腸内フローラが大事な理由

腸や胃、食道などを含む消化管には、1000種類・1000兆個もの細菌が存在するといわれています。各々が集団を形成しバランスを保っていて、この集団を「腸内フローラ(細菌叢/さいきんそう)」と呼びます。腸内環境はこの腸内フローラ、すなわち細菌の割合により変化します。

腸内環境を左右する腸内細菌は、大きく3つに分けられます。良く耳にする「善玉菌」「悪玉菌」のほか、そのどちらでもない「日和見(ひよりみ)菌」があり、もっとも多いのが日和見菌です。この菌は善玉菌が優勢だと良い働きをし 悪玉菌が優勢だと悪い働きをすることが多いため、善玉菌が多い環境をつくっていくことが重要になります。

現在ではこうした腸内環境が、単に排便の調子だけではなく、あらゆる病気の発症に関わると考えられています。とくに近年は、脳と腸との関係性(腸脳相関)が解明されつつあり、腸の状態がうつ病などの精神疾患やアレルギー疾患に影響があることもわかってきました。そのため腸内フローラが重要視されているのです。

腸内環境は生まれた瞬間から変化し続けます

私たちは皆、胎児の時には無菌状態ですが、出産時に母親から菌をもらい、その後さまざまな菌をもち続けていきます。腸内にどんな菌をどのような割合で保有していくかは、食事や抗菌薬(抗生物質)の使用などで変わります。

腸内環境は成人してからも変化し続けます。良い方に変化すればよいのですが、食事や生活リズムのバランスが崩れると、腸内環境はすぐに悪化してしまいます。また、現代人の多くが抱えるストレスも腸内環境を悪い方へと変えてしまいます。ストレスが腸蠕動(ちょうぜんどう)をつかさどる自律神経を乱すばかりか、悪玉菌を増やしてしまうのです。

腸内環境を良い方向へ変化させる「腸活」が必要とされているのは、現代人の生活スタイルや社会状況から考えれば当然といえるかもしれません。

腸活は、何をするのが正解なの?

腸内環境には、食事、睡眠や運動などの生活スタイル、ストレスが大きくかかわります。食事を中心に、日々の暮らしで心がけたいことを具体的にみていきましょう。

食事は善玉菌を意識するよりもバランス重視で善玉菌を増やすことも大切ですが、まずは、さまざまな栄養素をバランスよく摂取することを心がけてください。そのうえで善玉菌を増やす食べ物をとりましょう。ちなみにダイエット中の人が糖質や脂質を極度に制限することがありますが、栄養の吸収などに有用な役割を果たすため、ある程度は摂るようにしてください。

●組み合わせて食べる
食べ物には、善玉菌そのものとなる「プロバイオティクス(乳酸菌やビフィズス菌など)」と、善玉菌を増やす作用のある「プレバイオティクス(オリゴ糖や食物繊維など)」があることも知られるようになりました。また、プロバイオティクスとプレバイトティクス両方を摂り入れる「シンバイオティクス」も注目されています。例えば、チーズ(乳酸菌)とゴボウ(食物繊維)、ヨーグルト(ビフィズス菌)とバナナ(オリゴ糖)といった組み合せで摂取することも有効です。

●2週間くらい食べ続けて様子をみる
腸内フローラには個人差があり 整腸剤やヨーグルトとの相性があります。心身ともに疲れない範囲でいくつかの種類を試し、自分に合うものを探すとよいでしょう。およそ2週間程度続けることを目安として、体調の変化を観察してみてください。

●生活リズムをゆるやかに整える
生活面では規則正しい生活を心がけてください。不規則な生活はカラダにとってストレスとみなされ腸内環境の乱れにつながります。とはいえ、現代に生きる私たちの生活は日々異なります。きっちりとした生活リズムを保とうとすること自体がストレスとなる可能性もあります。
「食事の時間、寝る時間、起きる時間は、毎日だいたい○時頃」など、ゆるやかな生活リズムを整えることから始めるとよいでしょう。


●続けることが何よりも大事
腸内環境は変化しやすいため、「腸活」は一時的な改善よりも、いかに自分にとって継続していけるかがポイントになります。腸内環境も生活スタイルも人それぞれです。自分に合った方法を見つけて無理なく続けていきましょう。

関連するまとめ

よく噛んで食べる!それが健康への第一歩!その絶大な効果とは?

よく噛む人 あまり噛まない人 あなたはどっち派? 健康維持の為の一つとして、これから直していきましょう!

そろそろ夜も暑くなり寝苦しくなる季節、熱帯夜での理想の睡眠方法とは?

梅雨の時期はジメジメ、ムシムシ 梅雨が明けると今度は熱帯夜 エアコン・扇風機・何もつけない。 熱帯夜はどれも…

お酒では聞いたことのあるカシス。カシスを摂ることでどんな効果があるのか?

カシス(cassis:フランス語)は、ベリー類のひとつで、ブルーベリーやサンタベリーによく似た小さく丸い果実…

関連するキーワード