2021-22シーズンのサッカー新競技規則が採用!

先日、開幕を迎えた欧州選手権(EURO2020)で、2021-22シーズンに向けた新競技規則が採用されました。近年、改正が相次いでいた「ハンド」のルールにおいて、大幅な見直しが行われているのでルール面でも注目されています。

サッカーのルールは、イギリス4協会とFIFA(加盟国からの投票で意見を決定)によって構成される「国際サッカー評議会(IFAB)」によって定められ、ここで取り決められた競技規則は全世界のサッカー競技会で適用されることになります。

最大のトピックは「ハンド」に関するルール

2021-22シーズンに向けた競技規則の改正において、最大のトピックは「ハンド」の反則と言われています。

ハンドに関する条文には「競技者の手や腕にボールが当たった場合のすべてが反則になるとは限らない」という文言が付け加えられるようです。これは既存のルールでも採用されている一大原則になりますが、VARによるレビュー時には手や腕との接触有無が関わってくるため、誤解を防ぐために明文化しておく必要があるようです。

また、ハンドかどうかの基準を定める条文にも、大幅な変更が加えられていて、IFABの発表では、ハンドの反則が取られるケースが以下のように記されています。

・手や腕で意図的にボールに触れる。たとえば、手や腕をボールに向かって動かす。

・競技者の身体を不自然に大きくした手や腕でボールに触れる。その際、プレーヤーが特定の状況で身体を動かした結果ではなく、またその動かし方が正当ではないと判断されるなら、競技者が手や腕を不自然に大きくしたと考えられる。プレーヤーがそうした位置に手や腕を動かした場合、ハンドの反則を取られるリスクがある。

・ゴールキーパーも含めて、偶発的にであっても、手や腕から直接得点をする。

・偶発的にであっても、ボールが手や腕に触れた直後に得点をする。

どこが変わるのか?

「手や腕を用いて体を不自然に大きくした」事象の明確化

ハンドに関しては2019-20シーズンの競技規則改正で大規模な変更が行われ、「手や腕を用いて競技者の体を不自然に大きくした」「競技者の手や腕が肩の位置以上の高さにあった」場合に反則とする、という主旨の条文が新設されました。これは、ハンドかどうかを判定するかの基準の一つとして、手や腕の“位置”が重んじられるようになっていました。

これが、2021-22シーズンに向けた今回の改正条文では「プレーヤーが特定の状況で身体を動かした結果ではなく、またその動かし方が正当ではないと判断される」場合において「競技者の体を不自然に大きくした」とする、という定義づけが新たになされた。つまり、選手の動きと手や腕の位置との“関係性”を重視するということになります。

この変更は、選手がジャンプやスライディングを行う際などに、不作為的に手や腕が上がったり広がったりしてしまうケースを想定したものとみられ、選手の動きに応じて「不自然ではない」(=ハンドなし)と判断される可能性が出てくることになります。

「手や腕に偶然ボールが当たった」あとの得点

これまでは、「偶発的にであっても、ボールが手や腕に触れた後にボールを保持して、またはコントロールして(中略)相手競技者のゴールに得点する。得点の機会を作り出す」ような事象があった場合に無条件にハンドとなる、という主旨の条文も新設されていた。「サッカーでは、たとえ偶然であっても手や腕を用いて得点することは受け入れられない」という、足でボールを扱う競技の理念を反映させた形のなります。

この項目は2020-21シーズンの競技規則改正で再び見直しが行われ、「偶発的であっても、ボールが自分や味方競技者の手や腕に触れた直後に、相手競技者のゴールに得点する。得点の機会を作り出す」という条文に変更された。「直後」という時間的な制約が明記されたことで、ハンドの反則にあたる範囲が狭められる形となった。

それが、今回の2021-22シーズンに向けた今回の改正では「得点の機会を作り出す」「味方競技者の手や腕」という文言の削除されました。これによって、①偶発的に手や腕にボールが触れた直後に得点機会が作り出される②偶発的に手や腕にボールが触れた直後にチームメートが得点を決める、という二つの事例については、ハンドの反則にはあたらないことになりました。

IFABの発表では、この変更について「ゴールを決める機会を得たり、チームメートがゴールを決めたりする際の偶発的なハンドは、今後は反則とはみなされません」と説明しています。

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