運動神経とは

運動神経とは、体や内臓の筋肉の動きを指令するために信号を伝える神経の総称で、頭部では脳神経、体部では脊髄神経として、中枢から離れて末梢に向かうので、遠心性神経という名称でも呼ばれています。ただ本来の運動神経は、一般的に呼ばれる運動神経が実際は違うそうです。

人が手足などの体を動かす時は、脳などの神経が体の神経回路を通して筋肉に指示を出します。その指示が筋肉に伝わり、自分が思ったとおりに体を動かせることが、「運動神経が良い」ということになります。つまり、運動神経とは筋肉だけでなくこの神経回路もよく発達していることが重要なんです。スクワット等の筋トレだけやっても、神経回路を向上させる運動をしないと、実は運動は上手にはならないそうです。

運動神経を上達させるために

運動神経を上達させるには、自分の体が行っている動きを理解することが大事です。人が目的を持って動くときは単一の動作ではなく、いくつかの動作が複合的に起こっています。

例えば、遠くの物を取るときには、「手を伸ばす」と「体を捻る」という動作が同時に起こっています。このように、いくつかの運動を同調してスムーズに動く能力(連結能力)を含めた7種類の能力をコーディネーション能力といいます。

①リズム能力 
動きをまねしたり、動くタイミングを上手につかむ能力


②バランス能力 
重心の移動があっても姿勢を正しく保ち、崩れた姿勢を立て直す能力


③変換能力 
まわりの状況に合わせて、素早く動きを切り替える能力


④反応能力 
刺激に対して素早く、正確に対応して運動する能力


⑤連結能力 
単一の動きを同調させスムーズに体を動かす能力


⑥定位能力 
相手や自分の位置関係を正確に把握する能力


⑦識別能力 
道具などを上手に操作する能力

一般的にいわれているコーディネーション能力とは、運動学的な五感といわれる知覚、聴覚、平衡感覚、皮膚感覚、筋感覚などの感覚受容器で察知し、そこから得られた情報を脳で収集し、運動効果器に指令を出すといった一連の過程をスムーズに行う能力のことをいうそうで、簡単に言うと、上記の7つの能力を使いこなすことが大事ということです。

7つの能力を高めるために

コーディネーション能力が子どもだけでなく、大人にも重要であることは、容易に想像がつくと思います。健康・安全といった観点からも、仕事の中で起こり得る不意なケガを未然に防ぐために必要な能力であるといえます。

「毎日ウォーキングをしているから大丈夫!」、「スクワットが日課だから運動はしている」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は、単一のトレーニングでは、様々な状況に対応するための能力を鍛えることは難しいと考えられています。例えば、ウォーキングやランニングでは体の持久力を鍛えます。膝を屈伸するスクワットや段差を上り下りするステップ運動は主に筋力を鍛えるトレーニングです。つまり、単一の運動を繰り返している間は、「持久力だけ」「筋力だけ」を鍛えていることになります。

また、海外では、その目的によって実施する運動を変える、または目的に応じた複数種類の運動を実施することで、効果が上がると報告されています。「何もないところで躓くようになった」「人や物によくぶつかりそうになる」という方は、ウォーキングやスクワットではなく、体を思うとおりに動かす能力、すなわちコーディネーション能力を鍛える必要があると考えられます。

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