印鑑の歴史をご存知ですか?
印鑑が社会で重要な役割を担っているのは日本だけのようです。ですが、印鑑は我が国、日本が発祥ではありません。そんな印鑑の歴史について調べてみました。
日本では当たり前のように使われている印鑑ですが、ほかの国ではあまり使われなくなってしまいました。印鑑が社会で重要な役割を担っているのは日本だけのようです。ですが、印鑑は我が国、日本が発祥ではありません。そんな印鑑の歴史について調べてみました。
印鑑の起源
1. 印鑑の発祥は、5000年以上前に遡ります。古代メソポタミアに起源がされており、当時の有力者だけが持てるものでした。現在のような丸い印面に文字を刻む形のものではなく、筒型の側面に刻んだ絵や模様を粘土に転がすように押し付けて刻んで使う物でした。権力者の書簡を封印し印をつける、という目的で使用されていたようです。またツタンカーメンの遺跡の中にも王家のしるしを表すスカラベ型の印章が残されていたり、中世ヨーロッパでも権力者たちの象徴として封印や認証のしるしとして多く使用されていたことが歴史から伺えるそうです。
2. シルクロードを経てアジアへ
メソポタミアで発達した印鑑はエジプト・ギリシヤ・ローマと各地へ広まり、シルクロードを通じ遠くアジアへも伝播、そして中国において印鑑文明が大きく発達します。一方、その後欧州圏においては印鑑の習慣はサインに変わり衰退します。
3. 中国で文化・制度として統一
秦の始皇帝が「篆書体(てんしょたい)」という印鑑用の文字を定め、官印制度として正式に統一したことで、印鑑の制度が確立しました。その後、漢の時代にはますます印鑑が広く使用されるようになります。皇帝からその信頼の証・統治の証として諸国の王に授けられるようにもなりました。
4. 中国から日本へ
金印「漢委奴国王」日本の印鑑の歴史としては、中国から贈られた金印に端を発するとされています。北九州で発見された「漢委奴国王」と刻まれた金印や、卑弥呼に贈られた「親魏倭王」の印などを歴史の教科書などで目にしたことがあることでしょう。
奈良時代においては、大宝律令により公にのみ公印の使用が認められ、私印は国家の許可が必要で社寺印として用いられていました。
平安時代に入ると藤原家などの貴族も私印を使うことが許されるようになります。武士が台頭するようになると、花押(かおう)と呼ばれる書き判が広まり、願文や遺言状などに多く残されています。このころから、個人の印(しるし)として印鑑を押す習慣が定着していきました。戦国の世になると、各地の武将たちはそれぞれに趣向を凝らした私印を作るようになります。織田信長の「天下布武」の印や、上杉謙信の「地帝妙」の虎の印などが知られています。江戸時代には商業や貨幣の発達に伴い、一般の庶民階級でも印鑑が広く使用されるようになりました。
印鑑制度の確立
実印の役割が明確となり、明治6年(1873年)10月1日、明治新政府が太政官布告で「本人が自書して実印を押すべし。自書の出来ない者は代筆させても良いが本人の実印を押すべし。」と、署名のほかに実印を捺印する制度を定め、印章が正式に市民権を得ることとなり今日に至ります。この10月1日は、『印章の日』され毎年記念行事が行われています。
古くは国や支配者の正式な証(あかし)・権力の象徴として印鑑は重用され、歴史の変遷を経て一般庶民の生活を滞りなく行うための制度として確立されたのが今日の印鑑です。日本で、社会生活を正確にスムーズに潤滑させる制度であり、自分自身の名を書面に押印してその意志決断の証(あかし)となったわけですね。
まとめ
1. 発祥は、紀元前のメソポタミア。
2. 世界各地に広まり、中国で印鑑文化・制度が確立する。
3. 日本へは中国から金印「漢委奴国王」を賜わったことから定着していく。
4. 公にのみ許された公印を経て、貴族や武将・権力者が趣向を凝らした印を持つようになり、江戸時代の商業や経済的発展とともに一般庶民にも定着していく。
5. 明治に入り、政府が正式に印鑑登録制度を制定。
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