タイニープードル

●タイニープードルの歴史

タイニープードルはその名の通りTiny(小さな)プードルのことで、ティーカッププードル同様、近年作出されるようになりました。どのような背景で作出されたかは不明ですが、ティーカッププードルを作出する過程で生まれた小さなサイズである、トイプードルの繁殖の際に生まれるサイズの小さい個体である、などとされています。
タイニープードルを作出したとされるアメリカでは「Tiny Toy Poodle」と呼ばれることが多くあります。また、タイニープードルはトイプードルを繁殖している犬舎から生まれることもしばしばありますので、トイプードルとして繁殖をした中で生まれた小さなサイズがタイニープードルとするのが妥当なのかもしれません。

FCI(国際畜犬連盟)が認めているプードルのサイズは、スタンダード、ミディアム、ミニチュア、トイの4バラエティです。サイズごとに大きくなり過ぎた犬、小さくなり過ぎた犬がいますが、この場合は所定の手続きとショー会場での審査で、サイズ変更が認められることがあります。
スタンダードより大きくてもスタンダードプードルですし、トイより小さくてもトイプードルですので、タイニーサイズのプードルもトイプードルに分類されます。
サイズが違っても同じプードルであるとされる理由は、サイズに関わらず体型の構成比が同じであること、基本的な性能や性質が同じであることが理由となっています。

プードルの祖先犬はロシアまたは中央アジア北部の土着犬と考えられ、ヨーロッパ各地を経由して13世紀ころにはドイツへ、その後フランスへ入ったというのが現在最も有力な説です。
古い時代のプードルはスタンダードサイズが中心であり、使役犬であり猟犬でした。
小型化されたプードルの古い記録は、15世紀のドイツの画家、アルブレヒト・デューラーの版画の中に出現していますので、この時期までにはミニチュアまたはトイプードルが存在したと考えられます。17世紀に入ってフランス上流階級のあいだで愛玩犬として人気を博したプードルは、膝に乗るトイサイズであったとされています。一方でトイプードルは18世紀には、使役犬としても、サーカスで芸を見せたり、高級食材のトリュフを地面から探し出したりという仕事をしていました。
タイニープードルは作出されて歴史が浅いバラエティです。今後、正しい構成比でサイズが固定化できるか、プードルとしての性能や性質を維持できるか、長い時間をかけて検討していく必要があるでしょう。


●タイニープードルの飼い方

タイニープードルはトイプードルの中で小さく生まれた個体であり、個体により体質がまちまちです。
元気な個体はトイプードル同様、十分な散歩と遊びが必要です。運動と休息は骨格の発達を促しますので、骨の成長を助ける日光浴もかねて1日20分程度の散歩をしてあげたいものです。
成長が遅い個体は、動物病院でのワクチン接種が見合わせられることもあります。
この場合は、散歩に出ると伝染性疾患のリスクがありますので、散歩開始の時期を獣医師と相談しましょう。室内だけでも工夫して遊んでやり、身心の健全な発育を促してあげましょう。

タイニープードルの被毛の手入れはできれば毎日、少なくとも週に2~3回はブラッシングを行いましょう。

柴犬

●柴犬の歴史

柴犬について語る時、日本古来のという言い方をすることも多くありますが、実は柴犬は日本のみならず世界の犬の歴史として非常に古い犬のひとつです。最近のDNA分析研究によれば、狼との近さはシャーペイやバセンジーの次で2番目とされ、サルーキや秋田犬、チャウチャウよりもさらに古い犬種が柴犬なのです。
日本史上では縄文時代の遺跡から、柴犬の直系祖先である縄文柴と呼ばれる犬の骨が出土しています。
近くても紀元前400年頃、遠ければ紀元前1万年くらい前から、日本人のそばにいたのが柴犬でした。

世界中で自然発生的に生まれた純血犬がそうであるように、柴犬もまた山岳地帯という狭いエリアの中で、使役目的に応じた繁殖が続くことにより、ひとつの犬種として確立していきました。
おそらくは、現在の韓国や中国など南方から入ってきたと推定される柴犬は、北に向かって広がっていく中で、猟犬として人のそばで働き、地域に応じた個性を身に着けていきました。
柴犬の古くから存在する主な系統は3つあり、南では山陰柴、中部では美濃柴、甲信越で信州柴とされていますが、この地域に限るということではありません。

明治時代になると、日本にも少しずつ洋犬が輸入されるようになり、大正、昭和とその数や種類を増やしていきました。こうした中、日本犬の減少を憂慮した愛好家により、昭和3年に日本犬保存会が設立され、日本犬6種の標準を定めることとなりました。
しかし、昭和10年頃には、戦争のため犬たちを毛皮用として軍に供出することになり、戦時下、猟の仕事を失っていた柴犬たちもその犠牲になってしまいました。戦後、人々の生活が落ち着き始めた昭和27年頃、今度は犬ジステンパーが大流行し、柴犬を含む多くの犬たちが命を落としてしまいました。
また、戦後のどさくさと時代的な飼育管理の悪さから、柴犬「もどき」の交雑種が増えたことから、純粋な柴犬の数は激減してしまいます。

そこで、残っている純粋な柴犬のなかで優れた資質を持つ犬を交配して復活をはかると同時に、地域的に個性のばらつきがあった柴犬をひとつの標準にまとめることになりました。この流れにより、現代の柴犬たちは地域的特性をほとんど失っています。
一方で、縄文時代の個性を再現しできるだけ近づけていこうという方向性を持つ愛好家たちが、日本犬保存会とは別の団体である天然記念物柴犬保存会を設立しました。日本犬保存会とジャパンケネルクラブ(JKC)はほぼ同じ犬種標準を持つのに対して、天然記念物柴犬保存会は少し異なる標準であり、体形はスリムで個性的な顔立ちが特徴です。
近年は海外での評価も高く、特にアメリカでは専門のブリーダーが出てきているほどの人気となっています。


●柴犬の飼い方
柴犬は見た目以上の体力があるので、毎日しっかりと1時間以上は散歩をしましょう。
遊びにはあまり興味を示さない個体もいますが、子犬の頃からゲーム的な遊びを教えれば、不器用なりに遊びます。

性格的にはやや幅の広い個体差があり、我が強く、しつけや訓練が入りにくい性格の個体があります。
信頼関係をしっかり作りながらも、上下関係のけじめをつけること、甘やかさないことが大切です。
特にオスでは、気の強い個体を甘やかすと容易に王様になってしまいます。
基本的にドライな性格の犬ですので、犬の方から愛情を求めてこない時にしつこくかまうと反撃されることがあります。

柴犬は短毛ですが、抜け毛は多く、特に換毛期は驚くほどです。
週に2~3回はブラッシングをしてあげたいものです。

フレンチブルドッグ

●フレンチブルドッグの歴史

マスチフやブルドッグの祖先はローマ帝国時代のモロシア犬とされていますが、19世紀後半、イギリスで作られたイングリッシュ・ブルドッグがフランスに持ち込まれ、パリの繁殖家が交配を重ねた結果うまれたのがフレンチブルドッグであると広く言われています。
この説には異論もあります。ベースとなった犬はイングリッシュ・ブルドッグではなく、フランスやスペインなど欧州南部に古くから存在したマスチフ系の闘犬であるという説が、特にフランスでは支持されているようです。

いずれにしても、イギリス原産のブルドッグを異種交配して選抜し、現在のフレンチブルドッグを作出したのはフランスでのことです。闘犬の血統から生まれたブルドッグやマスティフに、平和な気質のパグや陽気な小型テリアを交配し、家庭犬に向いた穏やかな性格とユニークな姿を与え、愛すべき存在に作り上げたフランスの功績が大きいことには、異を唱える向きもないでしょう。

近年ではその落ち着いた性格と無駄吠えの少なさ、特に暑い時期の運動量が少なくて済むことや短毛で手入れがしやすいことから、都市部では世界的に人気が高まっています。
アメリカの犬種団体AKCの発表では、2003年の登録数ランキングが54位であったものが、2008年には26位、2013年には11位と、年を追うごとにオーナーが増えているようです。


●フレンチブルドッグの飼い方

フレンチブルドッグは活発ではありますが、短頭種であることに加え、がに股の体型で股関節に負担がかかることがあるため、散歩や運動のさせすぎは禁物です。
特に気温の高い季節は日々の散歩はほどほどに、室内などで遊びを中心に軽い運動を行うのがおすすめです。

毛が短いのでブラッシングの手入れは頻繁に行う必要はありませんが、暑さ寒さに弱く、寒冷地域での気温の低い季節は、服を着せるなどの工夫が必要になるでしょう。
顔のしわには汚れがたまりやすく、においや炎症のもとになりますので、丁寧にふき取ってあげましょう。

フレンチブルドッグは穏やかな性質で人間と生活がしやすいものの、思慮深い点は時に頑固さに変わります。
柔軟性の高い子犬のうちに、家族としっかりコミュニケーションを重ねてしつけをし、犬からの信頼を得るようにしたいものです。

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