セイバーメトリクス
野球が好きな方には知っていて当然の言葉でしょう。
ただ、詳しくは知らない人も多いと思いますので、少し消化します。

セイバーメトリクスとは

 ビル・ジェイムズという人物によって提唱された、野球についての客観的・統計的な研究のこと。
 メジャーリーグでは実際にチームの運営に利用している球団も多くあり、特にオークランド・アスレチックスがセイバーメトリクスを用いてチームを改革した物語が『マネー・ボール』という本で描かれ大変話題になりました。一般的にも様々な指標を用いて選手を評価したり、分析することなどが行われています。

セイバーメトリクスの意義と役割

 
世間で利用されている野球にまつわる数字、例えば打率・本塁打・打点などは、必ずしもその選手の価値を的確に表していないことが徐々に知られてきました。
例えば打率はあくまで打数のうちの安打の割合を表しているに過ぎず、長打や四球を考慮していないので打率の順番通りに貢献の大きさがあるわけではありません。
打点は同じ打撃内容でも打ったときの走者の数に大きく左右される数字であり、本人の力による貢献とは言い切れないものがあります。
そこで、では実際にはどのような要素が選手の能力・勝利に結びついているのかということを研究することで、野球の構造が客観的にわかり、勝利への貢献についてより公正な評価を下すことができるようになります。

また主観的な評価には様々な気まぐれが介入するものですし、物理的な限界もあります。マネー・ボールからビル・ジェイムズのコメントを引用すると

3割の打者と2割7分5厘の打者を、目で見るだけで区別することはぜったいにできない。なにしろ、2週間にヒット1本の差しかない。
シーズンを通じてそのチームの全試合を見ているスポーツ記者なら、ひょっとすると何か違いを感じ取れるかもしれないが、おそらく不可能だろう。
10試合に1試合見る程度の平均的な野球ファンは、むろん、そんな微妙な差を見きわめられるはずがない。
事実、もし年間15試合観戦するとすれば、目の前でたまたま2割7分5厘の打者が3割打者より多くヒットを打つ確率が40パーセントもある。
要するに、すぐれた打者と平均的な打者の違いは、目には見えない。
違いはデータのなかだけにある。
 
2割7分そこそこというのは日本でも野手の平均的な打率です。対して3割打者というのは一流として尊敬を集めますが、冷静に考えると安打の数はそれくらいの違いでしかないということです。なかなか見ただけでその打者の打率を言い当てることは難しいでしょう。時間的な問題で一人の人間がプロ野球の全試合を見るのも無理でしょうから、全体を把握するにはやはり記録が武器になります。

そしていかに打撃フォームが醜い打撃であろうが、ヒットはヒットです。見た目だけに頼ると、実際に稼ぎ出した貢献とかけ離れた評価をしてしまうかもしれません。
引用部分は、だからといってただスコアブックを見れば誰が優れているのかわかると言いたいわけではなく、「計算法を工夫するにかぎる」というコメントに続きます。大事なのは主観的な評価と数字による評価、両者の重要性と欠点を認識して定量的に表せる範囲はより具体的にした上で両者を総合することです。

セイバーメトリクスは主観が曖昧であること、記録なしに包括的な情報を管理するのは難しいこと、しかしただの記録や従来の簡単な指標だけでは実情を把握するのに足りないこと、などを補強して野球における定量的な議論をより具体的で実用的なステージに押し上げるのに役立つと考えます。

具体的な利用法

根本的に、野球は得点が失点を上回ることで勝利となるスポーツです。それを達成するために打者ならば得点を増やすこと、投手ならば失点を減らすことが要求されます。従って例えば各個人を評価するならば成績について何がそれぞれの責任で、かつ得点(失点)に結びついているのかということを見るのが基本的な考え方です。


伝統的に最もよく利用される打撃指標である打率は、四球や長打を考慮していないために得点との相関性がさほど強くありません。もちろん打率が高いチームほど総得点が多いという関係ははっきり見られますが、長打率や出塁率のほうがより強く得点に結びついています。
長打率は「塁打÷打数」の式で求められる指標。塁打は「単打×1+二塁打×2+三塁打×3+本塁打×4」で計算されるもので、それぞれの安打で得る塁の数を加重した打率とも言えます。
 
出塁率は「(安打+四死球)÷(打数+四死球+犠飛)」。犠打や打撃妨害を除く打席のうち、どれだけアウトにならず出塁したかを評価します。

長打率と出塁率はセイバーメトリクスなどという言葉が知られる前からずっと公式記録として採用されています。打率を用いるのならば、これらの指標を利用したほうが打者の貢献を的確に捉えることができると言えます。こういった指標を統合しさらに得点との相関が高い指標を構築するにはどうすればいいか、といったことがセイバーメトリクスでは研究されています。

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中山葵

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今までスポーツは観る専門でしたが、これからは色んなスポーツをやっていきたいと思っています。

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