ベンガル

●ベンガルの歴史

ベンガルの歴史は、アメリカ人繁殖家ジーン・サグデン・ミルズのひとつの試みから始まりました。
それは1963年、ミルズが1頭のヤマネコ、アジアンレパードキャットを手に入れ、自らの黒毛のオス猫と交雑を行ったことに端を発しました。この交配は成功し、生まれた子猫(F1世代)は最初のうちは母ヤマネコ同様の柄があったものの、成猫になると父猫の黒毛に覆われてしまいました。しかし、この黒毛のメスの子猫(F1世代)が産んだ猫たち(F2世代)は、ヤマネコのようなスポットを持っていたとされています。
事情によりミルズは、F3世代を見ることなく、繁殖を中止することになりました。
その少し後、同じアメリカのカリフォルニア大学で、猫の白血病研究が行われていました。この研究では、ヤマネコなど一部の野生の猫はネコ白血病の抗体を持っているのではないかという仮説で、ヤマネコとイエネコの交配を行っていました。この時生まれた子猫は育種を再開したミルズに渡され、このF1世代を基礎に改めて繁殖と育種の途につくことになりました。
1983年に、ミルズはTICAにベンガルの登録を申請し、予備登録が認められて、育種のための観察期間が開始されました。
2年後の1985年、初めてキャットショーに出陳されたベンガルたちは、猫好きの飼い主や繁殖家たちから大絶賛を受けました。野性的な美しさと個性に魅了された繁殖家が次々と交配に乗り出し、アビシニアン、アメリカンショートヘア、エジプシャンマウ、シャムや世界各地の短毛の土着ネコなどと育種を進めました。この時の様々な交雑により、ベンガルは十分な遺伝子プールを持つことができ、純血の猫種として確立することになりました。
21世紀の現代では、ベンガルを基礎にオシキャットやシャムなどを交配し、新しい猫種の作出も行われるようになりました。
TICAでは今日まですでに6万頭以上のベンガルを登録しています。イギリスの団体であるGCCFもベンガルの登録を受け付けています。しかし、野生ネコの交雑を禁じているCFAではベンガルの登録を認めません。
TICAでは3世代の中にアジアンレパードキャットがいる時は、その子猫のショーへの出陳を禁じています。F1やF2など祖先に近いほど野性味が強く、家庭で飼いやすくなるのは4世代目のF4以降と言われています。
なお、現在はアジアンレパードキャットの輸出入や飼育は、法律の制限により難しくなっています。
ベンガルにはロングヘアが生まれることがしばしばあります。ロングヘア種は別の猫種として登録をするため、一部の血統登録団体で予備登録が行われています。


●ベンガルの飼い方

子猫~若猫時代はどんな猫でも活発なものですが、ベンガルは群を抜いています。
快速で走り、怖がらずに高所にかけのぼり、時には下にいる人の肩をめがけて飛び降りようとします。
成猫になってからも、ほかの猫種よりは運動量が必要です。
たくさん遊んであげる工夫や運動できる環境を整え、住居や家具類、キャットタワー等の配置を熟慮する必要があるでしょう。
ベンガルは非常に賢く、観察力や洞察力があるので、しつけそのものは難しくありません。
しかし、子猫から若猫時代は度が過ぎた甘えん坊ぶりを見せることがあり、留守番の気配を察すると、外出の邪魔をすることがあります。たいていは成猫になれば落ち着きますが、あまりひどいようなら相性を考慮しながら2頭飼育を検討するのも良いかもしれません。
また、窓や扉に鍵をかけ忘れると、開けられてしまうことがしばしばあるようです。
ベンガルの被毛はみっしりと生えていますが、シングルコートなので手入れは楽でしょう。


●ベンガルの毛色

ベンガルはブラウン、シルバー、ホワイトの3色の毛色に、2つの模様の組み合わせが基本となります。
模様はロゼットに代表されるスポット(斑)と、マーブルやタビーのような縞があります。
シルバーにはスモークが出る場合があり、公認色ではありませんが、ブルーやブラックも存在します。


●ベンガルの気を付けたい病気

ヤマネコとイエネコの交雑であるベンガルには、近年になって染色体に関係する疾患が報告されています。
常染色体劣性遺伝では、光受容器の疾患で失明する可能性や、ピルビン酸キナーゼ欠損症による溶血性貧血などが報告されているようです。
作出からわずか20年程度の猫種ですので、疾患の傾向はこれから発現することも考えられます。
また、野生種であるヤマネコの影響から、非常に多くの運動量が必要であり、運動不足ではストレスにより心身に悪影響が出ることがあります。皮膚疾患、脱毛やストレスによる威嚇、攻撃に至る場合がありますので、運動のできる環境を用意してあげるとともに、異変に気づいたら早めに動物病院を受診しましょう。

エキゾチックショートヘア

●エキゾチックショートヘアの歴史

エキゾチックショートヘアは、作出が始まってから50年程度という、比較的新しい猫種です。
1950年代に、2つの異なる目的において、繁殖が始まりました。
その1つ目は、ペルシャにアメリカンショートヘアの毛色を与えようという計画でした。
この異種交配はなかなかうまくいきませんでしたが、アメリカの繁殖家ジェーン・マーティンは、ペルシャとアメリカンショートヘアのあいだに生まれた短毛の子猫たちの魅力に着目して、新しい猫種として登録されるように働きかけ、1966年、CFA(アメリカ・キャットファンシャーズ協会)に登録されました。当初は銀の毛色のみとするとしてスターリングという名前が付けられていましたが、ほかの毛色も生まれることから、エキゾチックショートヘアという名前に変更されました。
もう1つ、同じ時期のアメリカで、キャロライン・バッセイという繁殖家が、茶色い毛のペルシャを作出しようと計画して、ペルシャとバーミーズ交配させていました。生まれた子猫は黒っぽい毛色ばかりでこの計画は失敗に終わりました。しかし、短毛に潰れた丸い顔のその子猫たちの予想外の可愛らしさに、バッセイはもしかしたらこの個性が多くの人に愛されるのではないかと考えていました。

この時代、ペルシャの短毛化やアメリカンショートヘアとの交配で銀の毛色を作出する目的で、多くのブリーダーが異種交配を試みていました。しかし、好ましくない繁殖や血統書の事実と異なる交配相手による作出などで突然変異を装うなど、不実な繁殖が横行していたとも言われています。
バッセイは新しく生まれた子猫たちを、倫理的にも正当に新しい品種として登録したいと考え、エキゾチックショートヘアとしては、バーミーズとペルシャから生まれた子にアメリカンショートヘアをかけあわせること以外は認められないと考えて広めました。
こうして1975年まで、エキゾチックショートヘアは、この猫種を品種として確立させながら、同時に多様な遺伝子を保存することができました。

作出が始まって比較的新しい猫種であり、現在もまだ劣性遺伝同士の交配で長毛のエキゾチックが生まれてしまうことがあります。この場合は、エキゾチック「ロングヘア」とする団体や、ペルシャとして認定する団体など、血統登録団体により規定が異なっています。


●エキゾチックショートヘアの飼い方

エキゾチックショートヘアは体型的にはペルシャを引き継いでいるので、運動能力は高くありません。それにもかかわらず、アメリカンショートヘアの影響により、活発な面があります。 高い所に上ったのに降りて来られなくなるなど、不器用な面が多々ありますので、特に活発な若猫のうちは事故が起きないよう遊び方には気をつかってあげましょう。
ペルシャ同様、太りやすい傾向がありますので、食事管理はしっかりと行いましょう。
エキゾチックショートヘアは短毛で被毛の手入れは難しくありません。定期的なブラッシングやコーミングを行ってあげましょう。


●エキゾチックショートヘアの毛色

エキゾチックショートヘアはホワイト、ブルー、クリーム、レッド、各色のタビー、バイカラーやキャリコ(三毛)、スモークなど、あらゆる毛色があります。


●エキゾチックショートヘアの気を付けたい病気

エキゾチックショートヘアはペルシャからいろいろな資質を受け継ぎましたが、残念なことにペルシャに多い疾患もまた受け継いでしまいました。
ペルシャの好発疾患である腎臓病の多発性のう胞腎は、エキゾチックショートヘアでも起こりやすく、発症すれば治療法はないため、食事管理などでコントロールすることになります。
多飲多尿の症状は腎臓疾患のサインの1つですので、見逃さないようにしましょう。
猫種にかかわらず、猫は水をあまり飲まないので、結石のできやすい傾向があります。特にオスはシュウ酸カルシウムによる尿石のできやすい傾向があります。尿路閉鎖となると命にかかわりますので、おしっこの量や色には日頃からよく注意してあげましょう。
そのほか、眼瞼内反症、流涙症、白内障などの眼病や、肥大型心筋症などの心臓病、ホワイトの多い個体では遺伝性難聴などが知られています。これらは、ただちに命にかかわる病気ではありませんが、愛猫の生活の質にかかわってきます。日頃の生活でよく観察し、健康管理を十分に行ってあげましょう。

ブリティッシュショートヘア

●ブリティッシュショートヘアの歴史

ブリティッシュショートヘアはイギリス原産の猫で、イギリスでは最も古い猫種のひとつとされています。
それは、ローマ帝国のイギリス襲撃の際に連れていた猫と推測され、エジプト由来の短毛猫と考えられています。
イギリスに入ってから1世紀近くのあいだを、ほとんど変わらない外見のまま繁殖していたようですが、19世紀の中ごろ、ネズミ捕りにおいて優秀な個体を選択して繁殖させていたことから、改良が始まりました。
この当時から、ペルシャなど長毛の猫との異種交配も行われており、長毛タイプも生まれていました。第一次大戦前はむしろ長毛タイプの方に人気があったようです。その後、短毛タイプはブリティッシュショートヘアの品種改良に、長毛タイプはペルシャの改良にと分けて交配に使われるようになりました。
しかし、原産国イギリスの猫血統登録団体であるBCFFは、ペルシャとの交雑に反対していました。そのため、第一次世界大戦後はペルシャとの交配種は第3世代(孫)以降のみブリティッシュショートヘアと認められることになったため、個体数が激減することになりました。
第二次世界大戦の頃には、食糧不足から各家庭でも猫の飼育が難しくなり、品種存続の危機とされるほど少なくなってしまいました。そのため繁殖家のあいだでも、ロシアンブルー、土着の短毛猫、ペルシャなどと交配相手が混乱することになりました。
戦後になると人気が上がり、1979年にはキャットショー参加資格を得ることになりましたが、ショートヘアと名付けられながら時々生まれるロングヘアのために、品種の確立には手間取ったようです
また、長毛タイプはブリティッシュロングヘアーまたはブリタニカと呼ばれ一定の人気を得て、2009年から別の品種としてキャットショーに参加しています。
ブリティッシュショートヘアは1620年代、アメリカへの移民の際にメイフラワー号に乗っていたとされ、アメリカンショートヘア種の基礎となったと考えられています。容姿はよく似ていますが、フレンドリーなアメリカンショートヘアに対してブリティッシュショートヘアはやや気難しい面があります。この気質と、威厳のある立ち居振る舞いから、イギリスでは時に「猫界のウィンストン・チャーチル」と呼ばれることがあるほどです。
また、ルイス・キャロルの童話「不思議の国のアリス」に登場するチェシャ猫は、ブリティッシュショートヘアがモデルとされています。


●ブリティッシュショートヘアの飼い方

ブリティッシュショートヘアはネズミ捕りハンターの気質は健在で、そのようなおもちゃであればよく遊びます。
しかし中年齢以降では、ほとんど騒がなくなるでしょう。
体質的に太りやすいので、中年齢以降は運動させるために工夫が必要です。
ブリティッシュショートヘアは短毛のダブルコートで被毛の手入れは難しくありませんが、気難しくわがままな面があるので、シャンプーやグルーミングは子猫の頃から慣らしておかないと、成猫になってから拒否されて手間取ることが少なくないようです。
来客など見知らぬ相手に懐いていくことは非常に少なく、無理に触ろうと追い詰めると怒ることがありますので、注意が必要です。


●ブリティッシュショートヘアの毛色

ブリティッシュショートヘアの独特の灰色は「ブリティッシュブルー」と呼ばれるほど代表的な色ですが、異種交配の過程でいろいろな毛色を取り込んだため、あらゆる色が発現します。


●ブリティッシュショートヘアの気を付けたい病気

ブリティッシュショートヘアは、全体の半分以上がB型の血液型であることが知られています。
猫の血液型はA型がほとんどなので、B型が多数であるブリティッシュショートヘアは大変珍しく、治療で輸血が必要な時や、妊娠・出産のときには注意が必要です。
猫は血液型の違う相手との輸血に対する抗体のショックが非常に大きく、血液型の違う輸血をともなう手術では、輸血のショックで亡くなってしまうことがあります。また、母と子猫の血液型が異なる時は、死産になったり、出生直後に亡くなってしまうことがあります。
ただし、すべてのブリティッシュショートヘアがB型とは限りません。万一に備えて、一度は動物病院で血液型の判定を受けておきたいものです。
ブリティッシュショートヘアは非常に古くから存在する猫種のため、頑健で遺伝性疾患も少ないとされていますが、中高齢になると肥大型心筋症が起こりやすいとされています。
進行を抑えて体を楽に保つために、終生投薬となることが多いようです。最近元気がないなと思ったら、年齢のせいと決めつけずに動物病院を受診しましょう。

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