マルチーズ

●マルチーズの歴史

マルチーズの原産地は、イタリアの南、地中海に浮かぶ現在のマルタ共和国のマルタ島とされています。
その時期は紀元前1500年頃のこと。貿易商人によりアジアからマルタ島に持ち込まれた犬が、島の中で独自の発展を遂げてきたとされていますが、あまりにも古いことなので、その頃の確実な記録は見当たらないようです。
マルチーズはほかのミニチュアドッグのように選択交配で小さくなったものではなく、最初から小さい犬であったため、世界最古の愛玩犬と呼ばれています。

その後、マルチーズは貿易商人や船員によって世界各国へ持ち出され、ビションフリーゼなど他犬種の発展の基礎になることもありました。
エジプトやギリシャでは、愛するマルチーズのために墓を建て、豪華な金の食器で食事をさせていたなど、世界中の貴族たちから寵愛されていた記録が残っています。
イタリアやフランスを経てヨーロッパにわたったマルチーズは、15世紀には貴婦人の愛玩犬となり、19世紀になると、犬好きで知られるイギリスのビクトリア女王もマルチーズを飼育していました。

一方、マルタ島に残ったマルチーズたちは、小さな島の中で交配を繰り返されていました。近親交配となってしまい、性質が固定化されたことにより、特定の遺伝病や疾患にかかりやすくなりました。そして数が少なくなり、絶滅の危機さえあったそうです。初期のマルチーズは白以外の色もあったようですが、近親交配を繰り返すうちに、白い毛色で固定されてしまったそうです。

こうして3000年もの長きにわたり愛されてきたマルチーズですが、日本に入ってきたのは1960年頃とされています。1968年から1984年まで15年にもわたり登録数ランキング1位という人気ぶりでした。


●マルチーズの飼い方

マルチーズはアンダーコートこそないものの、長毛は細く絡みやすいため、できるだけ毎日のブラッシングが必要です。
放っておくと床を引きずるほどに長くなりますので、定期的なカットなどトリミングを行い、毛を伸ばしたい場合は毛先が汚れないように専門的な処理(ラッピング)が必要となります。
顔まわりに毛がかかると、汚れたり目に入ったりしますので、リボンなどでまとめてあげましょう。

眼もとは涙やけを起こして変色することがありますので、こまめにふき取ってあげましょう。
耳は垂れているうえに長毛がかぶさってきますので、通気性が悪く汚れがちで、放っておくと外耳炎を引き起こしてしまいます。子犬の頃から耳の中を触らせるようにしつけて、耳掃除を嫌がらないようにしたいものです。

マルチーズは常に人間の近くにいて、室内で飼われ続けて来た小型犬ですので、長時間の散歩や激しい運動は必要ありません。散歩は20分くらいの気分転換程度、運動は室内での遊びで十分です。

マルチーズは甘えん坊で人の愛情に対しては敏感なため、溺愛し過ぎると神経質な面が強くなり、来客に吠え続けるなど排他的になりがちです。子犬の頃から甘やかしすぎず、しつけを正しく行い、犬の機嫌を取りながら生活をすることがないように気をつけましょう。

ボストンテリア

●ボストンテリアの歴史

アメリカを原産国とするボストンテリアは、2012年には本国アメリカで12000頭以上、日本でも1600頭以上が登録されている、人気の小型犬種です。
今や世界中で愛されているボストンテリアは、たった4頭の犬たちから始まりました。
そしてそのすべての祖先たちの記録がたどれるほど、ボストンテリアの歴史は新しいものです。

今からおよそ150年前の1865年頃のアメリカ・ボストン市周辺で、白いイングリッシュ・テリアとブルドッグを交配して生まれたジャッジという名前の犬がいました。
ジャッジは体重がおよそ15kg(32ポンド)、体格のがっちりした中型サイズで、白地にブリンドルという現在のボストンテリアと非常によく似た外見を持っていました。ジャッジをベースに約9kg(20ポンド)とサイズの小さい白いメス「ジップ(別名ケイト)」を交配し、生まれたオス犬「エフ」は約13kg(28ポンド)になりました。さらにエフはブリンドルの毛色で体重約9kg(20ポンド)の「トビンズ・ケイト」と交配されて、生まれた子犬たちがボストンテリアの基礎になりました。現在世界中で愛されているすべてのボストンテリアは、ジャッジ、ジップ、エフ、ケイトとその子犬たちがルーツなのです。

この時代はまだ闘犬が行われていたため、祖先犬ジップは闘犬として作出され、ブルテリアの血を引いていたようです。その後、ジップが種オスになってまもなく闘犬が禁止され、ボストンテリアの作出は愛玩犬化に舵を切りました。小型化の過程で愛玩犬を交配することによって闘犬の血は薄れ、ボストンテリアは「タキシードを着たアメリカ紳士」と呼ばれる、優しく身ぎれいでスマートな犬になりました。
アメリカンケネルクラブは当初、この犬種の登録に慎重な立場を取っていました。ジップの交配から数えて20年にも満たずに作出されたため、あまりにも時間が短く、固定化のために十分でないと考えていたのですが、関係者の努力により1893年にボストンテリアとして正式に登録されることになりました。
現在ではアメリカを代表する犬のひとつであり、ボストン大学のマスコットでもあります。


●ボストンテリアの飼い方

ボストンテリアは活発で遊び好き、運動も好きなので、体力のある若犬のあいだはドッグスポーツにチャレンジするのも良いでしょう。太りやすい体質ですので、運動は大切です。
しかし、短頭種ですので、過剰な運動や気温・体温の上昇で呼吸困難にならないよう、注意が必要です。
散歩は1日30分~1時間程度、夏季は取りやめて室内での運動でも良いでしょう。

愛玩犬の優しさと、飼い主オンリーのテリア気質の両方を持ち合わせています。
愛情不足であれば嫉妬心から、過保護であれば依存心の強さから、問題行動を起こしてしまいます。
子犬の頃からしつけやけじめのあるコミュニケーションを通して、落ち着いた犬に育てていきたいものです。

短毛ですので被毛の手入れは楽ですが、暑さに弱いため、抜け毛はこまめに取り除いてすっきりと風通し良くさせてあげましょう。
地域によっては、老犬の冬期の外出時には衣類を着せるのも良いでしょう。

ブルドック

●ブルドッグの歴史

13世紀頃のイギリスで、牛を屠殺する時に、犬によって痛めつけられる姿を観て娯楽にしていた時代がありました。ブル(牛)・ベインディング(咬み付く)という見世物で、この時に使われていた犬がブルドッグの祖先と考えられています。17世紀ごろにその存在が認められ、18世紀には絵画の中にも登場しますが、この当時のブルドッグはまだ短足ではなく、余分な皮膚が余っていることもなく、口先こそ短いものの、特徴的なアンダーバイトでもありませんでした。
19世紀前半になると、ブル・ベインディングは庶民の娯楽にもなり、選択交配が進むことで、短足・余剰皮膚・アンダーバイトでより口先の短い、現在のブルドッグに近いスタイルに少しずつ変化していきました。

しかし、1835年になると、動物愛護の観点からブル・ベインディングは禁止されることになりました。お役御免となったブルドッグたちは、存在理由が失われて繁殖されなくなり、一時は絶滅の危機にあったほどでした。しかし一部の愛好家たちの手により、時代に合った犬へと大きく改良が進められることになりました。
肉体ばかりでなく、性格的にも闘いに向いた気質を選抜されてきたブルドッグたちから、闘争心や攻撃性を抜き去ることに成功すると、いかにも怖そうな外見に反して優しくなったブルドッグたちは、家庭犬として人気を得るようになりました。ユーモラスさを強調するためずんぐりして頭が大きい容姿の選択交配にも拍車がかかり、現在のブルドッグとほぼ同じ形になりました。

攻撃性を抜いても頑固で忠実な気質はそのまま残り、イギリスを象徴する国犬となって、フレンチ・ブルドッグやブルテリアなどの犬種作出にも使われるようになりました。
イギリスでは海軍のマスコットとして、アメリカではニューヨーク州のレスキューのシンボルマークに、勇気と不屈の精神を象徴するブルドッグが使われています。
わが国でソースのシンボルマークになったのは大正末期ですが、ソース発祥の地のイギリスでブルドッグが家庭犬として人気を博していたことから採用されたのだそうです。


●ブルドッグの飼い方

ブルドッグは走ったり遊んだりすることはあまりありませんが、飼い主と共に活動することを好みます。
体重管理の必要がありますので、朝晩の涼しい時間を選んで、毎日30分~1時間程度のゆっくりとした散歩を行うようにしましょう。
ただし、日本の高温多湿の夏は、ブルドッグにとって非常に厳しい季節になりますので、無理に外出することはよくありません。また、関東以南では冷房のない部屋での飼育は難しいと言わざるを得ません。

頑固でしつけや訓練は入りにくいものの、性格は優しく温和ですので、室内トイレなどは根気よくしつけるようにしましょう。

被毛は厚いものの短毛であるため、手入れは楽です。毛の手入れよりは皮膚の手入れが重要で、しわの間に汚れがたまらないように、こまめにふき取ってあげましょう。

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