キャバリア

●キャバリアの歴史

スパニエル犬種は本来は猟犬で、キャバリアの祖先犬も16世紀頃に存在していたと推定されています。
古くから犬好きで知られるイギリス王室でも、いろいろなスパニエル犬種が飼育されていました。
その名の通り、イギリスではチャールズ1世・2世に大変愛され、当初はコッカー・スパニエルと非常によく似た外見だったようです。

その後、19世紀になると、小型のスパニエルと東洋の鼻ぺちゃの愛玩犬を交配して、短吻のスパニエルが作られるようになりました。この時、犬種名を「キング・チャールズ・スパニエル」とされました。現在のキャバリアよりもひとまわり以上サイズが小さく、鼻が潰れて短い、現存する犬種でもあります。
鼻ぺちゃのキング・チャールズ・スパニエルは英国やヨーロッパの王族、貴族、資産家などに愛されてきましたが、いびきがうるさく病弱であることが欠点とされていました。そのことを残念に思った愛好家が19世紀前半ごろ、古いタイプのスパニエルを残そうという運動を始めました。支援者のひとり、アメリカ人の資産家が賞金を出して、中世の頃のようなスパニエルを求めたことから、繁殖家たちがこぞって戻し交配を進めることになりました。
こうして固定されたキング・チャールズ・スパニエルに、中世の騎士を意味する「キャバリア」の名を冠して命名されたのが、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルです。

犬種として登録された時期は、本国イギリスで1945年、アメリカでは1996年と大変遅くなりましたが、1960年頃には英国王室にもキャバリアが迎えられることになり、人気が広がっていきました。
キャバリア及びキング・チャールズ・スパニエルは、毛色は同じです。白地に茶色の斑が入るものを「ブレンハイム」という独特の呼び方をしますが、この毛色のキング・チャールズ・スパニエルを可愛がっていたマールボロ侯爵の領地に由来した名称とされています。また、黒・白・茶のトライカラーは愛称でプリンス・チャールズとも呼ばれています。


●キャバリアの飼い方

キャバリアは小型犬としてはやや大きめです。毎日30分くらいの散歩は欠かさず行いましょう。遊び好きですので、特に若いうちは室内で一緒に遊んであげることも必要です。

被毛はダブルコートですので、下毛が抜けます。表面の毛(トップコート)は床に引きずるほど伸びることはほとんどありません。巻き毛やくせ毛の個体もあり、細く絡みやすいため、週に3回くらいは解きほぐしてブラッシングをしてあげましょう。

イタリアングレーハウンド

●イタリアングレーハウンドの歴史

イギリスでは「IG」、日本では「イタグレ」と短く呼ばれているイタリアングレーハウンドは、グレーハウンドを小型化した犬と考えられています。祖先であるグレーハウンドは、古代エジプト時代の壁画にそれらしい姿が描かれているなど、想像を越えるほど昔から人間の近くで暮らしてきた犬であると推定されています。
イタグレも同じく古代エジプトのファラオの墓や紀元前のローマ遺跡から、よく似た犬が描かれた絵画や記録が存在していることから、グレーハウンド同様に古い時代から存在したものと考えられています。

小型化されたイタグレは、当初から愛玩犬として飼育されていたようで、エジプトから地中海を回ってトルコ、ギリシャに入り、紀元前5世紀ころローマ(イタリア)にわたって、上流階級のペットとして飼育されてきました。
16~17世紀ごろには南ヨーロッパ一帯に広がり、特にイタリアの王室や貴族たちには大変愛され、絵画や器の絵柄、美術品などに繰り返し登場するほどになりました。17世紀にはイギリスにわたり、上流階級から大切に飼われるようになりましたが、イギリスの寒い気候はイタグレの性質には合わないため、一般家庭にまで広く普及することはなかったようです。

18世紀後半、イタリアングレーハウンドはさらに小さくするために近親交配が進んで、虚弱な体質になっていました。戦争の時代に入り上流家庭の飼育環境が不安定になってくると、気候の変化に弱いイタグレは、少しずつ姿を消していきました。
絶滅の危機を救ったのは、19世紀初頭にアメリカに渡っていたイタリアングレーハウンドたちでした。彼らをイギリスに残っていた個体と交配し、ようやく復活の途に着くことになり、1853年にイギリスケネルクラブが発足した際には最初に登録された40犬種の1つとして、登録されるまでに至りました。


●イタリアングレーハウンドの飼い方

イタリアングレーハウンドは短毛で抜け毛が少なく手入れはしやすいものの、寒さには特に弱く、気候に応じて衣類を着用させることは、ファッションというより健康管理になります。
頭が小さく首輪が抜けやすいので、サイズをきちんと合わせること、もしくは首と胸にかかるタイプの8の字胴輪(ハーネス)を使うようにしましょう。スリムで胸幅が狭いため、腕だけを通すタイプのハーネスでは後ずさりした時に抜けてしまうことがあります。

特に寒い時期や酷暑の時期は、散歩は控えて、空調管理のできる室内でたっぷりと遊んであげましょう。
気候の良い時期はドッグランなどで思う存分走らせてあげるのも良いでしょう。
太ってしまうと関節に負担がかかり、細い骨が折れやすくなってしまうことがあります。

イタリアングレーハウンドは明るく大変おだやかですので、しつけはそれほど難しくはありません。子どもや他犬、小動物とも仲よくできますが、辛抱強さのあまりストレスをためてしまうことで、病気の原因になることがあります。
子どものいる家庭では、犬との関わり方に注意してあげたいものです。

スタンダードプードル

●スタンダードプードルの歴史

プードルはフランスの国犬であることからフランス原産と考えられてきましたが、実は古くから東西ヨーロッパ全体にプードルと思われる犬が存在していました。歴史的研究が進んだ結果、発祥はロシアまたは中央アジア北部であり、長い時間をかけて地域の犬と交雑されながらヨーロッパを横断し、ドイツからフランスへ入る頃には現在のプードルに近い形になったというのが現在の有力な説とされています。

16世紀までのプードルは、現在のスタンダードプードルかそれよりやや大きいサイズだけに限られており、使役犬として荷車を引き、水猟犬としてカモ狩りに従事するなどの働きをしていました。
胸回りや足先など体の一部を保護するための被毛を残してカットされる独特のトリミングは、水猟犬としてのニーズから行われたのが始まりとされています。
ドイツで猟犬として働いていた彼らは、フランスでも当初は猟犬として入り、カモ猟の犬という意味の造語で「caniche」と呼ばれました。
17世紀に入る頃になると、小さく作られたトイプードルが、フランス上流階級のあいだで愛玩犬として人気を博すようになりました。プードルはこの時期までに、すべてのサイズバラエティが存在していたと考えられています。賢く、訓練性能が良く、人に親しむプードルたちはスタンダード以外のサイズも、サーカスで芸を見せたりトリュフ探しに使われたりするなど様々な目的で使役され、その場に合った改良をされてきたものと考えられます。しかし、トイサイズまでのミニチュア化の経緯は今もって不明なままです。
実猟に使われる機会が減ってきたスタンダードプードルは、足場の悪さに耐える足腰の強さと知的判断能力を生かして、近年では災害救助犬としての活躍に注目されています。

サイズのバラエティは多くとも、それぞれのプードルの能力には違いがなく、あえて言うならば大型のスタンダードプードルはほかの3サイズに比べて神経質な面が少ないというくらいです。
身体構成もサイズによって比率が異なるだけで、そのまま縮小・拡大できるバランスとなっています。訓練性能や知能、基本的な性格も各サイズ共通しています。
近年ではトイプードルよりさらに小さいタイニープードルやティーカッププードルなども登場しています。
サイズを縮小して愛玩犬化してもなお、プードルらしい資質が失われず、矮小化に伴う遺伝病リスクを慎重に避けながら発展してきたプードルは世界中の家庭と多様な場面で、現在も愛され続けています。


●スタンダードプードルの飼い方

美しく優雅な容姿ですが、プードルはもともと猟犬ですので、体力があります。
好奇心も強いので、ありあまる体力を放置しておくと、暇つぶしと欲求不満で、室内やケージ内を荒らすなどのいたずらをしてしまうことがあります。
サイズに合わせて十分な散歩と、ゲーム的な運動や、環境が許せば水泳などもさせてあげましょう。

毛が抜けないから手入れが楽だと考えられがちなプードルですが、抜け毛がまったくないわけではありません。
また、独特の細かいカールにより絡まりやすいため、ブラッシングをしないとフェルト状になってしまいます。
できれば毎日、少なくとも週に2~3回はブラッシングを行いましょう。
頭や手足、胸の被毛を丸く大きく残すプードル独特のトリミングは、ある程度の長さが必要です。このトリミングを予定している場合は、毛が絡まらないように伸ばしておかなくてはいけません。

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