スコティッシュフォールド

●スコティッシュフォールドの歴史

現在、世界中で広く飼われているスコティッシュフォールドの歴史は、1頭の白い猫にさかのぼります。
それは、イギリス・スコットランド地域の農村にいた折れ耳のメス猫で、1961年に羊飼いウィリアム・ロスが発見しました。ロスは、猫の住んでいた納屋の持ち主に猫を譲り受け、スージーと名付けて飼育を始めました。
しっかりした体格で真っ白な被毛、人懐こく賢く愛らしい気質で、不思議な形の折れ耳をしたスージーは、ロスの手により交配され子猫を生みました。その中に、スージー同様の折れ耳の子猫がいたことから、ロスは折れ耳猫の繁殖を始めることにしました。
1966年、ロスはGCCF(イギリスの猫種血統登録団体)に登録し、スージーの産んだ白いメス猫を土台に、折れ耳猫の品種確立を目指して本格的に繁殖を始めました。そして、遺伝学の研究者であるパット・ターナーの助力を得て、繁殖を進めていました。
GCCFは当初、スコティッシュフォールドの品種確立に協力的でしたが、骨格と聴力の異常が続発したことから、1971年には1
度、この猫種の登録と繁殖を中止する決定を下しました。
イギリスで繁殖を中止することになったスコティッシュフォールドは、アメリカへ輸出されて繁殖を続けられることになりました。スコティッシュフォールドの遺伝疾患と品種確立の研究はアメリカでも続けられ、1970年代後半までに、交配の際にブリティッシュショートヘアもしくはアメリカンショートヘア、エキゾチックショートヘアなどとの交配を行うことで、スコティッシュフォールドの個性を維持しつつ、遺伝疾患の影響を小さくできると結論付けました。
そして1977年、CFA(アメリカ猫愛好家協会)、猫種として登録が認められることになりました。
歴史が浅く、遺伝性疾患のおこりやすいスコティッシュフォールドは、現在でも各国の猫登録団体でブリティッシュショートヘアやアメリカンショートヘアとの交配が認められているケースが多くあります。


●スコティッシュフォールドの飼い方

長毛タイプのスコティッシュフォールドは、週に2~3回以上のブラッシングをしてあげないと、毛が絡まって毛玉になりやすく、また毛球症をおこしやすくなります。
短毛タイプは定期的なブラッシングやコーミングを行いましょう。
耳が折れていて汚れが溜まりやすいため、こまめに耳掃除が必要です。折れている部分も丁寧に優しく行いましょう。


●スコティッシュフォールドの毛色

スコティッシュフォールドは短毛、長毛ともに非常に多くの毛色とパターンがあります。
単色では白、黒、レッド、クリーム、ブルー、及びこれらのシェイデッドやタビー、またこれらの毛色とホワイトの組み合わせなどがあります。


●スコティッシュフォールドの気を付けたい病気

たった1頭の猫スージーを祖先とするスコティッシュフォールドは、純血種として品種の歴史が浅く、近親交配が多くなされてきた歴史から、遺伝性疾患が多く出ることが知られています。
スコティッシュフォールドで非常によく報告されているのは「骨瘤(こつりゅう)」と呼ばれる軟骨のこぶで、病名としては遺伝性骨軟骨異形成症と言います。この病気は、手足やしっぽの関節部の軟骨が瘤状に大きくなり、痛みと歩行困難を伴います。スコティッシュフォールドに起きやすく、禁忌とされている両親とも折れ耳で交配された子猫の場合は発生する確率が非常に高くなります。
ほかにも関節に異常がおきやすく、後ろ足やしっぽが変形することがあります。
ほかに、内臓疾患も起きやすいとされており、心肥大や腎臓障害などが知られています。特に多発性嚢胞腎と呼ばれる腎臓疾患では、発症すると治療の方法がないとされています。
遺伝性疾患では5~6歳までに発症するものが多くあるため、日頃からよく観察し、発症した場合はなるべく早く動物病院を受診して、進行を遅らせる、痛みを取り除くなど生活の質を落とさないようにしてあげたいものです。

マンチカン

●マンチカンの歴史

ダックスフンド犬のような短足の猫の存在は、1944年にイギリスのジョーンズ博士によって、初めて報告されたと言われています。突然変異でそのような姿になったとされていますが、第二次世界大戦の頃には姿を消してしまいました。
しかし1953年になると、ロシアからも同じように足の短い猫の報告があり、1964年にはアメリカのニューヨークで、1970年にはニューイングランドでも短足猫の存在が報告されていました。
各地で報告された短足猫の変異は、1983年にトレーラーの下で暮らしていたブラックベリーと呼ばれる猫により、大きな一歩を踏み出すことになりました。ブラックベリーは妊娠していて、生まれた子猫の半分は短足猫だったのです。
この短足の子猫のうちトゥールーズと名付けられたオスが繁殖家に引き取られ、短足猫の育種が始まったのです。当初の交配相手は短足猫以外の猫たちが使われ、近親交配による将来の遺伝子疾患のリスクを減らすため、異種交配が行われました。
そしてこの短足の小さな猫たちは、「オズの魔法使い」に登場する名前にちなんで、マンチカンと名付けられることになりました。
育種されたマンチカンは、ニューヨークで開かれた1991年のキャットショーで初めて展示されることになりました。
しかし、短足で小さなマンチカンの姿は、様々な立場からの論争を引き起こすことになりました。
一方には遺伝子疾患や免疫力の弱さを懸念する人たち、もう一方にはこの猫の愛くるしい姿に魅了され、その健全性を信じようとする人たちがいて、両者のあいだで巻き起こった争いでした。
この時のキャットショーと以降の評判では、「結局は単なる突然変異」と結論付けられて終わったものの、のちにこの短足猫はアメリカのいろいろな場所で見つかり、彼らもまた育種のために使われるようになりました。こうして近親交配のリスクが低下することで、猫の国際的な血統登録団体であるTICAは、1995年にスタンダードを作成し、新しい猫種として認定することになりました。
マンチカンの育種については猫愛好家や遺伝学者など、さまざまな立場から違った倫理的見解があり、国際的な猫血統登録団体であるCFA(アメリカ)、GCCF(イギリス)とFIFe(フランス)は2014年現在、マンチカンを猫種として公認していません。純血種としての育種が開始されて20数年しか経ていないため、今後はさらに時間をかけて、マンチカンの健全化と固定化が待たれるところです。


●マンチカンの飼い方

マンチカンは小さい体ですが、足の長さにかかわらず、非常にパワフルでスピードにあふれています。
遊ぶためのおもちゃやスペースは十分に用意してあげましょう。
一般の猫に比べて、足が短いため跳躍力が劣ります。短足タイプで体格の小さいマンチカンの場合は、キャットタワーの高さを低めに調整してあげましょう。
長毛タイプは週に2~3回、短毛タイプは定期的にブラッシングまたはコーミングをして、毛球症を防いであげましょう。


●マンチカンの毛色

マンチカンはあらゆる毛色と被毛の長さが存在し、すべてが認められています。


●マンチカンの気を付けたい病気

マンチカンは短足でありますが、ダックスフンド犬のように極端に胴長ではないため、脊椎についての問題は少ないとされています。マンチカンは現在も雑種猫との交配が認められていることもあり、先天性・後天性いずれの疾患も少ない丈夫な傾向があります。
一般的なマンチカンの寿命は10~13歳程度とされていますが、両親とも短足タイプである場合の短足の子猫は、原因不明の突然死で寿命が短い傾向があるとも伝えられています。
マンチカンは10歳を越えた頃になると高齢期に入ります。
運動不足による肥満は糖尿病や、マンチカンのように足の短い猫ではヘルニアの原因となることがあります。
高齢になるとどうしても運動量は落ちてしまいますので、バランスの良い食事を適量に与えるよう注意しましょう。
高齢の猫では慢性腎不全が起こりやすいことが知られています。水を多量に欲しがり、たくさんおしっこをする多飲多尿の症状があれば、腎不全の可能性があります。血液検査でわかりますので、気になったら動物病院を受診しましょう。

ノルウェージャンフォレストキャット

●ノルウェージャンフォレストキャットの歴史

ノルウェージャンフォレストキャットは、北欧の神話に登場する女神フレイヤの乗るソリを引いていたという伝説があることで、北欧では広く知られています。その歴史は4000年前にさかのぼるとも言われていますが、はっきりしていません。
祖先は、南ヨーロッパに住んでいた短毛の猫skogkatt(スコウガット)であったという説や、11世紀頃、バイキングがトルコから持ち帰った猫が住み着いたものという説もあります。北限のヨーロッパの一国であるノルウェーは冬の寒さの厳しい国で、この地で生き残るための条件が整っていた猫たちだけが生き残り、残った猫たちで選択交配が繰り返されることになり、長毛でやや大きめの猫になりました。
長い歴史の中で人間の生活に近づき、ネズミ退治のために農場などで飼育されていたことも多かったようです。
1930年代になると、ノルウェーの愛猫家は、国を代表する猫としてskogkatt(ノルウェージャンフォレストキャットの前身)を保護、育種する活動を始めました。
しかし、第二次世界大戦がはじまると活動は中断されてしまい、1970年代までのあいだ、skogkattは絶滅寸前にまで追い込まれてしまいました。
そこで1975年、ノルウェーの繁殖者たちによって、ノルウェージャンフォレストキャット(ノルウェー語でNorsk Skogkattring)の最初の猫種クラブが設立され、本格的な育種と保存が再開されて、1977年にはヨーロッパの猫種登録機関に品種として登録されることになりました。
ノルウェージャンフォレストキャットの繁殖者たちは、個体数の維持と品種の固定化のために尽力を続けました。
その目標は、近親交配に頼ることなく猫種を維持できるだけの大きな遺伝子プールを作り上げることでした。
そして1979年、ノルウェージャンフォレストキャットのつがいが、アメリカに初めて輸入され、新天地での繁殖と育種が開始されました。
隣国スウェーデンには1978年に猫種として登録され、アメリカでは1984年になってようやく登録されることになりました。
日本ではノルと短く呼ばれることが多くありますが、英語読みの愛称をウェジー、またはアルファベットの頭文字を取ってNFCと短く呼ばれることもあります。


●ノルウェージャンフォレストキャットの飼い方

ノルウェージャンフォレストキャットはサイズが大きめの長毛猫ですので、十分に成長して被毛が揃い、成猫として完成するまでに約3年かかります。
しっかりした骨格と筋肉、美しい被毛を作るために、良質の食事を与えるようにしましょう。
成猫になると比較的おとなしいと言われていますが、若猫の頃は元気で、運動も遊びも大好きです。
上下運動を好みますので、タワーを用意するほか、家具や本棚の上部に上がることがありますので、落下事故の起きないように片づけておきましょう。
普段の毛の手入れはできれば1日1回はブラッシングを行い、抜け毛を取り除くとともに、皮膚への通気を行ってあげましょう。
ノルウェージャンフォレストキャットの被毛は、防寒防水のため、皮脂に薄く覆われています。
シャンプーを行わないと、皮脂汚れで黒ずみ、時間がたつにつれて落ちにくくなります。また雑菌の温床となり皮膚炎を起こすことがあります。
寒冷地以外では月に1度以上はシャンプーを行いましょう。
比較的汚れにくい子猫のうちはシャンプーをしなくて済むと考えがちですが、成猫になって定期的なケアが必要になってから始めると、嫌がる場合も多くあります。子猫から若猫のうちにシャンプーやブラッシング、耳や歯の手入れなどのグルーミングに慣らしておいた方が良いでしょう。
ノルウェージャンフォレストキャットの毛色
ノルウェージャンフォレストキャットは単色ではブラック、ブルー、ホワイト、タビーではブラウン、シルバー、ブルー、レッド、クリームとこれらの濃淡があります。さらにホワイトや他色とのバイカラーがあります。


●ノルウェージャンフォレストキャットの気を付けたい病気

ノルウェージャンフォレストキャットは純血種としては遺伝的疾患が少なく、比較的丈夫な猫種です。
好発疾患としては肥大型心筋症という心臓病や、肥満による糖尿病があります。
太りやすい傾向があり、肥満は心臓や関節に負担をかけてしまいますので、食事やおやつのあげすぎには注意が必要です。
ノルウェージャンフォレストキャットは毛の量が多く長いので、ブラッシングで抜け毛を取っておかないと、皮膚疾患や毛球症を引き起こしますので注意が必要です。

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