健康な身体を作る3つの温泉の効果

1.物理的に働きかけ健康をつくる
 
昔から「湯治」の名にある通り、民間療法の代表的なものとされてきた温泉ですが、その効果は大別すると三つあげられます。
まず第一にあげられるのが、温熱、水圧、水の浮力・粘性抵抗など、私たちのからだに物理的に作用し健康をつくる効果。
例えばからだが温められると新陳代謝が活発になり、皮膚の血行がよくなり、汗が出てきます。
その結果、毛穴につまった汚れが取り除かれ、肌も美しくスベスベしてきます。
汗を出すということはからだの体温調節機能を働かせることにもなり、温度変化に鈍くなった私たちのからだを健康へと仕向けてくれるのです。
また入浴すると、水圧によってウエストが3~6㎝、胸囲が1~3㎝も縮少します。
このカがなかなかバカにできません。温泉に胸を1㎝沈めるごとに、胸の内部には0.5㎏の圧力が加わり、自然に呼吸筋を鍛えてくれます。

 
2.含有成分が作用し健康をつくる
 
美人の湯、神経痛の湯、心臓の湯、貧血の湯…。
温泉はその効能、効果により古くから様々な通り名がつけられてきました。
これはとりもなおさず、「各温泉にはその成分による独持な化学作用があり、その化学作用によって、どんな症状に効果があるか決まってくる」ことを言いあらわしています。
科学の発達していなかった昔から、古人は体験の積み重ねとロコミにより、温泉の化学成分が私たちのからだにはたす役割を知っていたのです。
この温泉成分は皮膚を通して体内に吸収され、からだの機能が健康に働くよう作用します。
皮膚からの吸収は、温泉から出た後も、その成分が皮膚に付いている間は続いています。
浴後、水や普通のお湯でからだを洗い流さない方がいいというのはこのためなのです。

 
3.からだの働きを変えて健康をつくる
 
難しい言葉でいうと温泉の変調効果(総合的生体調整作用)ということです。
私たちが温泉に入ると、からだは温度や水圧、それに化学成分などにより刺激をうけます。
すると、人間の健康と病気の殆どすべてに関連をもっている交感神経が働きだし、一時的にこの刺激からからだを守ろうとします。
体温上昇、血圧上昇、疲労、筋肉の痛みなどが起こるのです。
しかし一定時期が過ぎるとそれらは回復し、胃や心臓などの諸機能の働きをつかさどる自律神経が再調整され、有益なホルモンの分泌も増加します。
人間のからだの働きを温泉の刺激により一度変え、自然治癒力を増幅し、自己回復力を発揮させる温泉のもつ大きな力です。

効果的で安全な6つの温泉入浴法

1. 入浴前後に水分補給

入浴をすると発汗により血液粘度が高まり、ドロドロな状態の血液になります。そのため、入浴前後に1杯ずつの水を飲むことが大切です。入浴15~30分前にスポーツドリンクやビタミンC飲料を飲むと湯あたり防止の効果にもなるのでおすすめです。また、お酒を飲んだ直後の入浴は危険ですので充分に酔いを覚ましてから入浴するようにしましょう。
温泉旅館などでは、お部屋にお茶とお茶菓子が用意されていることがありますよね。ちょうど水分補給にもなるので、旅館についたらまずはお茶をゆっくりいただいて、移動で疲れた体を休めてから温泉に浸かるというのも大事なポイントです。


2. ”かけ湯”をする

湯船に入る前のかけ湯は、体の汚れを落としてから入浴するためのマナーというだけではなく、温泉の泉質や温度に体をならすためにも大切なこと。足先など心臓の遠くから順に十分なかけ湯をするようにしましょう。
また、膝下にお湯と水を交互にかける「温冷交互浴」を行うと、末梢血管が広がり、疲労物質が排出されやすくなるので疲労回復に効果があるほか、冷え性改善にも最適です。お湯を3分・水を1分、これを3~5回ほど繰り返すと効果的です。


3. 温泉に浸かってから体を洗う

美肌効果の高い泉質の温泉の場合、体を洗ってから入浴するのではなく、入浴後に体を洗うほうが効果的です。(ただしマナーとして体の汚れは落としてから入浴しましょう) 温泉の効果で角質や毛穴の汚れがとれやすい状態になったら、刺激を与えないよう手で体を洗うようにするのがおすすめです。


4. 頭に濡れたタオルをのせる

タオルを浴槽につけないために頭にタオルをのせている姿をよく見かけますよね。実はあれも安全な入浴法のひとつなのです。入浴中に頭に血がのぼってのぼせてしまうことのないよう、のぼせやすい「内湯」や「夏の露天風呂」では冷たいタオルを頭にのせておくのがおすすめ。脳の血管が収縮して危険な「冬の露天風呂」では熱いお湯をしみこませたタオルが効果的です。
また、立ちくらみの防止には、ゆっくりと浴槽から出ることが大切です。


5. 一気に長湯せずに”分割浴”

入浴時には、水圧・温度・温泉の刺激からの負担を軽くするために、「足浴→半身浴→全身浴」の順でゆっくり入浴しましょう。また、一気に長湯せずに、浴槽からでて休憩を挟む「分割浴」をすると湯冷めしにくくなるのでおすすめです。


6. ”あがり湯”は新鮮な温泉で

温泉からあがる際に、シャワーで体を流している方もいるかと思いますが、温泉には皮膚の表面に膜を作り保湿する効果があるため、上がり湯はしないほうがおすすめです。(ただし、酸性泉など刺激の強い温泉の場合はシャワーなどで温泉をながしたほうがよいです。) あがり湯をする場合は、温泉の湯口から桶で新鮮なお湯を取り適温に冷ましてからかけるといいでしょう。入浴後も温泉成分は肌に浸透していきます。


これから温泉が恋しくなる季節がやってきます!さまざまな効果のある温泉を安全に楽しみましょう!

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