豆腐とは

昔から豆腐は、これを精進料理として食していた僧侶や、多く摂っていた地方に長寿者が多いことから、長寿食といわれてきました。近年は栄養学等の確立によって、極めて高い良質タンパク食品であることが科学的に立証され、栄養面ですぐれた食品といわれています。

 最近では、癌・高血圧・動脈硬化・心臓病・糖尿病あるいは成人病・肥満等々、これらの発症の抑制や回復、また健康の維持に有効な食品(機能性食品)が注目されています。豆腐の成分もそれらの機能のあることが次々に解明されていて、まさに、豆腐は古くて新しい健康食品です。

消化、吸収がよい

大豆は消化のあまり良くない食物とされていますが、豆腐となった場合、その吸収率は極めて高く、92~98%が消化吸収されるそうです。豆腐は、大豆の組織を十分壊し、タンパク質や脂肪等を一旦遊離させた上で、消化の悪い繊維質を除いて(おからに移行)もう一度固めたものなので、消化吸収が良いのです。栄養的に優れているが消化のあまり良くない大豆を、消化吸収の良いように加工したのが豆腐といえます。そのため、一般の人はもちろん、病人食・老人食・離乳食にも適しています。

良質なタンパク質と脂質

人の体の三大栄養素であるタンパク質、糖質(炭水化物)、脂質のうち、豆腐は、特に良質な夕ンパク質と脂質に富んでいます。豆腐は水分が多い(80%以上)ので、豆腐の中のタンパク質は6%程度ですが、水分を抜いて換算しますと約50%になります。
タンパク質は皮膚、内臓、筋肉、骨、血液などの細胞や組織を作っているほか、酵素やホルモンなどの材料になるものです。豆腐のタンパク質は、含まれる量が多い上に、栄養価が高く良質であるという特質があります。タンパク質は体内でアミノ酸に分解、吸収され、各組織に行き渡ります。植物性タンパク質は一般に必須アミノ酸が低く、動物性タンパク質は必須アミノ酸構成が良いとされています。大豆(=豆腐夕ンパク質)は動物性タンパク質に近い構成のため、良質とされています。肉類は栄養価が高い反面、コレステロールの原因になりやすいのに対し、豆腐タンパクにはそれを下げる作用があるなど、「機能性食品」としての機能もあります。
豆腐のもう一つの栄養素である脂質は、エネルギー源として体に不可欠なものですが、その他「機能性食品」としての機能も注目されています。
大豆(=豆腐の脂質)の特質は、不飽和脂肪酸が8割以上を占め、うち必須脂肪酸であるリノール酸(5割強)・リノレン酸(1割弱)の比率が高いことです。なお、動物性脂質は飽和脂肪酸の比率が高く、コレステロールを含むのに対し、不飽和脂肪酸はそれをあまり含まないため、成人病予防等、体に良い脂質といわれています。

豆腐は、栄養面でも、機能性食品としても優れ、健康の維持増進に効用のある健康食品といえます。
更に、昔から豆腐などの精進料理を食べていた僧侶や、豆腐を多く食していた地域に長寿者が多いことを持ち出すまでもなく、健康を増進し老化を遅らせる成分・物質をいろいろ備えている豆腐は長寿食ともいえます。肉食の多い欧米等でも豆腐に関心が高まり、今や「TOFU」の名は、世界で通用する言葉となっています。

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