈で最初の山頂フィニッシュが繰り広げられます。そこから北上し、再びアブルッツォ州を通過する第7ステージで、畳み掛けるように2度目の山頂フィニッシュ。グラン・サッソの標高2000mを超える山道で、開幕1週目にして、早くも総合争いは大きく絞り込まれることになるでしょう。

さらに北へと向かうジロ一行は、2週目の半ば第13ステージでイタリアを抜け出すと、今大会唯一の国外となるスイスで山頂フィニッシュを争います。また国境線上にそびえるグラン・サンベルナールは、標高2469mの大会最高標高地点、いわゆる「チーマ・コッピ」。しかも巨大な山が3つ組み込まれた今ステージの累積獲得標高は、なんと5100mにも至る。

いつもなら容赦なく長距離ステージをねじ込んでくることで知られるジロ開催員会だけれど(2018年は最長ステージが244km、2019年大会は220km超が7日間、2021年大会にも231kmステージが登場した)、2023年は少々控えめ。そうは言っても200kmを超えるステージは6日間も用意されているし、第7ステージと第13ステージの高山の戦いは、それぞれ218kmと208kmという長く苦しい戦いでもあります。

むしろクレイジーなまでの累積獲得標高の戦いは、大会3週目がいよいよ本番。大会2度目の休息日の翌日、ドロミテ山塊へと足を踏み入れる第16ステージは、5つの峠を上って下りて5200m。第18ステージの山頂フィニッシュを経て、同じく5つの難関峠が立ちはだかる第19ステージは、2023年最高の5400m。大会3週間の累積獲得標高も51400mと、一昨年から4000m増えた昨大会より、またさらに400mも増えてしまいました。

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