筋肉や骨、皮膚をつくる「タンパク質」

筋肉や骨、皮膚、臓器、毛髪、血液、酵素、ホルモンなどをつくる原料となるのが「タンパク質」で、約20種類のアミノ酸が結合してできています。アミノ酸の中には、体内で合成することができないために、食品から摂取しなければならないものがあり、そうしたアミノ酸は「必須アミノ酸」と呼ばれ、成人の場合はイソロイシン、ロイシン、トリプトファン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、ヒスチジン、スレオニン、バリンの9種類、子供の場合はこれらにアルギニンを加えた10種類があります。

この必須アミノ酸のうち、どれか1つでも量の足りないものがあるとタンパク質の栄養価もそのレベルにまでしか達しないそうです。構成するアミノ酸の種類と量が違えば、タンパク質の栄養価も違うのです。

肉や魚、卵などに含まれる動物性のタンパク質、また大豆などの植物性のタンパク質は必須アミノ酸をバランスよく含んでいることから、 良質のタンパク質と呼ばれています。ただ、動物性ばかり摂取していては、コレステロールの摂り過ぎになり、植物性だけでは、栄養が偏ってしまいます。ですから、動物性と植物性のタンパク質をうまく組み合わせて摂取することが必要になります。

「タンパク質」を過剰に摂取すると、タンパク質が体外に排出される際に大量のカルシウムが必要となるため、骨粗鬆症の原因となりかねません。また、痛風発作や肥満、尿毒症、神経過敏症の増悪などを招くこともあります。一方、摂取量が少ないと、脳の働きが鈍ったり、スタミナが低下して体力が衰えてきたりします。さらに血液の中に蓄えられていたタンパク質が減少して貧血を引き起こすほか、肌荒れ、抜け毛などの原因になる恐れもあります。

脳や筋肉を働かせるための栄養素「糖質」

「糖質」は、炭水化物を構成する成分で、ご飯やパンなどの主成分であるでんぷんや、甘味料として利用される砂糖(ショ糖)、果物に含まれる果糖などがあります。体内に取り入れられた糖質は、消化管で消化・分解されたあと、ブドウ糖に変化し、腸から吸収されて肝臓に送られます。そして、血液を通じて体内の各組織に運ばれ、やがて二酸化炭素と水に分解されます。その過程で、糖質は1g当たり4kcalのエネルギーを供給、脳や筋肉が働くための重要なエネルギー源としての役割を果たしています。

体内で過剰になったブドウ糖は、グリコーゲンとして肝臓や筋肉で蓄えられ、必要に応じてグリコーゲンから再びブドウ糖に変化して血液中に放出され、エネルギー源として利用されます。ただし、グリコーゲンを蓄えることができる量には限界があります。そのため、蓄えられなかった余分なブドウ糖は脂肪組織に運ばれて脂肪に変化し、体脂肪として蓄積されます。したがって、糖質の過剰な摂取は肥満につながります。

逆に、糖質が不足すると、血液中のブドウ糖の濃度が低くなるため、全身がエネルギー不足となって疲労を感じやすくなります。糖質を多く含む食品には、ご飯やパン、麺類などがあり、成人の男女とも1日の所要量は400gとされています。

エネルギー源となる栄養素「脂質」

「脂質」は、三大栄養素の中でも最も高いエネルギーを得ることができます。摂り過ぎると肥満などの原因になりますが、その一方で、エネルギー源になるばかりでなく、ステロイドホルモンの原料や細胞膜の構成成分になったり、脂溶性ビタミンの吸収を促すなど、重要な役割を担っているため、私たちの体にとっては欠かせない栄養素の1つなのです。

脂質、つまり脂肪は、主な構成成分である脂肪酸の化学構造の違いから「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」の2つに大別されます。また、不飽和脂肪酸は「単価不飽和脂肪酸」と「多価不飽和脂肪酸」に分類することができ、さらに多価不飽和脂肪酸は、「n-6系脂肪酸」(リノール酸など)と「n-3系脂肪酸」(α-リノレン酸など)とに分けられます。

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