雨の日に気分が落ち込むのは心理的な原因だけ?

曇や雨が続く梅雨のこの時期は、気分もからだも重くなりがちです。朝起きて雨が降っている、あるいは天気予報で雨の日が続くとわかると、「ああ、うっとおしいな」と思う人も多いはずです。雨の日は倦怠感や頭痛など、症状が重くなる人が多いようです。

ほとんど人が雨を嫌う理由を考えてみると、「空が暗い」「服や靴が濡れてしまう」「傘を持つのがめんどう」「ムシムシする」といったところではなおでしょうか。日本では、6月のこの時期は祝日がないからという人もいるでしょう。
しかし、雨に日に気分が沈む理由は、このような心理・社会的要因だけなのでしょうか。どうもそうではなさそうです。
天候が人間の気分に影響を与えることは、以前から知られています。調査研究でも、低気圧が抑うつ状態の発症を高める、寒さや暗さ、低気圧がうつ病の発症に関連していることが報告されています。
曇り空などによる日照量の減少と抑うつ状態に関しては、日照の時間の短い冬にうつ状態になる季節性うつ病の存在や、高照度光療法がうつ病治療に効果的であることからも、肯ける関係であります。「蒸し暑い」高温多湿という環境も、疲れやすさの面から気分に影響を与えているでしょう。
ただ、こういった天気の悪い日は、気象学的には「低気圧」によって生じます。この大気圧が低いという環境は、人間の気分にどのような影響を与えているのでしょうか。

低気圧と抑うつ状態との関連

低気圧が人間の気分に与える影響を調べた研究は、意外なことに見当たりません。しかしラットを用いた動物実験では、名古屋大学の研究グループが興味深い研究結果を発表しています。
ラットを強制的に泳がせると、からだを動かさなくなる状態が発生する。人間でいう強制的な過重労働のようなものです。抗うつ薬を投与すると、この動かない状態は改善するので、これをラットのうつ状態と考える。
この強制水泳を正常気圧と低気圧(-20hPa)で繰り返し行わせると、低気圧下のラットの方が、からだを動かさない時間がより長くなった。さらに、既にうつ状態なってしまったラットに強制水泳をさせたとき、正常気圧下に比べて低気圧下のほうが、より動かない時間が延びた、すなわち抑うつ状態がひどくなったということ。
この動物実験が示すのは、低気圧環境は抑うつを新たに発症させ、さらにすでにある抑うつを悪くしてしまうという困った作用があることです。
しかしこの論文でも、低気圧が抑うつ状態を惹起・増強させるメカニズムは、明らかではないと述べている。自律神経系やホルモンなどの関与を候補に挙げているが、今後の研究が待たれるとしている。
動物実験結果を人間にそのままあてはめるわけにはいかないが、「雨の日はうっとおしい」という心理的な問題だけではないようです。依然として科学的な因果関係は明らかにはなっていませんが、低気圧にともなう悪天候とその日の気分には相関があります。おそらくは神経ネットワークや内分泌系をも巻き込んだ、全身的なメカニズムがあるのかもしれません。今後の研究が待たれるとこです。
というわけで、これぞという現実的な対応策は乏しいです。しかし、こういった知識は「雨でも元気でいなければならない」などという完璧主義や根性論に縛られず、梅雨を乗り切っていくためにも大切なことだと思います。また、梅雨に具合が悪くなる人がいる事実は、健康な人にも知っておいてほしいです。

雨の日を好きになる努力

そこで、雨の日に出かけるために、雨の日に対して、いいイメージを作っていきましょう。
確かに雨の日というのは憂鬱で面倒で、疲れるし体調は悪くなるし、濡れるし汚れるしで決して気持ちのいい日ではありません。
しかし、本当にそれだけでしょうか?
例えば「恵みの雨」という言葉があるように、雨というものは自然界にとって見れば、生命の源そのもので、むしろ晴れの日と変わらないくらいポジティブな出来事です。世界でも水不足などで生活のために雨を必要とする地域もあります。そう考えようによっては、雨の日というのは素敵な一日なのです。

またリラクゼーションを目的とするフィーリングミュージックに雨音が使われることがよくあります。
そうつまり、雨音には、精神をリラックスさせる効果があると言われているわけです。
その理由には様々な学説がありますが、きっと人間も本能の部分で雨というものが命をもたらすものだと知っているからかもしれません。
目をつぶって、じっと雨の音を聞く。
それだけで、恐怖や不安というものが少し和らいでくるかもしれません。

他には、雨の日限定で特典を授けているお店というものも結構あります。雨の日をきっかけに屋内でのイベントをチェックして参加するのもよいでしょう。もし、レインコートやレインブーツ、傘などの雨具を新しく買っているのであれば、それは当然雨の日に使用しますよね。
雨独特の空気の香り。雨上がりの空の美しさ。雨が洗い流した空気の澄み切った心地よさ。
そう、雨というのは、ある意味天気が気分転換をするために私たちにくれるギフトのようなもの。そんなふうに言っても間違いではないかもしれん。
この、雨が降ることによって気分転換になるという発想こそ「雨の日だからこそ」出かけようという精神の変化に関係してくるのです。

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