メインクーン

●メインクーンの歴史

メインクーンは北アメリカでもっとも古い猫のひとつですが、その起源には諸説あります。
もっとも知られており、もっともユニークなのは、メインクーンはアライグマと猫の交雑で生まれたという説です。実際には不可能な組み合わせですが、メインクーンの体の大きさと毛色、被毛の特徴から生まれた伝説と考えられています。メインクーンはアメリカ・メイン州のシンボルである猫ですが、アライグマの仲間を意味するcoonとの語呂で、そのような想像が導かれたのかも知れません。
最も現実的な説としては、北欧の猫がバイキングまたは交易ルートで北米に入り、土着の猫と交雑してできあがったというものです。メインクーンはノルウェージャンフォレストキャットとの類似点が多数あることからも、非常に有力な説と考えられています。
アメリカでは早くからキャットショーに出陳された人気の猫種で、1895年にはマディソンスクエアガーデンでのキャットショーで最高賞を受賞しました。
しかし1900年代に入ってからは、ペルシャに人気を奪われてしまいました。
人々の関心がメインクーンから離れたことで、血統の登録は先細りになりました。しかし、メインクーンの繁殖家と愛好家たちが、1968年にメインクーンの専門クラブ「MCBFA(メインクーン・ブリーダー・ファンシャーズ・アソシエイション)」を設立すると、少しずつ人気が回復しました。
現在も存続しているMCBFAは200人の専門ブリーダー、キャッテリーと、1200人以上のファンシャーが参加する大きな会になりました。
また、1980年までに、TICA、CFAほかすべての血統登録団体に猫種として登録されました。


●メインクーンの飼い方

猫種の中でもとりわけ大きな体を持つメインクーンは、成猫の身体に達するまで4年はかかるとされています。
しっかりした体を作るために、よく運動させ、バランスのとれた栄養を与えましょう。
また、ネズミ捕りの仕事を与えられていたメインクーンのハンター気質を満足させるような遊びをしてあげたいものです。
メインクーンは寒冷地域で長い間生活をしてきた猫ですので、防水・防寒のために被毛には皮脂が十分にまわっています。
毛のもつれは少ないものの皮脂で汚れやすいため、できれば毎日、少なくとも週に2~3日はブラッシングやコーミングなどの手入れを行いましょう。
活発で運動量が多く高い所に上るのも好きですが、体が大変大きいため、キャットタワーは足場の安定したものを固定するようにしましょう。体格が大きい分スペースが必要になりますので、事故防止のために足場になる家具の上などはよく整理しておきましょう。


●メインクーンの毛色

メインクーンはブラウンやシルバーのタビーが知られていますが、バイカラーやキャリコ(三毛)なども存在します。


●メインクーンの気を付けたい病気

メインクーンは北アメリカの厳しい気候で生活できる個体だけが生き残ってきた、丈夫な猫です。
しかし、中年期に入れば、それなりの疾患は出てきます。純血猫に多い肥大型心筋症は、メインクーンでも発症しやすく、遺伝性疾患であるとされています。ある調査では、メインクーン全体の3割がこの遺伝子を持っているとされており、発症すると心不全、後ろ足麻痺、突然死などの可能性が高くなります。
ペルシャ系の猫に発症する多発性のう胞腎ですが、メインクーンにも発症リスクがあるとわかってきました。
腎臓にのう胞が多発し、腎不全となって死に至る病気です。この病気は2歳までに発症すると8才程度までしか生きられないことが多く、治療方法はありません。
メインクーンの遺伝疾患は他に脊髄性筋萎縮症などがありますが、普通の飼い主さんにとって遺伝子検査はまだ一般的ではなく、定期的な健康診断で早期発見に努めることが望まれます。
また、メインクーンは股関節形成不全の原因となる関節異型性を起こすことがあります。大型犬で起こりやすいとされる疾患ですが、猫としてはメインクーンが一番多く発生するとされています。

ラグドール

●ラグドールの歴史

ラグドールを最初期に作出したのは、アメリカ・カリフォルニアに住んでいたペルシャ猫のブリーダーでした。
地域で暮らしていた外猫と、ブリーダーの飼っていた猫を交配して生まれた子猫が基礎となったと伝えられています。
ラグドールの歴史には、ちょっとした騒動がありました。
作出した人物は、この猫の魅力に自信を持ち、新しい品種として育成することとをビジネスと結びつけて計画しました。ラグドールの品種名は、登録商標でもありました。
そして、既存の猫血統登録団体には登録せず、新しい団体IRCAを設立し、ラグドールの血統管理と個体管理をフランチャイズビジネスの本部として行おうと考えていました。繁殖を行う目的の人には、フランチャイズ契約を行うことを条件に、猫を譲り渡していました。
このような仕組みに疑問を持ったある夫婦が、フランチャイズ契約を行わずに譲り受けた子猫で、新たに繁殖を行うことにしました。
そして1970年代以降、固定化したラグドールは、初期の作出者以外の繁殖者によって、有力な血統管理団体CFAやGCCF、FIFeに登録することができました。
また、ラグドールの初期の作出者が設立した血統登録団体IRCAは20世紀後半に分裂してしまいました。
この時期までにIRCAにかかわった人たちが、ラグドールを基礎に作った新しい猫種がラガマフィンです。


●ラグドールの飼い方

ラグドールは、活発に活動するよりもリラックスして過ごすことが好きな猫ですが、子猫から若猫時代は普通の猫らしく非常に活発です。体が大きいため成猫になるまで3~4年はかかりますが、この時期を過ぎると性格は落ち着いてきます。
しっかりした体と美しい被毛を作るために、バランスの良い栄養の食事を与えるようにしましょう。
成猫は高い所を好むということは少なく、体も大きいことから、キャットタワーを設ける場合は低めでかまいません。大きな体の動きに耐える、安定した土台のものを用意しましょう。
ラグドールはセミロングとはいえ、被毛は厚く豊かです。できれば毎日、少なくとも週に2~3回以上のブラッシングまたはコーミングで、抜け毛をきちんと処理してあげましょう。


●ラグドールの毛色

ラグドールはシール、ブルー、レッド、クリーム、ライラックのポイント、これらのタビーポイント、バイカラー、トーティ(サビ)があります。
ラグドールは、毛色だけではなく斑の入り方に特徴があります。
顔や手足、尻尾などにアクセントが入る「ポイント」、四足に手袋や靴下を履かせたような「ミテッド」、2色
混合しているのがトーティ、2色が分かれているのがバイカラーになります。
また、生まれた時はほぼ全身が白く、成長に従って毛色が発現しますが、完全に発色するまで2年近くかかることもあります。


●ラグドールの気を付けたい病気

重篤な遺伝性疾患については比較的少ないとされているラグドールですが、祖先猫の中にペルシャがいるため、その遺伝子を引き継いでいます。
ペルシャに多くあらわれる肥大型心筋症は、ラグドールでもしばしば起こるようです。
この病気は、心臓を取り囲む筋肉が徐々に肥大していくことで、心臓の動きが悪くなり、全身に送り出される血液が滞りがちになります。
やがて心不全、貧血、血栓などを引き起こし、突然死に至ることもあります。
この病気になると、疲れやすくなることから、じっとしていることが増えるようになります。
運動を好まなくなるだけでなく、家族へ愛想を振る舞うことが減ったり、食欲が落ちてくることもあります。
中年齢以上で起こりやすい病気ですが、最近元気がないな……と感じたら、歳のせいにするだけではなく、病院を受診するようにしましょう。
遺伝性疾患ではありませんが、一般的にかかりやすい病気として膀胱炎や尿結石、長毛種では皮膚炎や毛球症などがあります。
膀胱炎や尿結石ではトイレが近くなり、血液の混じった色の濃い尿をすることがあります。
尿結石から尿路閉鎖になると尿毒症を起こして死に至ることがありますので、おしっこの変化には常に気を配るようにしたいものです。
皮膚炎や毛球症は、こまめなブラッシングやコーミングで予防することができます。日本の高温多湿の夏は長毛猫には厳しいものです。空調管理と共に抜け毛の手入れはしっかりと行ってあげましょう。

ミヌエット

●ミヌエットの歴史

ミヌエットは、以前は「ナポレオン」と呼ばれていた猫で、2015年5月に名称が変わりました。猫種の起源も新しく、最初の子猫が作出されたのは1996年のことです。
作出者のジョセフ・スミスは、猫ではなく犬のブリーダーで、バセットハウンドの繁殖やドッグショーでのジャッジメントを務めるなど、足の短いこの犬の熱烈な愛好者でした。

前年の1995年6月、ジョセフは米国の新聞「ウォール・ストリート・ジャーナル」の記事で、足の短い猫マンチカンのことを知りました。ジョセフはマンチカンに夢中になり、猫にも短足の遺伝子があること、そして育種のプロセスで避けられない、足が長くなってしまったマンチカン(のような猫)が捨てられて、多くの保護センターに収容されているのを知りました。ジョセフには収容されていた猫がどれもマンチカンであったかどうかの確信はなかったものの、「足が長くなるために捨てられる」という例があってはいけないと考え、自らの手で短足猫の固定化を試みたのです。
ジョセフは最初に、猫種として固定しているペルシャをマンチカンと交配させました。その子猫をヒマラヤンやエキゾチックショートヘアなどペルシャ系の長毛猫とかけ合わせて生まれたのがミヌエットでした。

ジョセフはミヌエットを新猫種とするため、2001年に猫の血統登録団体TICAで予備登録を受けました。その後もジョセフは研究と育種を続けましたが、彼の考える理想のミヌエットに近づくことがなかなかできず、2008年にはこの育種計画を降りてしまいました。しかし、サム・テートやマージ・ガードナーらほかのミヌエットのブリーダーが後を引き継ぎ、現在も世界中でミヌエットの育種が進められています。

鼻が低すぎない、足が短いことを共通点に長毛と短毛のあらゆる毛色が生まれることから、一見して固定した猫種とわかりにくいため、猫の血統登録団体ではミヌエットを新猫種として認めない団体もあります。そのためキャットショーに出展される機会も少なく、日本でも認知度が低い希少種となっています。


●ミヌエットの飼い方

子猫の頃は元気に大暴れするミヌエットですが、成猫になると落ち着いてくる子が多いようです。特に若いうちは、しっかりと運動ができる環境を整えてあげましょう。また甘えん坊で家族が大好きですので、たくさん遊んであげるようにしましょう。
甘えん坊なのにマイペースというミヌエットは、自分からは甘えたがるのに人からしつこくされると嫌がるという猫らしい面が強くあります。しかし頑固さや気の強さはあまりありませんので、生活のしつけはしやすいでしょう。
自立心もあるので留守番もできます。
短毛と長毛がいますが、長毛の場合はダブルコートで、大変柔らかい毛質のため、手入れは少々大変です。最低でも週に3~4回、できれば毎日ブラッシングをしてあげましょう。


●ミヌエットの毛色

長毛~短毛まであり、あらゆる毛色が認められています。


●ミヌエットの気を付けたい病気

ミヌエットの基礎猫として大きな影響を与えたペルシャは、遺伝性・先天性疾患の多い猫として知られています。そのような疾患を排除すべく育種が続けられていますが、影響を完全に排除することはできません。
すべてのミヌエットが疾患にかかるわけではありませんが、気をつけておきましょう。
遺伝性疾患の重篤なものとして、肥大型心筋症・拡張型心筋症などの心臓疾患や、のう胞腎があります。
心筋症は心臓を動かす筋肉が太くなったり、心臓が拡大することで負担が大きくなる病気です。たいして運動していないのに息苦しそうにぐったりしていたら、この疾患を疑って早めに病院で検査をしましょう。
のう胞腎とは、腎臓に細かい水の袋がたくさんできてしまい、腎臓の機能を奪ってしまう疾患です。
腎臓の機能が低下すると心臓疾患と同じようにぐったりとしてきたり、多飲多尿などの症状が現れますので、注意しておきましょう。
短頭種に起こりやすい角膜炎、流涙症などの眼病や呼吸器疾患を避けるため、ミヌエットはマズルが短くなり過ぎないよう育種されました。しかし個体差もありますので、涙の量やまぶた、目の様子には気をつけてあげましょう。また、暑い時期には空調を調節して、留守番をさせる場合もエアコンをつけておいてあげるのが良いでしょう。

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