<研究背景>

PC・スマートフォン等のデジタル依存、複雑な人間関係など、現代社会の日常にはあらゆるストレスがあふれている中、今年4月には働き方改革関連法が本格的に施行され、職場においては生産性の向上が求められています。

ストレスを解消する商品やサービスも続々登場している中、従来から日本において、日常的な飲料として親しまれてきたお茶に着目すると、中でも、ほうじ茶の香りについてはすでに生理学的なリラックス効果が認められていることがわかっています。

そこで今回は、お茶を飲用した場合に与える心理学的な効果や脳機能への効果を、ほうじ茶と緑茶という代表的なお茶について、それぞれ一番茶を用いて評価をし、両者の特徴を明らかにすることにしました。


心理学評価にはVAS法というアンケート調査を用い、脳機能の評価には脳波測定を用いました。

両者の結果を詳細に分析するとともに、心理学的な効果とその背景となる脳機能への影響との関連を検討しました。

今回の研究は株式会社伊藤園、杏林大学 古賀良彦名誉教授、十文字学園女子大学 小長井ちづる准教授の協力を得て脳波測定を実施しております。

1.アンケート調査(心理学評価)【調査方法】

・対   象:一都三県に在住する健康な右手利きの20~44歳の男女109名
・調査実施日:2019年2月23日(土)
・調査方法 :ほうじ茶※2と緑茶※2を被験者にはブラインド法※3で飲用させた直後、アンケートによる調査(VAS法※4)を実施
・調査内容 :飲用後の気分ならびに各飲料の味および香りに関する評価。
合計20項目

・調査項目:
1.リラックス・緊張/2.快・不快/3.懐かしい・新しい/4.積極的な・消極的な/5.すっきりとした・すっきりとしない
6.気持ちの良い/7.精神的疲労感/8.ストレス感/9.嫌悪/10.意欲
11.イライラする/12.当惑/13.ほっとする/14.おだやかな/15.わやかな
16.集中力/17.親しみ/18.うまみ/19.香ばしい・香ばしくない/20.おいしい・おいしくない

※2 ほうじ茶、緑茶はともに一番茶を使用。
※3 ブラインド法とは・・・どちらの飲料かを被験者には伝えずに調査を実施すること。
※4 VAS(visual analog scale)法とは・・・VAS 法とは長さ 10cm の黒い線分の左右に対称的な語句を配し、気分や飲料に対する評価を線分上にチェックさせ、その数値を測定するもの。

【調査結果】

<ほうじ茶が緑茶より評価が高かった項目>

リラックス、快、新しい、気持ちの良い、ストレス感が少ない、ほっとする、集中力が高い、香ばしさが強い、おいしい

<緑茶がほうじ茶より評価が高かった項目>

積極的な、すっきりとした、精神的疲労感が少ない、嫌悪が少ない、イライラが少ない、当惑が少ない、おだやかな、さわやかな、親しみ、うまみ

ほうじ茶と緑茶の飲用後にアンケート調査を行ったところ、それぞれの飲料において上記の項目で上回った結果となりました。

中でもストレス感の項目については、ほうじ茶は緑茶と比較し低い結果となり、統計的な有意差(明らかな差)がみられました。

また、飲用後の集中力を問う項目でも、ほうじ茶が緑茶を上回った結果から、ストレス感と集中力には関連性があるのかもしれません。

一方で、緑茶の飲用後はほうじ茶と比較し、積極性やすっきり感が高く、精神的な疲れが低いという結果がみられました。

これらの結果から、ほうじ茶にはリラックス効果があり、緑茶は積極性に表現されるような前向きな気持ちを喚起する作用があるという両者の特徴がわかりました。

また、味覚に関する項目については、ほうじ茶では「おいしい」、「香ばしい」、緑茶では「さわやか」、「うまみ」とそれぞれ異なる表現で好ましい印象をもっているということが示されました。

2.脳波測定【測定方法】

・対象:アンケート調査に参加した者のうち、20~24歳、25~29歳、30~34歳、35~39歳、40~44歳の各年齢層の男女1名ずつ、計10名を抽出(内、有効データの得られた被験者は8名)。

・脳波測定機:携帯型多用途生体アンプ ポリメイトV((株)ミユキ技研)
・電   極:脳波キャップ式電極 ウェーブガード(eemagine Medical Imaging Solutions GmbH)

・試料:55°Cのほうじ茶、緑茶、およびミネラルウォーター各100mL

・測定方法:頭部19部位から、それぞれの試料を飲用した直後の聴覚弁別課題遂行中の脳波を測定。

・聴覚弁別課題:高低2種類の純音(2,000Hz、1,000Hz)を2,000±250msecおきにランダム順に呈示。
被験者には2,000Hzの純音に対し、直ちに右手第1指でボタンを押すように指示。

・脳波解析:刺激呈示前100msより呈示後900msまでの区間の脳波20~30試行を平均加算し、事象関連電位波形を求め、P300波形の頂点潜時を測定。

【測定結果】

脳波測定から、ほうじ茶では、集中力の指標となる脳波P300が早くピークに達するという結果が得られました。

P300は集中力が高まり認知能力が向上すると、ピークに達する時間が短くなります。

よってこの結果からは、ほうじ茶には集中力を高めるばかりでなく、緑茶や水と比べて認知能力を向上させるはたらきが高いという可能性が示されました。

<杏林大学 古賀良彦名誉教授 コメント>

ほうじ茶と緑茶という我が国で最も好んで用いられる飲料の効果について、心理的ならびに脳波による精神生理学的な評価を行いました。

尚、試料には香りと味の両者の特徴が最も際立つ一番茶を用いました。

その結果、アンケート調査からは、ほうじ茶を飲用した際は緑茶と比較し、緊張がほぐれてリラックスすることでストレス感が軽減し、それに伴いほっとして心地よさを得られるという傾向がみられました。

さらに、脳波実験からは、ほうじ茶はほどよいリラックス効果をもたらすばかりでなく、集中力を高めることが生理学的にも示されました。

ここで注目すべきは、リラックス作用といってもそれは「適度なくつろぎがもたらされる」ということであり、「眠気を生じさせる」ということではない点です。
つまり、ほうじ茶は眠気を伴うゆったりした感じとは異なり、脳の機能が十分に発揮できるような、ほどよいリラックス状態をもたらす働きがあるといえます。

ほうじ茶という日常的に好んでよく飲まれる飲料が、このような脳機能を高める効果をもつということは、とても興味深い結果です。

なお、アンケート調査からは、ほうじ茶は緑茶よりも集中力を高め、かつストレスを軽減するという結果も得られています。
脳機能としてほうじ茶が認知能力を向上させるというデータは、そのような
心理的効果の裏付けとなるものでしょう。

また、ほうじ茶の「香り」についてもすでに生理学的にはリラックス効果が示されています。

さらに今回明らかになった、飲用後にストレス感がやわらぎ心地よさが得られる効果があることからも、ほうじ茶には、ストレス社会に暮らす現代人にしあわせ感をもたらす働きがあると言ってもよいでしょう。

一方、緑茶は気分をすっきりさせ、積極性を向上させるという、ほうじ茶とはまた異なった効果があることもわかりました。

働き方改革が積極的に進められる中で、両者の飲料を状況に応じて飲み分けると、ストレス軽減とともに、仕事の能率向上に貢献すると考えられます。

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