野球場の基本は天然芝だった

野球場のフィールドは、元々、内外野共に天然芝が敷かれていて、選手の動きが激しいマウンドとベース周り、ベース間だけが、芝の管理が難しいために土になっていたそうです。

天然芝のフィールドは、適度なクッション性があり、選手が安全に思い切ったプレーできるという特徴があります。近年、メジャーリーグでは屋外球場が見直され、多くのスタジアムで天然芝のフィールドが採用されています。日本ではMAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島が、内外野に天然芝を敷いたスタジアムとなっています。ただ、水まきの手間や、傷みが激しくなった場合の張り替えなど、手入れや費用がかかるため、大規模な球場以外ではプレーが激しく傷みやすい内野にまで、天然芝を敷くのは難しいのが現状のようです。

多目的性や気候条件で選ばれるようになった人工芝

世界で初めて人工芝が導入されたのは、1965年、世界初のドーム球場であるアストロドームです。光を通さない屋根付きの球場では、天然芝が育たないことから開発されました。

日本では1976年に後楽園球場で人工芝が敷設されると、人工芝は維持管理が簡単で、耐久性があるので、フィールドを多目的に利用する横浜スタジアムなどでも採用されました。しかし、この当時の人工芝は芝の目が短く、クッション性が少ないため、選手の足腰に負担がかかることが指摘されるようになります。

その後、メジャーリーグでは天然芝の球場が主流となっていきました。日本の球場は、多目的性などが求められることや、雨が多い気候条件からドーム球場の建設が進み、人工芝の球場が次々に建設される流れとなりました。

フィールドの土の部分にも違いが

野球場のフィールドには、マウンドやベース周りなど、土の部分があり、クレイ舗装と呼ばれています。クレイ舗装がされるのは、激しいプレーが行なわれる場所なので、適度な滑りやクッション性が求められます。

球場では、黒っぽい土の舗装がよく見られますが、この黒土は適度な保水性と排水性を両立させ、クッション性もあるという特徴があり、よく採用されています。また、赤っぽい土での舗装は、アンツーカ舗装と呼ばれ、当初はレンガを砕いたものだったそうです。元々はテニスコートで使われており、テニスの四大大会のひとつ、全豪オープンではアンツーカ舗装されたコートで試合が行なわれています。現在は、粘度の高い赤土に薬品を加えて焼成したものが使われ、水はけの良さと土質が均一なことが特徴です。野球場では、土ひとつとっても、適切なものを選んで採用しているのです。

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