なぜ、汗が出るのか?

汗というと、うだるような暑さの中でかく汗や、冷や汗など、あまりいいイメージはありませんが、汗には、とても大切な役割があるんです。

汗の働きは、「上昇した体温を下げる」こと。汗は、運動や強い日差しなどによって上がった体温を下げて、一定に保つ役目を果たしています。汗をかいて、しばらくすると蒸発して、いずれは乾きますが、その乾く瞬間に「気化」が起こり、気化の際に体温を吸収(気化熱)しています。汗の本来の目的は、「汗という水分を出すこと」ではなく、「汗という水分が乾くことで熱を奪い、体温を下げること」になります。

エアコンの普及が原因で汗をかけない若者が急増!

汗をかけない若者が急増している原因として、エアコン普及により、子どもが汗をかく機会が減っていることが指摘されています。

小さい頃からエアコンが当たり前にあり、汗をかかない環境で過ごすことで能動汗腺が少なくなることが原因とされています。

能動汗腺とは、汗をかける汗腺のことで、この数が多いか少ないかで汗をかく量が決まるそうです。能動汗腺の数を左右するのは、「乳幼児期の過ごした環境」と言われており、2歳半ごろまでには数が決まるそうです。涼しいところで過ごせば、あまり汗をかく必要ないため、能動汗腺の数の増え方はゆるやかになります。逆に暑い所で過ごせば、たっぷりと汗をかきながら、能動汗腺もしっかり発達していくそうです。

日本人の能動汗腺は平均230万個といわれていますが、今では生まれたときから冷房があるのが当たり前で、乳幼児期に汗をかく機会が減っています。その結果、能動汗腺が発達せず、能動汗腺が少ない子供、つまり「汗のかけない子供」が増えているそうです。

汗をかけないとどうなる?

汗かきの自分としては、汗をかけないのは羨ましくも思いますが、汗をかけないデメリットはかなり大きいようです。

熱がこもり、熱中症にかかりやすくなる!

熱中症にかかりやすくなることが、一番のデメリットで、汗をうまくかけなければ、体内に熱がこもってしまいます。猛暑の中でも汗をかけない現代の子供は、昔の子供に比べて熱中症のリスクが高くなっているそうです。

とはいっても、暑い環境を避け、冷房に頼り切った生活をするのも危険で、自律神経のバランスが乱れから、余計に汗をかきにくくなってしまいます。こうなると悪循環ですから、適度な暑さの中に身を置くことが大事で、汗をかく機会を増やすことが大切です。

熱の発生が抑えられ、「低体温児」になる!

汗をかけないということは、体温上昇に対応する機能が弱いということで、身体はその弱点をカバーしようと基礎代謝を低くして、熱の発生を押さえようとするそうです。その結果、子供たちの平熱が低下傾向にあり、最近では、常に平熱が35度ほどしかない「低体温児」が増えているそうです。

低体温というのは、体温が低いだけではなく、「集中力が続かない」「疲れやすい」「風邪をひきやすい」「アレルギー疾患が増える」など、デメリットがあります。低体温を解消するには、普段の生活の見直しが大切で、「朝ごはんをしっかり食べる」「しっかりと身体を動かす」「夜はぐっすり眠る」など、当たり前のことながら、できていないことが基本です。一つずつ改善しましょう。

アンモニアなどが含まれ、悪臭を放つ!

体温調整のためにかく汗は、本来はサラサラとしていて無臭のため、基本的に臭いはありません。「汗臭さ」というのは、汗をかいたまま放置して、皮膚の雑菌などと反応した臭いになります。

汗は実は、血液の中の血しょうを使ってつくられています。血しょうの成分のうち、約9割は「水」で、本来の汗は臭わないはずなのですが、血しょうの成分のうち、残りのわずか約1割の中には、少量ですが、雑菌を寄せ付ける原因をつくる重炭酸イオンや、嫌な臭いのもとであるアンモニアなどが含まれています。

正常に働いている汗腺であれば、水以外の成分を吸収するので、汗の材料にはなりませんが、うまく働かなければ、汗の中にこれらの成分が含まれることになる、時間が経つと肌表面で雑菌が繁殖し、臭ったりベタベタしたりするそうです。

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