そもそもオルニチンとは?

「オルニチン」は、肝臓で活躍するアミノ酸のこと。
もともとヒトの体の中に存在するアミノ酸で、血液に溶け込んだ状態で体内を巡っていますが、肝臓では有害物質であるアンモニアの「解毒」を担っています。

アンモニアは生命活動のエネルギー<ATP>の産生や、脳を動かすエネルギー<グルコース>の生成を妨げる物質です。
オルニチンはそうしたアンモニアの解毒を助けることにより、スムーズなエネルギー産生にも貢献していると考えられています。
また、「肝臓に良い食材」として認知度が高いシジミは、オルニチンの含有量が飛び抜けており、その効果のカギこそがオルニチンであると考えられているのです。

協和発酵バイオ・学術研究企画室の西村明仁さんにインタビュー

「オルニチン=シジミに多い=二日酔いに効く」が一般的なイメージですが、疲労感にも効果があるのは驚きです。

西村:私たちが生活するなかで、必ず体内にはアンモニアが発生します。アンモニアは食事の残りカスやストレス、激しい運動によって発生しますが、エネルギーの産生をストップさせる疲労物質でもあるのです。肝臓はこのアンモニアを解毒し無害な尿素に変えて、体外に出す働きを持っています。

ーーなるほど。

西村:そして肝臓内で実際にアンモニアを処理するのが、オルニチンというアミノ酸なのです。

ーーつまりオルニチンは、お酒を飲む、飲まないに関わらず、アンモニアの解毒を促進することで疲労感を軽減されるということですね。

西村:はい。アンモニア自体は体内のタンパク質合成にも役立つので体にとって必要ですが、食べ過ぎ飲み過ぎや運動不足などで肝臓が弱り、量が増えると肝臓が処理しきれなくなってしまいます。その結果として疲労につながるのです。

疲労回復や軽減にはオルニチンは欠かせないということですね。疲労へのアプローチとして実際にはどのような実験を行ったのですか?

西村:20〜45歳のオフィスワーカー男女20名を、オルニチン400mgあるいはプラセボ(偽薬)を毎日摂取するグループに分け、実施期間の8週間、毎週アンケート調査を実施しました。もちろん被験者にはどちらを摂ったかは知らせていません。

ーーその被験者の条件はどういったものですか?

西村:2日に1回以上の飲酒習慣があること、健康診断の肝臓検査値が高め、それに事前のアンケートで疲労スコアが高い方々です。この実験の試験方法は、起床時に睡眠の質を問う「OSA睡眠調査票」というアンケート調査です。

睡眠から疲労の度合いを出したのですか?

西村:はい。睡眠と疲労は密接な関係を持っています。「OSA睡眠調査票」は、「疲労の自覚症状」を評価する項目もあり、そちらを用いてオルニチン効果を評価しました。実験では、4週間を過ぎたあたりでオルニチンを摂取したグループに明確な改善が見られました。

40代からはさらに明確な調査結果が!

確かにプラセボに対して明確に差が出ていますね。それにしても、「40歳からガタがくる」なんて言葉があるように、年齢にとっても差がありそうな気がします。

西村:そうですね。20〜30代と同じ感覚で生活していたら、次々に不調が起きて…との話もよく聞きます。そこで40歳以上の「勤労者」で、「アンケートで日頃から疲れを自覚していると答えた人」男女52名を対象に、これも先ほどの「OSA睡眠調査票」に加え、ストレス時に分泌される血清DHEA-S/血清コルチゾール値を測定しました。2グループに分かれ、8週間オルニチン400mgあるいはプラセボを毎日摂取するのは同様ですね。

どのような結果になったのでしょう?

西村:オルニチンを摂取したグループは、プラセボに対して有意な睡眠改善効果や気分を落ち着かせる効果があることが確認できました。また、ストレスマーカーである血清コルチゾール分泌量が低下し、血清DHEA-S/血清コルチゾール比は上昇傾向を示しました。

アンケートはどうだったのでしょうか?

西村:「入眠と睡眠維持」や「睡眠時間」などで、大きな改善が見られますね。このことから、オルニチンは蓄積するストレスを軽減し、睡眠の質をあげ、気分を落ち着かせる効果があると考えられます。そしてこの結果は疲労回復につながると考えられます。
確かに疲労感の軽減は、朝のスッキリとした目覚めにつながりますね!

西村:疲労の原因というのは、 “これ!”という単純なものではなく、様々な要因が重なった結果で生まれます。その点、オルニチンはアンモニアの処理能力の向上や睡眠の質をあげるなど、多くに作用するため、1年を無事に終えてどっと疲れがくる時期には効果的ではないでしょうか。

この時期に昨年の疲れを持ち越したくないですね。気持ちよく新年を迎えたいものです。また、この時期は新年会が続いたりと、何かと生活習慣が乱れやすかったりもしますね。

西村:そうですね。肝臓はアルコールを分解する重要な役割も担っています。こちらも試験を行ったところ、プラセボとくらべて、オルニチンを摂ったグループが血液検査でALT、AST、γGTPといった肝臓の検査数値が下がり、肝機能の改善が認められる被験者が多数いました。

肝臓は臓器のなかで代謝や解毒を担当するなど、人が生きていくうえでとても重要な臓器です。多角的に肝臓をケアするオルニチンはこの記事にこそ取っておきたいですね!

激務の1年を終え、ついつい暴飲暴食になってしまいがちなこの時期。
いくら寝ても疲れが取れない場合などは、オルニチンで肝臓ケアを始めてみましょう。
日頃のメンテナンスが元気の源です!

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