溜まってはいけない“第三の脂肪”

近年、太っていない人でも溜まってしまう脂肪が話題になりました。太ももやお尻につきやすい“皮下脂肪”、お腹周りを大きくする“内臓脂肪”とも違う、“第三の脂肪”と言われる「異所性脂肪」です。

これは骨格筋(筋肉)や肝臓、心臓など、脂肪がつくはずのない場所に溜まってしまう、ありえない脂肪なんだそうです。皮下脂肪も内臓脂肪も、それぞれ体温維持や内臓や骨を支える働きがあり、ある程度は必要なものですが、これに対して「異所性脂肪」は蓄積したその臓器の機能を悪化させ、重大疾患を引き起こすと考えられています。

「異所性脂肪」の恐ろしさとは

「異所性脂肪」の怖いところは、肥満ではない人にも溜まってしまうことで、日本人の場合、標準体型でも、さまざまな病気を発症してしまうことがあります。

脂肪肝や糖尿病など生活習慣病は、欧米人の多くがBMI30を超える肥満体系であるのに対し、日本人をはじめとするアジア人は、BMI25以下の標準体型でも発症することが多く、脂肪肝に関してはBMI23でも発症するそうです。そして、糖尿病を発症する人の平均のBMIは、現在でも25未満と報告されています。

日本人が肥満でなくても糖尿病を発症しやすい原因として、欧米人に比べてインスリンの分泌が少ないことがありますが、そこに「異所性脂肪」も関係しているそうです。日本人は、皮下脂肪、内臓脂肪を蓄える力が弱い太れない体質のため、余ったエネルギーを異所性脂肪として溜まりやすいと考えられています。

食事や運動で改善しよう!

人が脂肪を蓄積するのは、生きるためにエネルギーを貯蔵するためですが、飢えの心配がないの日本人にとっては、飽食のため常にエネルギーが過剰になっています。また日本人は欧米人に比べて、脂肪を蓄えられる容量が圧倒的に少ないと考えられ、それによって余ったエネルギーが行き場を失い、異なる場所にまで溜まってしまうそうです。

骨格筋(筋肉)、肝臓、心臓は本来、脂肪が溜まるはずのない場所ですが、ここに異所性脂肪が溜まることによって、筋肉の質が落ち、脂肪肝や糖尿病などの生活習慣病に大きく影響すると考えられます。

太っていなくても溜まってしまう「異所性脂肪」の対策方法は、単に体重を減らすことではなく、異所性脂肪のない質のよい筋肉作りを目指し、エネルギーをうまく処理するなど、正常に働く筋肉を作ることが目標です。

現代人のエネルギーが過剰なのは、食事の摂り過ぎではなく、運動不足によって燃焼できていないことも一因です。食事療法に運動療法を組み合わせれば、異所性脂肪が減少するそうで、良い食習慣に運動習慣を加えれば、異所性脂肪のないキレイな身体を目指せます。

「異所性脂肪」は溜まりやすいものですが、落としやすいものでもあり、有酸素運動だけでなく、無酸素運動・筋トレもとり入れると、より効果的だそうです。

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