汗はなぜ出るのか

汗の最も重要な役割は体温の調節機能です。気温の上昇や運動、カゼの発熱などで体温が高くなった時に発汗は起こります。汗の水分が皮膚の上で蒸発するときに熱が奪われ(気化熱)、それによって体温を36.5℃前後に保つことが出来るのです。いわば汗は皮膚の表面での”打ち水”として機能している訳です。恒温動物である人間は体温を常に一定にして置かないと、すべての身体機能は正常に働きません。もし汗をかかないとしたら、熱が身体に籠もってしまい人間は死に至ることになるのです。このように汗は私たちの生命維持に極めて重要な働きをしているのです。

“良い汗” ”悪い汗“とは

汗は血液から作られていることはご存じですか。体温が上昇すると発汗の準備のため、血液からミネラル分と水分が汗腺に取り込まれます。この時、身体にとって大切なミネラル分は殆どが血液の中に再吸収され、水分だけが皮膚の表面から出てきます。これが本来の汗です。つまり”良い汗”なのです。ところが、発汗を促す交感神経の機能や汗腺の機能が鈍っていると、ミネラル分の再吸収が行われず、水分と一緒に皮膚の上に出てきます。これが”悪い汗”です。普段あまり汗をかかない生活をしている人に多く見られる現象です。ミネラルは体の生理機能を円滑にする大切な栄養素です。それが”悪い汗”とともに体外に流出し、その結果、不足状態に陥ってしまうと内蔵の機能低下など様々な体調不良をもたらすことになるのです。いわゆる「夏バテ」とはこうしたことが原因ではないか、と考えられています。

良い汗をかくためには

よく「人間の身体は使わないとサビる」と言われますが、発汗という生理反応でも同じことが言えます。つまり適度に汗を流すことを心掛けることです。いつもエアコンの快適さに身を委ね、運動も全くしない、という生活環境では自律神経にも狂いが生じ、めったに使われない汗腺も機能不全を起こしてしまいます。体温の上昇とともに自然に汗をかく生活をすることが悪い汗を防ぐ手立てとなるのです。

におい対策は

汗が出る汗腺には2つの種類があります。1つはエクリン汗腺で、身体全体に分布するエクリン汗腺からでるあせは99%が水分です。主に体温を調節する役目を担っており、本来はにおいはほとんどありません。もう1つはアポクリン汗腺です。ここから出る汗は水分の他にタンパク質や脂質などの有機成分が含まれています。汗自体にはにおいは無いのですが、これが皮膚の表面に付いた雑菌(表皮ブドウ球菌、アクネ菌など)に分解されるとある種の脂肪酸が出来て特有の汗のにおいを発するのです。アポクリン汗腺は腋の下、外耳道、外陰部などの体毛のある限られた部分にしかありません。その中で腋の下のにおいが強い場合が「わきが(腋臭症)」と呼ばれます。対策はとにかく皮膚を清潔な状態に保つことに尽きます。

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