あなたが飼うならどの猫ちゃん?猫ちゃんの歴史から飼い方までご紹介します!パート④
今や犬を飼うより猫を飼っている人の方が多くなってきている猫市場。犬より世話もかからない猫ちゃんですが、まずはその生態をしっかりとお勉強しておきましょう。
アメリカンショートヘア
●アメリカンショートヘアの歴史
日本でも大変人気のあるアメリカンショートヘアは、イギリスのブリティッシュショートヘアが直系の祖先猫です。ブリティッシュショートヘアは大変古い歴史の猫で、ヨーロッパヤマネコがイギリスでスコットランドヤマネコとなり、変化したものと考えられています。
ブリティッシュショートヘアはメイフラワー号に乗って、移民と共にアメリカに入りました。この時の猫たちがアメリカンショートヘアの土台となったと考えられています。
彼らはペットとして入ってきたのではなく、穀物を荒らすネズミ退治のために飼われていました。ペット向きではない強い面がありますが、ハンターとしては大変優秀で、多くの農場や家庭で求められました。彼らの子孫は交雑があったにもかかわらず、50ドルから100ドルで売られていたと言われています。
この時代はまだ、愛玩目的の純血種として求められていなかったため、行われていた異種猫との交雑により、アメリカンショートヘアは遺伝疾患の少ない頑健な体を得ることができたと考えられています。
アメリカの農業が大規模化し、穀物管理の手法が発展すると、ハンターとしての猫たちはお役御免になりました。しかし、特徴的な銀灰色のクラシックタビーの美しさに魅せられた愛好家の手によって、品種確立を目指して育種されることになりました。
アメリカでは1895年のキャットショーでデビューしましたが、この時のカタログには1000ドルの値段がつき、さらに翌年の1896年のショーでは2500ドルの値が付くほど人気が上昇していたとされています。
アメリカの愛猫団体であるCFAは、1906年創設時に登録した5猫種のひとつとして採用しましたが、この時の名前は単に「ショートヘア」とされ、他の短毛猫とひとくくりにされていたようです。その後、愛好家により性能・容姿・性格において選択交配による改良が続けられた結果、1966年にはアメリカンショートヘアと改名されました。
日本に入ってきたのは1980年以降とされていますが、日本猫とは違うパターンのタビーや気質、丈夫な体質に、熱心な愛好家が増え続けています。1996年、単猫種愛好家クラブとしてアメリカンショートヘアクラブジャパンがCFAに認可されるまでになりました。
●アメリカンショートヘアの飼い方
アメリカンショートヘアは、純血猫として品種が確立してから家庭猫として改良が続いてきたものの、優れたハンターの資質は健在です。
バタバタと走り回って遊ぶことは、彼らの心身の健康のために欠かせません。
特に若猫時代は、十分なおもちゃで遊んでやり、しっかしたキャットタワーを用意してあげましょう。
やや太りやすい傾向がありますので、食事管理も大切です。
ブリティッシュショートヘアの性格を引き継いだ、触られるのを嫌がるタイプの個体がいますが、気を引こうとおやつを与えすぎるのは、良いことではありません。
短毛で被毛は厚いものの、手入れは楽です。換毛期にはしっかりとブラッシングやコーミングをしてあげましょう。
●アメリカンショートヘアの毛色
アメリカンショートヘアは日本では銀灰色のクラシックタビーがよく知られていますが、黒、白、銀、クリーム色、赤、茶色、青など非常に多くの毛色があり、タビーでないソリッドカラーや、ホワイトとのバイカラーもあります。
●アメリカンショートヘアの気を付けたい病気
アメリカンショートヘアは、猫種作成の初期に非常に多くの猫との交雑があったことから、遺伝疾患は比較的少なく丈夫とされています。
平均余命も15年と、純血猫の中では長生きの傾向がありますが、かかりやすい疾患として、ワクチン誘発性繊維肉腫と肥大型心筋症が知られています。
ワクチン肉腫は、ワクチンを打ったあとの反応で繊維肉腫が発生し、発生した部位によって内臓など体の機能障害が起こります。この病気はワクチンを打ったあとの免疫反応により起こると考えられていますが、詳しくは解明されていない部分が多いです。また、進行が早いため、腫瘍を認めた場合はただちに手術が必要になります。
毎年同じ場所にワクチンを打つと、その部位になりやすいという傾向もあると考えられていますので、ワクチンの接種部位を記録しておくのが良いかもしれません。
また、この病気はワクチンとの関連性が強いものの、接種後数日から数年後に発症する場合もありますので、経過観察や接種記録は大切です。
肥大型心筋症は中年齢以上の猫に多く発生しますが、アメリカンショートヘアでは重症化することは少ないとされています。
この病気は、心臓の周りの筋肉が肥大、肥厚することから、心臓の動きが悪くなることで、不整脈による突然死や血栓の発生などが起こります。
心臓の機能が低下すると、不活発になり、寝てばかりということが増えてきます。年齢のせいかしらと思い込まずに、元気がなさそうに見えたら動物病院で受診するようにしましょう。
ペルシャ
●ペルシャの歴史
ペルシャは、いわゆる純血種の猫の中では最も古い品種の1つとされており、はっきりとした起源はわかっていません。
象形文字で書かれた古代の文書にさえ、ペルシャを想像させる長毛猫の記述があるくらいです。
16世紀頃、トルコ経由でイタリアへ入った長毛の猫があり、これがペルシャまたはターキッシュアンゴラであると考えられてきました。しかし、近年の遺伝子解析研究により、猫種としてのペルシャは西ヨーロッパで成立した可能性があることが指摘されています。
18世紀頃にはヨーロッパ各地の上流家庭で飼育される人気のペットとなり、イギリスで初めて行われたキャットショーに出陳され、19世紀にはアメリカに輸出されることになりました。
19世紀以降、長い間にわたって、安定した人気を得ていたペルシャですが、20世紀以降、より鼻が短くなることを目的にした選択交配がされました。
特に、犬のペキニーズをまねてレッド系の毛色を使って短頭化したものはpeke-face(ペキフェイス)と呼ばれ、一部に愛好家がいましたが、1958年から1995年までわずかに98頭が登録されただけとなりました。極端な短頭化で涙道が短くなり常に涙があふれる、また鼻腔狭窄(びくうきょうさく)により呼吸困難になるなど、健康上の問題がクリアできなかったものと考えられています。
欧米の一部では、鼻の短いエクストリームタイプがキャットショーなどで好まれていますが、家庭では健康上の問題がより少ないトラディショナルのペルシャに人気があるようです。
ペルシャはほかの様々な猫種の基礎となり、あるいは近親交配による弊害を避けるための異種交配の相手としても使われてきました。ペルシャが基礎となった猫種としては、シャムとペルシャの交配で生まれたヒマラヤンや、ブリティッシュショートヘアとの交配で生まれたエキゾチックショートヘア、特定の顔立ちと毛色の傾向を選択交配したチンチラなどが知られています。
●ペルシャの飼い方
ペルシャは長毛種の中でも、特に被毛の厚い猫です。
ダブルコートの被毛はトップコートもアンダーコートも細く、みっしりと生えていますので、できるだけ毎日ブラッシングまたはコーミングをしてあげましょう。
放置すると毛玉だらけになり、通気性が落ちて皮膚炎の原因になったり、毛づくろいで毛を飲み込んで毛球症をおこしたりすることがあります。
ペルシャは成猫になると大変落ち着いて、運動や狩りを好む猫ではありません。また、太りやすい傾向がありますので、食事で体重管理をしたいものです。
●ペルシャの毛色
ペルシャは単色ではホワイト、ブルー、クリーム、レッド、各色のタビー、またバイカラーやキャリコ(三毛)、スモークと呼ばれる霧がかかったような毛色もあります。
ヒマラヤンを単猫種として認めていない団体では、ヒマラヤンのカラーパターンもペルシャとして認めているようです。
●ペルシャの気を付けたい病気
ペルシャは平均寿命は15~20歳と、かなりの長生きをする猫ですが、実は遺伝性疾患も多いことで知られています。
特に多発性のう胞腎では、両親のいずれかが発症していれば50%の確率で発症し、治療法のない病気です。
生後数か月から2歳くらいまでに発症し、7~8歳くらいまでに亡くなってしまうことがほとんどです。
また、シュウ酸カルシウムによる尿石のできやすい傾向があります。
尿路閉鎖となると命にかかわりますので、ふだんからよくお水を飲むように工夫し、おしっこの量や色には日頃からよく注意してあげましょう。
ペルシャはその他、眼瞼内反症、流涙症、白内障などの眼病や、皮膚糸状菌症、脂漏性皮膚炎などの皮膚病、肥大型心筋症などの心臓病、遺伝性難聴などが知られています。これらは、ただちに命にかかわる病気ではありませんが、愛猫の生活の質にかかわってきます。皮膚疾患の予防と早期発見のためにはこまめに被毛の手入れを行い、眼病予防のためには涙や目やにの量に注意しこまめに拭き取ってあげるなど、日頃から健康管理を十分に行ってあげましょう。
サイベリアン
●サイベリアンの歴史
サイベリアンは、ロシア土着の猫とされていますが、その起源はよくわかっていません。
近年の遺伝子解析による研究では、ウラル山脈をはさんで存在したペルシャやアンゴラと同じ祖先を持ち、紀元1000年頃には存在したと考えられています。
長毛でサイズが大きく、ノルウェージャンフォレストキャットやメインクーンとも比較的近い血縁であると考えられていますが、メインクーンよりはやや小さく、ノルウェージャンフォレストキャットとは頭部の形が違います。この2種との決定的な違いは、サイベリアンの方がより丸い形で「ビヤ樽形」とも呼ばれる体型を持っていること、そしてダブルコートの個体と共にトリプルコートという極めて珍しい被毛の個体が多く存在することです。オーバーコートは寒さと水分および乾燥から守るために、多めの皮脂で覆われているため、ほかの2種よりも硬い手触りです。
サイベリアンとはシベリアを指しますが、極寒のこの地域は野生ネコの存在する北限地域であり、この地で生き延びるための身体的な特徴や生活行動が見られます。
サイベリアンは、1871年にイギリスで行われた最初のキャットショーに出陳されて人気を得ましたが、当時のロシアは他国との交流や交易が制限されていたため、入手するのが大変難しい猫として知られていました。国外に輸出されるようになったのは、記録のあるところでは100年後の1987年以降のこと、サンクトペテルブルグのキャットクラブから輸出されたとなっています。当初は、ポーランドやドイツなど政治的に近い国やスカンジナビア3国のように地理的に近い国に限られていました。
ロシアとの冷戦時代であったアメリカに送られたのは1990年になってからで、文化交流プログラムの一環として数頭がアメリカの繁殖家に贈られたのみでした。1992年にTICAが新猫種の予備登録を行い、1996年には正式に猫種として登録されることになりました。
その後は政治的な雪解けとともに、世界各国に輸出されるようになりましたが、ロシアを代表する猫として現在も国際交流のシンボルになっています。
近年では、秋田県知事から秋田犬を贈られたプーチン大統領が、返礼に「ミール」という名前のサイベリアンを贈ったことで話題になりました。
サイベリアンは、ロシアではメドベージェフ首相やゴルバチョフ大統領など要人の愛猫でもありました。
●サイベリアンの飼い方
体の大きな猫は、活発と言ってもそれほど運動能力が高いわけではない場合が多くありますが、サイベリアンの場合は話が別です。
極寒の荒れ地に暮らすこともあった彼らは、大きな体にしっかりした足腰を持っているため、大型猫としては例外的なほど跳躍力があり、高い所にも喜んで駆け上ります。キャットタワーは体重に耐えるようにしっかりと安定したものを設置するようにしましょう。
ロシアではサーカスに使われていたことがあるほど賢く、しつけは楽です。
愛情深いものの依存心はほどほどなので、留守番もできます。
また、サイベリアンは水を恐れない面がありますので、危険防止のために風呂や洗濯機のふたはしっかりと閉めておきましょう。鑑賞魚を飼っている場合、格好のおもちゃになってしまうことがありますので、警戒が必要です。
なお、サイベリアンはほかの猫に比べて猫アレルギーを起こしにくい猫とされているようですが、科学的な根拠は十分ではありません。研究でわかっていることは、猫の唾液やフケ、毛に含まれているアレルギーを起こす因子(たんぱく質)が、サイベリアンはほかの猫とは違う種類の因子であるということだけです。
アレルギーのある方は、ほかの猫種と同様、家族としてお迎えする前に慎重に検討して下さい。
●サイベリアンの毛色
サイベリアンはソリッドカラー、タビー、バイカラーなどいろいろな毛色が存在しますが、公認される毛色は登録団体によって異なっています。
原産国であるロシアでは公認される毛色は主に茶色や黒褐色など幅が狭く、アメリカなどでは多くの色とパターンが公認されているようです。
●サイベリアンの気を付けたい病気
猫は一般に犬よりも腫瘍の発生が少ないとされていますが、サイベリアンは毛色の白い個体について、悪性腫瘍の起きやすい系統があるとされています。猫の場合、悪性腫瘍は予後の悪い場合が少なくありませんので、小さなおできでも見逃さずに早めに動物病院を受診しましょう。
そのほか、遺伝的に起こりやすい疾患として、肥大型心筋症、多発性のう胞腎があります。
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