チンチラペルシャ

●チンチラペルシャの歴史

チンチラはペルシャの毛色のバリエーションの1種です。シェーデッドカラーのうち、ゴールドまたはシルバーの毛色で青もしくは緑の目を持つ猫を、チンチラペルシャやチンチラと呼んでいます。
欧米の一部の国でこの毛色のペルシャをチンチラという品種として独立させようという動きがありましたが、これを認めているのは南アフリカなどのごく一部の血統管理団体のみとなっています。
ペルシャの起源は古く、純血種の中では最古の品種の1つとされていますが、その後の交雑により様々な毛色が導入されることになりました。
ペルシャはキャットショーの歴史において最初に登場する猫種のひとつでもあり、その優雅で美しい容姿は早くから多くの熱烈な愛好家を引き寄せてきました。
そんな中、チンチラペルシャが作出されたのは、1882年のイギリスでした。ブルーのペルシャと雑種猫の交配により生まれた「チニー」を、シルバータビーのペルシャと交配させて生まれた子猫たちの中に「銀の仔羊」と名付けられたシルバースモークの毛色のオスがいました。このオス猫がチンチラペルシャの基礎となったとされています。
美しいペルシャの中でもひときわ目立つシルバースモークの猫は、輸出されたアメリカでも熱狂的な愛好家を生み出しました
愛好家たちはチンチラをペルシャから独立させようと、アメリカ最大の猫血統登録団体であるCFAに申請しましたが、ペルシャと分けるのは毛色以外の特性がないことから、CFAはこれを見送りました。その代り、キャットショーではペルシャの毛色のバリエーションの1つとして、チンチラ部門を設けてショーを行っています。


●チンチラペルシャの飼い方

チンチラペルシャはペルシャより毛質が軽いとされていますが、長毛で被毛が厚いことは同じです。
トップコートは軽くて細い分、より絡まりやすいため、できるだけ毎日ブラッシングまたはコーミングをしてあげましょう。
抜け毛をきちんと処理しないと、毛づくろいで毛を飲み込んで毛球症をおこすことがあります。
定期的なブラッシングやコーミングは、皮膚の血行の改善効果があり、アンダーコートの通気を良くして皮膚疾患を予防します。
チンチラペルシャはペルシャ同様、成猫は運動や狩りを好むタイプの猫ではありません。運動不足になりがちで太りやすい傾向がありますので、食事の量と質に気を付けてあげましょう。


●チンチラペルシャの毛色

チンチラペルシャの主な毛色はシルバー、ゴールデン、ブルー、ブルーゴールデンの4種類になります。
チンチラを代表するシルバーの毛色は、アンダーコートも白くなければいけません。背中と脇腹、しっぽと頭はわずかな黒のシェイドが入ります。チンチラブルーは、黒のシェイドの代わりにブルーのシェイドが入ります。
チンチラゴールデンの場合は、アンダーコートはアプリコットまたはより明るい色でなくてはいけません。毛先のシェイドは黒が入ります。ブルーゴールデンの場合は、アンダーコートはさらに青白く明るい色であり、毛先のシェイドはブルーになります。


●チンチラペルシャの気を付けたい病気

チンチラペルシャはペルシャ同様、平均寿命はやや長めで、15~20歳とされています。
多発性のう胞腎という遺伝疾患の起こりやすい猫種であり、両親のいずれかが発症していれば50%の確率で発症します。進行すると腎不全で亡くなってしまう、治療法のない病気です。
体質的に、シュウ酸カルシウムによる尿石のできやすい傾向があります。放置すると尿毒症から死に至る場合があるので、ふだんからよくお水を飲むように工夫し、おしっこの量や色には日頃からよく注意してあげましょう。
その他、遺伝的に起こりやすい疾患として、眼瞼内反症、流涙症、白内障などの眼病や、皮膚糸状菌症、脂漏性皮膚炎などの皮膚病、肥大型心筋症などの心臓病が知られています。
皮膚疾患の予防と早期発見のためにはこまめに被毛の手入れを、また眼病予防のためには涙や目やにの量に注意しこまめに拭き取ってあげるなど、日頃から十分にケアを行うことが大切です。

ヒマラヤン

●ヒマラヤンの歴史

ヒマラヤンは特徴的なポイントの毛色がヒマラヤウサギに似ていることから、その名が与えられました。
原産国はアメリカ、イギリスの両方となっていることが多くあります。
古くから存在する自然発生種のペルシャとシャムをかけあわせて、長毛とポイントというそれぞれの魅力を備えた猫を作り出したいという理想を最初に思い描いたのは、スウェーデンの研究者であったと伝えられています。
ところがこの交雑は考えていたほどうまくは行かず、評判を伝え聞いた愛好家、繁殖家たちがそれぞれの国で育種を手掛けるようになりました。
イギリスでは比較的早いうちからシャムとペルシャの交雑猫が存在し、「クメール」という名前で呼ばれていたようです。
アメリカにおいては、ペルシャの純血ではない長毛のクロネコとシャムを交配させ、さらにペルシャ、シャムとの交雑を行うことで育種を進めました。この結果、1935年に現在のヒマラヤンのような猫を作出することができ、当初は「デビュタント」という名前が付けられていました。1957年にはTICA、CFAに公認されましたが、ヒマラヤンという独立した品種ではなく、ペルシャのバラエティのひとつという分け方になっています。
CFAでは、独立した猫種とするには、同じ特徴の子孫が少なくとも3世代確認できることを条件としていましたが、毛色はポイントが入るようになったものの、顔立ちがシャム寄りでペルシャのそれより鼻が高いなど、独立した猫種として安定していませんでした。このような課題を踏まえて、ヒマラヤンの育種はよりペルシャに近い方向になり、70年代になってようやく理想に近いスタイルになったとされています。
ヒマラヤンたちは長年にわたってキャットショーで多くの賞を勝ち取り、1957年以降、CFAだけで実に34万頭以上が登録された人気猫種です。それでもなお、CFAではペルシャのバラエティとして「ヒマラヤン・ペルシャ」と名付けています。
ヒマラヤンは「未完の傑作」として、現在も繁殖家や愛好家によって改良が続けられている猫なのです。


●ヒマラヤンの飼い方

ヒマラヤンは賢い猫ですので、しつけは難しくありません。人のすることをよく見ていますので、なにかと覚えは早いでしょう。
遊び好きではありますが、ハンティングに走り回り激しく興奮するタイプではありません。
また、高い所にのぼるのも上手ではありませんので、小さなおもちゃなどを使って、手加減しながら遊んであげましょう。
太りやすい傾向がありますので、運動不足になりがちな場合は食事による摂取エネルギー調整も大切です。
ヒマラヤンは長毛のダブルコートですから、被毛の手入れは楽ではありません。美しく保ちたかったら毎日、例え面倒でも週に数回はコーミングかブラッシングをしないと、毛がもつれて面倒なことになるでしょう。
シャンプーは月に1度くらいは行いたいものです。従順な猫種ではありますが、できるだけ子猫の頃から定期的なシャンプーに慣らしておきましょう。


●ヒマラヤンの毛色

ヒマラヤンはシール、ブルー、ライラック、チョコレート、クリームなどがあり、ポイントを持つものに限ります。


●ヒマラヤンの気を付けたい病気

ヒマラヤンは遺伝疾患の多いペルシャの性質を受け継いではいますが、命にかかわるほどの重大な病気はあまりないため、平均寿命もやや長めの12~15歳程度と言われています。
多発性のう胞腎(PKD)は、腎臓にのう胞という腫瘍が少しずつできてしまい、進行すると腎不全に移行する治療法のない病気です。ペルシャではこの遺伝子を持っている親猫からは50%程度の確率で遺伝すると言われています。ヒマラヤンはペルシャ以外の猫も交配に使われてきていることから、確率的には下がっていると考えられますが、高齢になるとどのような猫種でも腎不全になりがちですので、注意しておくのが良いでしょう。
猫の場合、メスでは膀胱炎、オスでは尿石のできやすい傾向があり、尿石により尿路閉鎖となると尿毒症を起こして命にかかわります。
おしっこが近くなったり、尿の色が濃くなったりしたら早めに動物病院を受診しましょう。
鼻の短い猫に起こりやすい病気として、流涙症が知られています。鼻が短いため涙管も短く、涙があふれがちになります。目の周囲が湿っていると雑菌が繁殖することがあります。日頃から目やにの量に注意し、こまめに拭き取ってあげましょう。

ラガマフィン

●ラガマフィンの歴史

ラガマフィンの直系祖先はラグドールですが、この2種類の猫は相似点が多いため、有力な血統登録団体でも公認していない団体があります。
存在は古く、登録は新しい猫といわれるラガマフィンですが、こうなった事情は少々特別なものがあります。
ラガマフィン作出の経緯が複雑になった理由は、毛色や遺伝疾患のような猫そのものの問題ではなくて人間の問題、繁殖ビジネスと愛好家の確執からでした。
1960年頃のこと、アメリカ・カリフォルニアに住んでいたペルシャ猫の繁殖家ベイカーは、自分の飼っていた白いペルシャと地域に住んでいた猫を交雑させて、シールポイントのある長毛の猫を作りました。この時の雑種猫はバーマンかその雑種であったと推定され、さらに生まれた子猫にはバーミーズが交配されたようですが、正確な記録は残っていません。
こうして生まれたラグドールは、ベイカーが厳しく血統の管理を行い、既存の猫血統登録団体ではなく自らの設立した団体で管理を行うと同時に、繁殖を希望する人とはフランチャイズ契約を行うというビジネスに展開しました。商品価値のために猫の品種名を商標登録し、許可のない相手には使わせないということにしたのです。また、生まれた子猫の代金の数パーセントをベイカーの団体に支払うという契約もあったとされています。
ベイカーの管理するラグドールのスタンダードや、猫を介在させるフランチャイズビジネスに疑問を持ったラグドールの愛好家は、ベイカーから離れていきました。最初に離れた人たちはラグドールという名前を使うことにより、訴訟を起こされるなど複雑な問題に巻き込まれることになりました。
1990年ごろ、ラグドールをめぐる様々な状況を踏まえて、あとからベイカーのもとを離れた人たちは仲間を作って愛好家団体を設立し、ラグドールのスタンダードを変更すると同時に新しい名前を付けて、この大きな愛らしい猫の育種を続けたいと考えました。
そうして生まれたのがラガマフィンでした。
ラガマフィンの名前は「いたずらっ子」という意味と同時に「ぼろ服をまとった人」という意味があります。ラガマフィンの愛好家団体では、当初この名前を冗談半分でつけたそうですが、登録後の変更が不可とされたため、結局この名前に落ち着いたとされています。
また、現在ラガマフィンを公認していない主な団体はTICAですが、ラガマフィンとラグドールのはっきりした差異が認められるまで予備登録期間として観察が続けられているようです。
ラガマフィンの交配には異種交配としてラグドールを認める団体と、一切の異種交配を認めない団体があります。遺伝子プールを広げる目的のため、当初は特定のほかの猫種との交配が認められていましたが、現在はほとんどの団体がペルシャやバーミーズなどほかの猫種との交雑を禁じています。

●ラガマフィンの飼い方

ラガマフィンは遊び好きではありますが、ハンティングのようなダイナミックな遊びよりも、人間と小さなおもちゃで遊ぶのを好みます。高い所に上るのが好きということもありませんので、キャットタワー等を用意したい場合は低いものでも大丈夫でしょう。
ラガマフィンは体が大きく成猫として完成するまで3~4年はかかりますが、この時期を過ぎれば非常に落ち着いた猫になるでしょう。
賢く、扱いやすいため、しつけは難しくありません。リードをつけての散歩も可能です。
人見知りが非常に少ないため、脱走した場合、よその家に上がりこんで暮らしてしまう可能性がありますから注意が必要です。
被毛はセミロングですので、少なくとも週に2~3回以上のブラッシングまたはコーミングで整えてあげましょう。


●ラガマフィンの毛色

ラグドールが毛色を限定しているのに対して、ラガマフィンは遺伝学的に発生可能な毛色であれば、どのような毛色も認められています。
ポイントの入り方が完全でない場合や、ポイントの上にスポットが入ってしまうことも認められているようです。
ただし、公認登録団体によっていくらか幅があり、不完全なポイントや遺伝疾患につながりやすい白い毛色の分量によって認められない場合があります。


●ラガマフィンの気を付けたい病気

ラガマフィンはラグドール同様、祖先猫の中にペルシャがいるため、かかりやすい病気や遺伝疾患もペルシャのものを引き継いでいます。多のう胞腎症や肥大型心筋症は代表的なペルシャの遺伝疾患で、ラガマフィンでも起こります。
また、遺伝性疾患ではありませんが、一般的に猫のかかりやすい病気として膀胱炎や尿結石があります。
長毛種一般としては、被毛の手入れを怠ると毛球症にかかりやすくなります。

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