汗は皮膚にある汗腺と呼ばれる器官から流れますが、人体には「エクリン腺」と「アポクリン腺」の2つの汗腺が存在します。
それぞれの汗腺から出る汗には違いがあります。

無色無臭の汗「エクリン腺」

全身に存在する汗腺で、特に手の平や足の裏に多く存在する汗腺です。
体温調節の為の発汗や皮膚の乾燥予防、腎機能補助といった働きがあり、気温の上昇や不安や緊張などによる交感神経の活性化、刺激物を食べた時などはこのエクリン腺から発汗されますので、多汗症によって出る汗もエクリン腺から発汗されているのです。
汗の性質としては、無色透明で尿に似た成分がわずかに含まれているものの主な成分は水分となります。汗自体に匂いはありませんが、汗のついた衣服やタオルなどをそのまま放置しておくと雑菌が繁殖して臭いを放ってしまいます。
なので、汗をかいたらすぐに拭き取り、汗のついた衣服は速やかに着替えることで汗の臭いを予防することができるのです。

ワキガ臭の原因となる「アポクリン腺」

主な働きはセックスアピール、要はフェロモンを出す汗腺といったところです。
人間にはあまりピンときませんが、動物の場合、このアポクリン腺から出る臭いによって仲間同士の確認をし合ったり、異性を惹きつけるといった働きがあります。
動物は人間よりもアポクリン腺が発達していますが、人間の場合、進化の過程でアポクリン腺が退化した為、一部分にしか残っていないと考えられています。
汗の性質としては、にごっており主な成分は水分ではあるもののたんぱく質や脂質も含まれています。臭いも独特で、その臭いが強い場合「ワキガ」となってしまうそうです。

汗は尿と同じ排泄物と思われがちですが、汗の役割は体温を下げることなので、老廃物の排泄のために分泌されているわけではありません。体温が上昇すると、汗腺は血液から赤血球、白血球、血小板を除いた「血漿(けっしょう)」という液体を汗として汲み出します。しかし、血漿にはミネラルなどの体に必要な栄養分も含まれているので、汗としてそのまま分泌してしまうと、人間は生きていくことができなくなります。そこで、汗腺は汲み出した血漿から体に必要な栄養分だけを再吸収して血液に戻し、残った水分を汗として分泌します。この再吸収がうまくできた汗は、サラサラしたよい汗になります。
ところが、長年の運動不足や冷暖房の完備により汗をかくことが少なくなると、汗腺の機能は衰えてきます。すると、栄養分の再吸収もうまくできなくなり、血漿の成分が汗に混じって出てしまうことで、ベタベタした悪い汗が出るようになるのです。また、精神性発汗のときも突発的に大量に出るので、再吸収が追いつかず、悪い汗が出ます。
汗は、皮膚から蒸発するときに熱を逃がすので、サラサラしたものであればすぐに蒸発します。しかし、悪い汗の場合は蒸発しにくく、いつまでも皮膚の表面に残ってベタベタしやすいという特徴があります。化粧くずれを起こしやすいという方は、こうした悪い汗が出ていることも考えられます。
たくさん汗が出るからといってすぐに悩まず、自分の汗がどのような種類のものなのか、よい汗なのか悪い汗なのかを見極め、それに合った対処法を探しましょう。

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