知床(北海道)

知床半島は北海道の北東エリアに位置し、世界遺産としては、知床半島の中央部からその先端まで、およびその周辺の海域が登録されています。

知床は、北半球では最も南側で流氷が観測される地域で、その流氷や海流に影響を受けた極めて生産性の高い海洋生態系と、手付かずの原生林が支える陸上の生態系とが相互に作用し、多数の生物が生息しています。
陸上における生態系ではヒグマやエゾシカといった大型の陸上動物や、シマフクロウやシレトコスミレといった絶滅危険種・固有種の生息地となっています。

また、知床周辺の海域においては、多くの海鳥・渡り鳥の繁殖・越冬地となっており、多くのサケ類、あるいはトドやクジラといった海生哺乳類にとっても重要な生息地になります。

白神山地(青森・秋田)

白神山地は、日本だけではなく東アジアで最大のブナ原生林をもち、その広さは白神山脈の三分の一をしめ、原生自然環境保全地域に指定されています。

この世界自然遺産の山々は本州北部の日本海に沿って標高100~1243mにおよぶ山地に位置しており、8000~12000年前に北日本の山地を覆っていた冷温帯のブナ林が今も手付かずのまま残っています。
ブナ林は北アメリカやヨーロッパ、東アジアに分布しており、最終氷期以前の周北極地域の植生が起源であるとされます。

これらの植生は最終氷期に周北極地域から分布域を変化させる際に、東西に広がる山岳地域に阻まれ南下できなかったため、単純化したと考えられています。

しかし、日本においては、元来の多様性を保った状態で日本南部に避難していたブナの植生が氷期以降に再び分布を拡大しました。
白神山地のブナ林はこのように形成され、第三紀周北極植物相の様々な要素を含んでいます。
日本海沿い内陸部の多雪環境という世界でも稀な気候条件の下、白神山地は日本固有のブナ(Fagus crenata)のみで形成される森林となっています。

また、常緑のササ類(Sasa kurilensis)が多くを占める下草を含め、多様な植物相を持つこの特異な植物群落は、クマゲラ(Dryocipus martius)のような希少な鳥類や、
ニホンカモシカ(Capricornis crispus)、ツキノワグマ(Ursus thibetanu japonicas)のような大型哺乳類の住処でもあり、老齢林も含めた多様な森林環境を必要としています。
これらがその他の種と生態系の機能要素として相互に作用することで、安定した極相林の生態系を維持することに貢献しています。

平泉-仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群(岩手)

平泉の4つの浄土庭園のうち、3つは聖なる山である金鶏山に焦点を合わせており、仏教における浄土という概念と日本固有の庭園,水,周辺の景観の関係性という発想の融合を例証するものになります。
浄土庭園のうち2つは、発掘調査で発見された多くの詳細事項に基づき再建されましたが、残りの2つは地下に埋蔵された状態で今も残っています。

11世紀および12世紀に東北地方の政治・行政の中心であった平泉は、短い期間ではありましたが、政治的・商業的に京都に匹敵する発展した年でした。
4つの庭園は東北地方の統治一族である奥州藤原氏により建設され、現世における浄土の象徴的な表現として、泉水や樹木、金鶏山の山頂と関係した完全な仏堂の配置を通じて、楽土の光景を具現化したものとなります。
重厚に金箔を被せた中尊寺金色堂は、12世紀より唯一残存している建造物となり、奥州藤原氏一族の卓越した富を反映しています。

1189年に平泉が政治・行政上の地位を失い、平泉一帯は滅びることとなりましたが、平泉・奥州藤原氏のの華々しい勃興と莫大な富、また、急速で劇的な崩壊は多くの詩歌を生み出す源泉ともなりました。
1689年には俳人・松尾芭蕉が「夏草や 兵どもが 夢の跡」と歌にしていることでも有名です。

世界遺産である平泉は、かつての日本の巨大・中心都市に存在した四つの浄土庭園からなる遺跡群、および、12世紀より残存する類まれなる仏堂、また、聖なる山である金鶏山との関係性は、日本の他の都市の仏堂や庭園の設計および庭園デザインに影響を与えており、独自の発想や平泉の富、権力を反映した類稀なる遺産となります。

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