京野菜とは

「京野菜」は京都が産地の野菜のことを指すと思われている方が多いと思いますが、実際は、京野菜に厳密な定義はないそうです。定義付けされているものとしては、京都府が定める「京の伝統野菜」と「ブランド京野菜」があり、2つの異なる選定基準によって指定されています。

京都の風土のなかで育てられ、独自の食文化を支え、その中で発展してきた京野菜は、独特の形や色、奥深い味わいや高い栄養素を含んでいるという特徴があり、京都の食卓だけでなく、今では日本全国へ出荷されています。

京野菜が発展したのには京都の風土が大きく影響しています。豊富な地下水と鴨川によって供給される良質の水、腐植質が豊富に含まれた豊かな土、強い季節風などがない穏やかな風、そして盆地特有の冬の底冷えと夏の猛暑が対照的な気候が、優れた野菜の成育に最高の環境なんです。

また、海から遠く、新鮮な海産物が入手しにくい土地柄も、優れた野菜の改良と発展に影響したと言えますし、長い間政治経済の中心地であったことで、全国のさまざまな野菜が京都に持ち込まれたことも、京野菜の多様な品種開発につながったようです。

さらに宮中の「有職料理」、社寺の「精進料理」や茶道の「懐石料理」などの京料理を支えてきた職人の技と心が連綿と受け継がれてきたからこそ、食材となる京野菜も発展を遂げてきたと言えるでしょう。

栄養価が高い!京野菜

京野菜は、栽培に手間がかかるだけに、ビタミン・ミネラル・植物繊維などを豊富に含んでいます。またその栄養成分は、市場に出回っている一般の改良品種の標準値を大きく上回っているそうです。品種改良をせず原種に近いため、栄養価が高く旨味が濃いのも特徴。京野菜は豊富な栄養価を含む優れた野菜です。

人気の京野菜

聖護院だいこん

大きくて丸い形が特徴。苦味がなく、ほんのり甘い。長時間煮ても身が崩れないそうです。また、ビタミンCとカルシウムを豊富に含んでいます。11月から2月に旬を迎え、京都では冬の煮物料理の定番です。

九条ねぎ

九条地区で多く栽培されていたことから名付けられました。ネギのなかでも長く細いのが特徴で、緑の葉の部分は柔らかく、風味があり、ほのかな甘みがあります。栄養素としては、カロチンやビタミンBを多く含んでいます。旬は秋から冬にかけてですが、年間を通して栽培されています。

水菜

最近では特にポピュラーで、手軽でおいしく味わえる人気の京野菜です。江戸時代の書物にも記録があり、それ以前から栽培されてきたものと考えられている伝統の野菜です。葉柄が繊細で細く白いのが特徴で、葉は軟らかく、かつシャキシャキとした歯ざわりで、鍋物だけでなくサラダにも使われます。

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