明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業(山口・福岡・佐賀・長崎・熊本・鹿児島・岩手・静岡)

「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」は西洋から非西洋への産業化への移転が初めて成功したことを証明する事例として、主に日本の南西部、九州・山口に存在します。

日本は19世紀半ばから20世紀初頭にかけ、特に国防意識の高まりに合わせて製鉄・製鋼、造船、採炭を基とし、急速な産業化を遂げました。
これらの遺産は1850年代から1910年までの約50年余りの短期間で達成された急速な産業化の3つの段階を反映しています。

第一段階は明治時代以前の幕末・鎖国時代にあたる1850年代から1860年代初頭の江戸時代の終末期であり、製鉄・造船の試行錯誤が繰り返された時期でした。
国防、特に海に囲まれた日本では海防の強化の必要性が高まり,各藩が主に西洋の技術書や西洋の事例の模倣に基づき間接的に得た知識と伝統的な職人技を組み合わせ、産業化を進めました。
最終的にはほとんどの事例が失敗に終わりましたが、この取組は江戸時代の鎖国主義からの大きな転換となり、明治維新の推進にも影響を与えています。

第二段階は、明治時代に入って産業化が加速した1860年代以降で、西洋技術及びそれを実践するための専門知識を導入した時期です。

第三段階は明治後期(1890~1910年)にあたり、新たに獲得した日本の専門知識と、日本社会のニーズや伝統に最も適した形に西洋技術を積極的に改良することで、本格的な産業化が達成されました。
西洋技術は地方のニーズや原材料に順応し、地方の技術者や指導者によって体系化されました。

「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」を構成するこれら23箇所の資産は8つのエリアに跨る11の市町村に分散して立地しています。
8つのエリアのうち6つは九州・山口の日本南西部に、1つは本州の中部・静岡県に、もう1つは本州北部の岩手県に位置します。
各構成資産は地方のニーズを西洋技術を順応させるという革新的な取り組みによって、藩制度に基づいた社会から産業社会へと日本が変化していく過程を反映しており、東アジアの幅広い発展にも大きな影響を与えました。
1910年以降多くの施設は本格的な工業団地を形成し、そのうちのいくつかは現在も稼働中のものも含まれます。

屋久島(鹿児島)

屋久島は、九州の最南端より60キロ離れた、生物地理区の区分でいう旧北区と東洋区の境界に位置しています。
その島の形はほぼ円形で、島の中央部には九州最高峰となる宮之浦岳といた山々がつらなり、それらの山地を中心に原生温帯雨林が広がっています。
上述の通り、屋久島には九州最高峰である宮之浦岳(標高1936m)をはじめとする2000m級の山々がそびえ、島を見下ろしており、世界遺産登録エリアは2000m級の山々が存在する島中心部から東、西、南方向へ海岸線まで及びます。

屋久島の生態系は北半球の温帯地域では他に類を見ないもので、沿岸での亜熱帯系の植生に始まり、低山地帯の温帯雨林、山頂付近での高層湿原および冷温帯の温帯草原に至るまで、連続的な植物の垂直分布を見ることができます。
その中でも温帯雨林地域は、年間8000mmを超える高い降水量およびその結果生じる湿潤な環境に適応した豊富な渓流植物と着生植物による屋久島固有の生態系であり、世界的に見ても特殊なものになっています。
およそ1900の種・亜種の植物、16種類の哺乳類、150種類の鳥類が生息し、それらはスギの景観、樹齢1000年を超える「屋久杉」と呼ばれる木々で構成された原生林を含む豊かな生物学的多様性を示しています。

琉球王国のグスク及び関連遺産群(沖縄)

12世紀から17世紀にかけての約5世紀の間に及ぶ琉球王国の歴史を、世界遺産として登録された城跡および遺跡群で感じることができます。
琉球王国のグスク及び関連遺産群は9つの史跡から構成され、2つの石造建造物、5つの城跡、2つの文化的景観が含まれます。
各構成資産は沖縄本島に点在しており、合計54.9ヘクタールのエリアが世界遺産として登録されており、また、周辺の緩衝地域は559.7ヘクタールとなります。

10世紀から12世紀にかけて、琉球民族の農耕集落(グスク)は防衛のため簡素な石壁で集落を取り囲み始めました。
12世紀以降、按司(あじ、または、あんじ)と呼ばれる強大な一族が現れ、自身の領土を要塞化することで防衛機能を増強させ、それらもグスクと呼ばれるようになりました。
そびえたつ高台に残るグスクの城跡はその時代の社会構造の痕跡であり、また一方で聖地として古き時代の宗教の形が珍しく残存していたことを静かに指し示しています。

また、この期間における、広範囲に及ぶ琉球諸島の経済及び文化的接触が独自の文化を育んだとされています。

関連するまとめ

ビフィズス菌とは?

ビフィズス菌は1899年、パスツール研究所のティシエにより母乳栄養児の糞便から初めて発見されました。

スペインの激しいダンス!フラメンコについて!

踊りがもっぱら中心的にとらえられるフラメンコも、あらゆる民族音楽と同様に、歌(カンテ cante)がその発祥…

誕生酒。10月8日、9日、10日は何でしょうか?

366日分ある誕生酒。今回のカクテルは何でしょうか?酒言葉も載せています。

関連するキーワード