暑熱馴化というものがあり、この暑熱馴化は身体を暑い環境下に慣らしていくというもので、1週間から10日間ほどかけて完成するといわれています。人間の身体は外気温に対して体温調節を行い、約37℃を保つようにしていますが、急激な温度変化に体温調節機能がうまく働かず、身体の中に熱がこもってしまうことで熱中症になる可能性が高まります。こうした温度変化に対応するためには前もって暑さに慣れてしまうようにすることが、熱中症予防に不可欠のようです。暑熱馴化の方法には大きく2つあげられます。1つは運動すること、もう1つは環境温度の設定を見直すことです。

運動によって暑さに慣れるという方法は、運動生理学的にもさまざまな研究からその効果が立証されています。暑い環境下での運動は体内の血流が増加し、皮膚から熱を発散させる能力が高まります。この状態を維持することで適切な発汗が促され、暑いときにも体温を調節する機能が効率よく働くそうです。オススメは早朝の運動で、比較的涼しい時間帯にウォーキングやジョギングなどで一度しっかり汗をかくようにし、その後シャワーなどでさっぱりすると、身体も心もしっかり目覚めることができ、暑さ対策にもなります。
適度に水分補給を取りながら、汗をかくことを意識して運動を行い、運動は10分程度からでも大丈夫です。強度が強くなればなるほど暑熱馴化は早く完成するといわれていますが、個人の体力レベルや運動習慣などに合わせ、無理なく続けられる強度が良いそうです。夕方のお買い物に歩いて出かける、自転車を利用するといった日常生活の中で身体を動かすことでも運動レベルは上がります。

外気温は暑いのに室内は長袖を着るほど涼しい設定温度になっていると、外に出たときに暑さに耐えられず身体が疲れてしまうこともあります。節電対策としてもクーラーの設定温度を高めにして、扇風機などを上手に利用して暑さに慣れるようにすると良いようです。早朝や夕方以降は自然の風を室内に取り入れて過ごしたり、グリーンカーテンを作る、窓際に風鈴などを置くといったことも耳から涼しさを感じるよい方法です。

暑さに慣れるために行う運動でも水分補給はしっかりした方が良いです。特に水分とともに塩分補給も大事です。
汗をしっかりかいて暑さに身体を慣らしていくため、汗で失われた水分とともに塩分を補給しないと血液中のミネラルバランスが崩れ、脱水や体調不良などを引き起こしてしまいます。
暑い時期だからこそ汗をかき、暑さに強い身体づくりとともに体力レベルの向上、健康的な生活を送り、熱中症に負けない夏を過ごしましょう。