夏になると無性に辛い物が食べたくなる、そういう方多いですよね。実はそれには理由があり、唐辛子などの辛味系スパイスによる“発汗作用”が関係しているそうです。

ただでさえ、暑い夏は汗をかくのに、辛い物を食べて汗をかくのは嫌だという方もいると思いますが、気温が高い夏に汗をかくと、体の熱が放出されて涼しく感じることがあります。辛い料理の中でも、刺激的な辛みを持つ唐辛子には、発汗作用を促す効果があるので、唐辛子をたっぷり使った料理は夏にぴったりで理にかなっているんです。実際、タイやベトナムなどの高温多湿の国などの料理は辛い料理が多かったりします。

また、食欲がなくなるのも夏の特徴です。これは冷たいものや汁ものばかりを食べがちになるからなんですが、こんなとき食欲の刺激につながる唐辛子を自然と欲することもあるそうです。

夏こそ辛い物を食べよう！といいたいところですが、辛い物を食べることにより、体内では良い効果もあれば、悪い効果もあります。どちらも基本的には辛い物から受ける“刺激”が原因です。食べ過ぎると問題が発生することになりますので、しっかり知った上で、辛い物を食べましょう。

唐辛子を用いた辛い食べ物を食べる場合、脂肪を燃焼するというメリットがあります。これは唐辛子の辛味成分であるカプサイシンの働きによるもので、停滞している代謝を底上げして、太りにくい体質に導くためにも有効です。

辛い物を食べると、体がポカポカ温まるというメリットがあります。例えば、生姜を食べると、辛味成分のジンゲロールなどの働きにより、血流促進とともに体温が上昇します。寒さが厳しいときには、生姜入りの紅茶やハーブティーを飲むのも良いですね。

逆に、身体を冷ます効果もあるんです。東南アジアのタイでは、高温多湿の環境に対応するために、辛い食べ物で一時的には体温が上昇しますが、発汗を促して体温を下げる知恵があるそうです。中国の四川省では、山椒や唐辛子を豊富に使った麻坊豆腐を食べることで、同じように体温を下げる食文化があるそうです。発汗の影響で徐々に体が冷えて、無理のない形で涼しさを実感できます。

余計な水分が発散することというメリットもあります。夏の時期になると、水太りの状態になることが少なくありません。冷たくて水分が多い麺料理を食べる場合に、薬味として唐辛子や山椒などを添えるだけで内容が変化します。冷たい食べ物の問題を軽減させて、むくみを予防し、美容や健康にとっても役立つ性質を持っています。

停滞している気血の流れを良くする効果があるとされているため、免疫力を高めるためにも欠かせない要素です。

体質的に暑がりな人が辛いものを大量に食べると、体全体の熱が蓄積してしまいます。頭から下半身も含めて、全身が灼熱のような状態になるわけですから、この段階で体力も余計に消耗することになります。結果的には余計な疲れが残ることになり、翌日の仕事や勉強のモチベーションを下げる原因にもなってしまいます。

辛い物が胃腸に負担をかけることに加え、喉の渇きが引き起こす過剰な水分補給による胃腸への負担も考えられます。

適度な発汗であれば、余計な水分を発散するだけで終わりですが、過剰であれば喉の渇きが深刻になります。激辛料理を食べることにより、猛烈な暑さと喉の渇きを感じるようになるため、大量の冷水を飲むことがあります。急激に大量の汗をかくだけでも負担になりますが、さらに余計に水を飲むことになるわけですから、胃腸への負担も大きくなってしまいます。

辛味が強すぎると、旨味や甘味に対する感度が鈍化して、何を食べているかを把握できなくなってしまいます。料理の種別も考慮せずに、何にでも唐辛子をかける人を見ることがありますが、このような場合には繊細な味覚が失われていると考えられます。

夏バテによる食欲不振などには、辛い物の食欲増進はメリットになりますが、ダイエットの面で考えるとデメリットになります。たとえば、カレーライスの場合、辛味や芳香の影響が強くなり、芳香性の健胃作用も相まって食欲が増進することは間違いないでしょう。