サッカーの無回転シュートとは

通常サッカーでもっとも頻繁に使われるボールの蹴り方はインサイドキックだと思いますが、これは正確性に優れた蹴り方や打ち方だからです。

そして強いボールを蹴りたいときにはインステップキックを活用し、ロングボールを蹴りたいときはインフロントキックを使うというように、サッカーでは蹴り方うや打ち方のスキルを使い分けます。

これらのサッカーの基本的な蹴り方や打ち方は実はすべてボールに縦や横方向の回転がかかっています。逆に言えばこの回転を使ってカーブをかけてコントロールしたりするのが基本的なサッカーのボールの蹴り方や打ち方となり、シュートに関しても同様だと思います。

これに対してサッカーの無回転シュートとは、縦や横の回転をかけずに強いシュートを行う蹴り方や打ち方の総称として使われており、これはパスではなくシュート専用の蹴り方や打ち方となっています。この回転をかけない「無回転」というところにサッカーで無回転シュートを使う大きなメリットがあります。

無回転シュートのメリット

無回転シュートはボールがブレ球となり不規則な変化を起こすのが特徴です。サッカーではボールが横回転によってカーブするのが普通で、縦回転では下に落ちますし、アウトサイドを使えばシュート回転ですからカーブの反対に曲がります。

サッカーに習熟したGKであれば、シュートの瞬間にシュート体勢やボールの動き方から変化方向を予測するのが可能となるのですが、無回転シュートの場合あまりにも不規則で物理的な制約を受けない変化をするためにこのような予測がまず不可能となります。

そのため仮にGKの正面方向に無回転シュートが飛んでしまっても、キャッチングすることはおろかパンチングでさえも困難となります。このようにサッカーにおいて極めて得点確率の高い効果的な蹴り方や打ち方が、無回転シュートなんです。

無回転シュートがブレ球となる仕組み

無回転シュートはブレ球とも呼ばれますが、これは「揺れて落ちる」という変化のことを指し、サッカーだけではなく野球やバレーボールでも活用されている球種です。

サッカーにおいて何も考えず一般的な蹴り方をするとボールには必ず同一方向の回転がかかります。同一方向の回転がかかったボールが飛んでいく際には周囲の空気の流れが同一の回転によって分断され、必ず空気の流れが速いところと遅いところを作り出します。
進行方向に対して回転が順方向な面では空気の流れが速くなり、逆方向の面では抵抗が生まれますから空気の流れは遅くなります。物理的に、空気の流れの速さの違いはそのまま圧力差になりますから、ボールは圧力の低い方へと変化することになり、サッカーの場合では右利きの人が蹴ればボールは左に、左利きであれば右に行くことになるわけです。

対して無回転で飛んでいくボールは回転がないため、分断していく空気の流れの速さがどの部分で速くなったり遅くなったりするか決まっていません。
そのため一定方向への変化を行えずに右に変化したと思ったら左へなど、微妙な変化が次の変化を生み、結果的にボールは左右上下に細かく変化するブレ球となるわけです。
数学的には言えばカオス理論の応用と言えるでしょう。初期条件から最終的な変化量を予測することができないということですね。
ですからサッカーにおいて無回転シュートとは、実は蹴った本人にもどのような変化をするかわかりません。
これをGKに止めろというのはまず無理な話なんです。せいぜいがパンチングや身体に当てて跳ね返すくらいで、確実なキャッチングは逆に危険と言えます。

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