最近、「α-リポ酸 (α-Lipoic acid) が体脂肪を減らす」との報道に伴って、α-リポ酸を配合して痩身効果をうたった健康食品が急増していますね。私も気になったので見てみます。そもそもα-リポ酸とは何なのでしょうか?

α-リポ酸とは

α-リポ酸はチオクト酸(Thioctic acid)とも呼ばれる物質で、牛・豚の肝臓、心臓、腎臓に含まれており、また、ほうれん草、トマト、ブロッコリーなどにも含まれているそうです。ただし、その量は多くなく、動物由来食品で1kgあたり1mg程度といわれています。文献によってはα-リポ酸をビタミンと記載しているものもありますが、α-リポ酸はビタミンではなく、ビタミン様物質として扱われています。ちなみに、ビタミンの定義は、「微量で体内の代謝に重要な働きをしているにもかかわらず、人間の体ではつくることができない、あるいはつくることができても量的に不十分であるため、食べ物などから摂取しなくてはならない化合物」です。

α-リポ酸の効果とは

医薬品の適応は激しい肉体疲労時とされています。そのため、健康食品でも品質のしっかりした製品を利用すれば、運動後の疲労回復効果が期待できるかもしれません。一方、ダイエット効果に関しては、現時点では、根拠となるデータはありません。しかしながら、運動後の疲労回復効果により、すっきりすることで、次の運動を頑張れるという点では、ダイエット効果があるかもしれません。残念ながらα-リポ酸を摂取すれば、それだけで体重が減るということはないそうです。というのも、肥満や体重減少、エネルギー消費量増大に対する影響についての論文は、そのほとんどが動物試験あるいは試験管内実験のレベルというのが理由のようです。

注意点

インスリン自己免疫症候群(Insulin Autoimmune Syndrome:IAS)による低血糖発作です。インスリン自己免疫症候群とは、α-リポ酸などのSH基を持った薬物を摂取することにより、自身のインスリンに対する抗体を作ってしまい、本来、厳密に調整されているインスリンの作用を乱し、低血糖を起こさせてしまうというものです。このインスリン自己免疫症候群は遺伝的素因が影響するため、日本人では、α-リポ酸によるインスリン自己免疫症候群の発症が多いことが報告されています。めまい、動悸どうき、発汗、手指の震えなどを感じたら、すぐに摂取をやめ、医療機関を受診するようにしてください。また、α-リポ酸は血糖低下薬と併用すると、その作用を増強し、低血糖を起こす可能性がありますので、血糖低下薬との併用を避けてください。それ以外のお薬と相互作用を起こすかどうかは分かっていませんので、基本的には併用しないことをお勧めします。もし併用する場合には、医師・薬剤師に相談した上で利用するようにしましょう。いろんなサプリが世の中には出回っていますが、病院にかかっている方には特に、成分表を持って医師に相談の上、使用するのが重要だと私は考えます。

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