ドイツ

●ベルリンのソウルフード「カリーヴルスト」が有名。

ドイツのカレー料理でもっとも有名なものといえば、ベルリン名物で、2009年には博物館まで建てられた「カリーヴルスト(カレーソーセージ)」です。ブラートヴルストという豚肉や仔牛肉を混ぜたソーセージをゆでて(もしくは焼いて)、スパイスを加えたケチャップ(またはトマトソース)をかけ、さらにターメリック、クミンなどを主原料としたカレー粉をトッピングしたファストフードで、ソーセージが1本そのまま出されることもあれば、食べやすくカットしてからソースをからめて供されることもあるほか、スタイルはいろいろ。付けあわせには、フライドポテトやザワークラウトがポピュラーです。

カリーヴルストの起源には、ハンブルクやルール地方の都市など諸説あるようですが、1949年にベルリンのヘルタ・ホイヴァーという女性が屋台で売り出したという説が有力です。カレー粉がドイツに本格的にもたらされたのは、第二次世界大戦後のことだったのです。一方、第一次世界大戦前にドイツ領だった南西アフリカ(現ナミビア)には、現在もドイツ系住民が3万人ほど暮らし、ドイツ本国との交流が続いていますが、当地には南アフリカ由来のカレーヴルストによく似た「ブルボス」という料理があります。これがカリーヴルストの発展に何らかの影響を与えたのでは、という説もあります。ドイツ人の誇りでもあるソーセージと、カレー風味のマリアージュ。今では、ドイツ全土で年間およそ8億本のカリーヴルストが消費されるといわれるほどの愛されぶりなのです。

インドネシア

●さまざまな文化の影響を受けた、古来からのスパイスの宝庫。

「この世の香辛料がすべてここでとれる」と、13世紀にマルコ・ポーロをして言わしめたジャワ島や、香料諸島と呼ばれ、過去何千年もの間、世界で唯一のナツメッグ、クローブ、メースの産地だったモルッカ諸島…。インドネシアでは紀元前より中国やインド、アラビア商人による香辛料貿易が行われており、ヨーロッパにその名を知らしめていました。高価なスパイスを求めてポルトガル人やスペイン人が新航路を開拓しはじめ、これが大航海時代の幕開けとなったのです。その後イギリス人やオランダ人もインドネシアを訪れ、特にオランダは17世紀から19世紀にかけて200年以上もこの地を支配し、香辛料貿易を独占しました。インドネシアには有人だけでも大小合わせて3000もの島が点在していますが、その料理は、香辛料を求めて過去に海外から訪れたさまざまな民族に影響され、今も島それぞれに料理の特徴があります。
たとえば西スマトラのパダン料理は、シナモンスティックやアニス、赤とうがらしなどを使った「ルンダン・サピ」のような、中近東やインド方面のイスラム文化に影響を受けた、肉を多用する辛い煮込み料理が特徴的です。また、ヒンドゥー教と仏教の影響を受けたジャワ島では、豆や野菜を多用するほか、レモングラスやこぶみかんの葉(カフェライムリーフ)を使ったあっさりした鶏肉と春雨のスープ「ソトアヤム」など、中国の影響を受けた料理が見られます。リゾート地としても名高いバリ島は、イスラム教徒が大多数のインドネシアで唯一ヒンドゥー教の息づいた島であり、イスラム教で禁忌とされる豚肉の料理もあります。ターメリックやレモングラス、コリアンダーシード、エシャロット、にんにくなどを混ぜたペーストをすり込んだ豚の丸焼き「バビグリン」が名物です。

パキスタン

●スパイスをたっぷり使った濃厚なカレー。

1947年にイギリス領インド帝国から独立したパキスタンは、イスラム教を国教とする共和国です。そのためハラールフードが主流となり、パン(ロティ)、米(チャワル)、野菜(チャワル)、肉(ゴシュト)が食事の4大構成を成しています。インダス文明の栄えたモヘンジョダロ、ハラッパーを擁し、紀元前3000年頃からターメリックやカルダモン、こしょうなどが栽培されていました。

パキスタンの料理は、ムガール帝国時代には同じ国であり、もともと同じ文化圏だったインド北部と共通する部分も多く、特にインドと国境を接したパンジャブ州(インドにも同名の州あり)やシンド州では、スパイスや調味料をたっぷりと使います。食事には肉を多用しますが、イスラム教の教義により豚肉が食材に使われることはなく、鶏肉や羊肉、牛肉が主流です。特に、肉の臭みを消すのにクミンやコリアンダーシードなどのスパイスが一役買っている、こってりとした「カラヒ・ゴシュト(汁気のないマトンカレー)」が美味です。パキスタンはまたインドとともに、ムスリムの食べ物である、肉や野菜、スパイスの炊き込みごはん「ビリヤニ」が人気で、 鶏肉または羊肉などを使った具だくさんなシンディービリヤニ(シンドのビリヤニ)が有名です。他には、近隣の中央アジアやイラン、アフガニスタンの影響を受けた「ケバブ」や、スパイスの煮込み料理「ニハリ」などがポピュラーな食べ物です。

ネパール

●スパイス控えめな、シンプルであっさりした味わい。

インド、中国のチベット自治区と国境を接するヒマラヤ山脈の国ネパールは、インドと同様、80%以上のヒンドゥー教徒をはじめ、チベット仏教やイスラム教などが信仰され、少数民族を含めると100近い民族が暮らす国です。現在の日本のインド料理レストランはネパール人シェフが多くを占めるほど、食文化もインドと似通った部分がありますが、標高5000メートルの冷涼な高地から亜熱帯の平野にいたるまで、起伏に飛んだその国土には、ネパールならではの料理も育まれています。

たとえば、レンズ豆などの豆をターメリックやクミン、コリアンダーなどのスパイスでマイルドに煮込んだ、ごはんにかけて食べる定食「ダルバート」があります。ダルバートには「タルカリ」と呼ばれる野菜を中心にしたカレー味のおかずと、アチャールという漬物が付きます。他には、ターメリックやカルダモン、シナモンスティック、クローブなどを使ったネパール式チキンカレー「ククラレピャジタレコ」、ラム肉とカレー粉、ターメリック、クミン粉などを煮込んだヒマラヤのカレー「ラムブトゥワ」、蒸し餃子のような「モモ」などもあります。ネパールのカレーは全般的に、インドなどに比べてスパイスが控えめ、シンプルであっさりした味わいが特徴的といえます。また干し肉や汁麺などを食し、料理の上手さで知られるタカリ族など、ネパールの少数民族の食も興味深い限りです。

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