サファイア

古代の人々は、自分たちの住む世界は巨大なサファイアの上にあり、空の青さはサファイアの大地を映した色であるとし、空気を敏感に感じるサファイアは、天候によって光り方が変るのだと信じられてきたそうです。またサファイアは、王族や君主を危害やねたみから守るという意味もあり、古代より指輪や冠として重宝されてきました。伝統あるイギリス王室でも、王冠やティアラなどの宝飾品に多く用いられています。

①石言葉
誠実、慈愛、徳望

古代から哲学者、聖人の石と言われ、神の恩恵や慈愛を受け精神の再生をもたらすと信じ、聖職者や賢者にこそふさわしい石と考えられていたサファイア。枢機卿や司教がもつ指輪にはサファイアがはめられ、その指輪をした手で信者に触れることは、誠実や慈悲を与え、病を癒し、人々を悩みや苦しみから救うことを意味しています。

②和名
蒼玉(青玉)せいぎょく

産地

主要産出地が5つあるサファイア。地域ごとに特徴も違うそうです。

1. ミャンマー産
15世紀以前からサファイアの採掘が始まっていたというミャンマーのモゴック地方。同じくモゴックで採掘されているルビーと比べると、その産出量は約500分の1と少ないのですが、大粒でモザイク模様のバランスが良い、濃いブルーの美しい石が採掘されています。加熱処理もされないそうです。

2. スリランカ産
紀元前という遥か昔から多種類の宝石を産出してきたスリランカは、サファイアの産出国としても知られています。大粒で透明度が高く、少し紫がかった美しい青色であることがスリランカ産の特徴。色の濃淡のモザイク模様が美しいバランスを保っているなど、宝石の最高品質であるジェムクオリティと認定されるも産出されているそうです。

3. カシミール産
ミャンマー産同様、通常は加熱処理されないカシミール産ですが、現在はほとんど産出されておらず、100年前に大量採掘されたものが少しずつ還流している状況です。そのため、主要なオークションではアンティークジュエリーとして登場することも多いようです。カシミール産サファイアの特徴は、柔らかでやさしい色味の青。

4. パイリン産
カンボジアとタイの国境にあるパイリンでは、15世紀からルビーとともにサファイアが産出されていましたが、本格的に生産され始めたのは1875年以降。1960年代後半までは、世界において半数以上のサファイアを産出していました。しかし最高品質のスリランカ産などと比べると、石の色が濃すぎて見劣りするものが多いようです。

5. モンタナ産
1865年から知られていたものの、本格的な採掘がスタートしたのは1891年というモンタナ産のサファイア。紫、黄色、緑といったファンシーサファイアも産出されるこの地では、比較的色味が薄いという特徴があります。サファイアは、オーストラリアやナイジェリアといった国々でも採掘されており、非常に数多くの国で産出されている宝石です。なかでもスリランカ産は最も高品質だとされているそうです。

種類

① ピンクサファイア
ルビーのような情熱的な赤とはまた違った、初々しさや気品あふれる魅力を放つ、鮮やかなピンクのサファイア。

② イエローサファイア
ハニーカラーと呼ばれる深みのあるイエローが、華やかに輝くイエローサファイア。レモンイエローの爽やかな色彩に、ゴールドとはまた違う、透明感のあるゴージャスな輝きを含みます。イエロー系で最も美しい宝石とも言われているそうです。

③ バイオレットサファイア
スミレのような紫色の輝きが、ブルーサファイアとはまた違った、高貴さやスピリチュアルな魅力を感じさせる、バイオレットサファイア。透明感のある美しい輝きは、紫色の宝石のなかでは希少で、特別なものとされています。

④ パパラチアサファイア
「King of Sapphire(サファイアの王)」との異名を持つ、希少性の高いサファイア。ファンシーカラーサファイアのなかでは、実に最高級のランクを誇る逸品のようです。

⑤ イエローグリーンサファイア
イエローグリーンサファイアは、ハニーカラーとアップルグリーンカラーの色彩が美しく重なった、透明感のあるグリーンが魅力。若葉を思わせるようなすがすがしさを持ちながら、どこかミステリアスな印象もあわせ持つ、魅力的なサファイアです。

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