日本人は、慢性的にカルシウムの摂取量が低いといわれています。日本人の約60%がカルシウム不足とされており、これまでカルシウムの標準摂取量が目標値を上回ったことがありません。

カルシウムは吸収率があまりよくない栄養素で、食物に含まれるカルシウムは4分の1から半分程度しか吸収することができず、摂取が難しいといわれています。また、若い時は食事の量が少なくてカルシウムの摂取量が足りないということはあまり考えられませんが、高齢になると小食になりカルシウムの摂取量が足りなくなってしまうことが想定されています。

カルシウム欠乏症とは

人間の体組織内にあるカルシウム(機能カルシウム)は人間が生きていくうえで必須の栄養素です。しかし、不足すれば骨中から抜き取って補充されるため、カルシウムの摂取量が不足したからといってすぐに体調不良が起こることはありません。

ただし、摂取するカルシウムの不足が続くと、骨中のカルシウムは静かに減り続け、何十年か後に骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の発症などで表面化してきます。

また、成長期の子供がカルシウムをしっかり取らないと、骨折などをしやすい、もろい骨になってしまいます。体が大きくなるにつれて骨の体積も増えますが、材料であるカルシウムが足りないために骨密度が減少し、中身がスカスカになってしまうのです

カルシウム不足が引き起こす病気とその症状

カルシウム不足によって起こる体の不調には、以下のようなものがあります。

・骨粗鬆症(こつそしょうしょう:血中のカルシウムを補うために骨からカルシウムを補充するため、骨が隙間だらけになる)

・体が十分に成長しない

・骨、歯が弱くなる(骨を作る材料が足りないため、骨密度の低い骨になる)

・神経過敏(カルシウムにはマグネシウムと協同して神経を穏やかに導く作用がある)

・高血圧、動脈硬化、尿路結石糖尿病、アルツハイマー病、変性関節症(副甲状腺ホルモンが骨中からカルシウムを抜き取って血管や脳、軟骨、細胞内などに必要以上の量を供給してしまい、余ったカルシウムが蓄積するために起こる)
カルシウム不足は、問題なく日常を過ごす裏で長期的に体をむしばんでいきます。特に成長期の子供や更年期など、摂取量が不足しがちな方は注意しましょう。

食生活のポイント

カルシウム不足にならないためにはどのような工夫が必要なのでしょうか?

前でも解説したように、カルシウムは吸収しにくいという性質があり、日本人が日常的に飲用している飲み水は軟水の場合が多いためカルシウム不足になりやすい環境にあります。

そこで試したい工夫が、カルシウムを含む食品とカルシウムの吸収を助ける食品を一緒に食べる食生活です。

カルシウムは牛乳を中心とする乳製品、豆腐などの大豆製品などが一般的ですが、この他にも青菜野菜、小魚、海藻類、ごまにも含まれています。また、マグネシウムは、納豆などの大豆製品、青菜野菜、海藻に含まれ、ビタミンDは魚類、きのこ類、卵類に含まれています。マグネシウムとカルシウムは含まれている製品も似ていますので、比較的組み合わせることが簡単です。カルシウム不足が気になる方は工夫してみてください。

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