はじめに

寒くなってくると、どうしても暖房器具に頼ってしまいますよね。
ストーブを使う家庭や、ヒーターを使う家庭もあります。
ヒーターなどにはタイマーが付いているので、ヒーターをつけっぱなしに寝てしまっても時間がくれば切れる仕組みにはなっています。
しかし、タイマーを設定もせずに寝てしまうとどうなってしまうのか?
かなりの確率で低温やけどの可能性があるでしょう。
今回はあまり知られない低温やけどについて紹介したいと思います。

低温やけど

温熱熱傷(熱湯、火焔、蒸気などの熱による損傷)の1つで、低温熱源による熱傷。読んで字の如く、普通ならヤケドしないような低温熱源の長時間の直接接触により発生する熱傷です。
低温熱源としては、湯たんぽ、懐炉、ストーブ、ホットカーペット、温風ヒーターなどおもに暖房器具があり、本来ちょっと触ったくらいではやけどの原因にならないものが多いです。
受傷者側の要因としては、熟睡していたり、体が不自由であったり、知覚鈍麻、泥酔、一酸化炭素中毒で意識がなかったり、糖尿病による循環不良などの状態にあると受傷しやすくなります。自分で動きにくい新生児や乳幼児も注意が必要です。
起こしやすい部位は、かかと、くるぶし、すね等で皮膚の直ぐ下に骨があるところが多い。
接触部の温度が44℃であれば約6時間で受傷します。

特徴

「最初は大した事がないように見え、痛みもないのに、時間の経過とともに皮膚が死んでいく(ヤケドの傷が深くなっていく)」ことです。すなわち、低温熱傷は当初発赤や水疱形成だけに見えても、極端に熱源の接触時間が長いために、深部組織に損傷を負っていることが多く、壊死が広範囲であれば中心部の皮膚を維持する血流が無くなり、徐々に皮膚が壊死してしまうのです。ということは、低温熱傷には「初期治療」の手段がないことになります。発見された時点で既に皮下脂肪層の壊死は確定しているわけなので、皮膚を冷却しようと皮膚に軟膏をつけようと、壊死した皮下脂肪を生き返られることは不可能です。もちろん、被覆材で湿潤療法をしても意味がありません。同時に,低温熱源を除去してしまえば皮下脂肪層の壊死はそれ以上進行しないわけだから、その時点で何らかの治療をしてもしなくても脂肪壊死が更に悪化する事もありません。要するに、低温熱傷は発見された時点で既にその後の運命が決まっていて、壊死した組織を生き返らせる方法がない以上、その運命を変える治療法は存在しないと考えます。

予防

◆就寝時低温熱傷では湯たんぽによるものが圧倒的に多いので、注意が必要。
◆体の同一箇所を暖房器具に長時間触れさせないようにする。
◆暖房器具を使用する人の状態によっては、周囲の人の配慮が必要。

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