●菌意識の高さと除菌実態にギャップ

(図1)【家の中で菌が気になる場所と除菌している場所】

(図1)【家の中で菌が気になる場所と除菌している場所】

近年、生活者の衛生意識は高まっており、20~60代既婚女性を対象に調査したところ、「住まいの菌が気になる」と89%の方が回答し、10年前に比べ1.5倍に増加していました。(2018年7月花王調べ)

「家の中で菌が気になる場所」として、まな板やキッチンの調理台といった食品を扱う場所は約7割、トイレは約6割の人が挙げており、家の中の広範囲にわたっていました。

特に、小さい子ども(未就学児)がいる家庭では、多くの箇所において、より菌意識が高い傾向がみられます。
とりわけ、食卓、ダイニング床など、小さい子どもの手が触れる場所については、調査対象者全体と比べて約10%も高い結果となりました。

さらに、それぞれの場所を除菌しているかどうかを確認したところ、菌が気になっている割合と実際に除菌している割合の差が大きいところが多くみられました(図1)。

(表1)【除菌していない理由】

(表1)【除菌していない理由】

「除菌していない理由」としては、「菌を気にしてもキリがない」「面倒」の他に、「やり方がわからない」「どんな洗剤が有効かわからない」といった声も聞かれました(表1)。

●菌数・菌叢解析からみる菌汚染実態~住まいの菌実態調査~

(図 2)【住まいの菌汚染実態(イメージ図)】

(図 2)【住まいの菌汚染実態(イメージ図)】

家庭内のどこにどのくらいの数の菌が付着しているかを調べるため、拭き取り検査を実施しました。

その結果、キッチンスポンジ(掃除用)はほとんどの家庭で菌数が多く、台ふきんはキッチンの排水口とほぼ同レベル、調理台や食卓、ダイニングの床は、トイレの床と同レベルの菌汚染状態であることが確認されました。

また、キッチンの排水口だけでなく、約3~7℃に保たれている冷蔵庫の野菜室からも、食中毒原因菌を含むことで衛生指標菌とされる菌群(腸内細菌科)が他の場所に比べて多く検出されました(図2)。

野菜室の菌の種類を詳細に解析したところ、腸内細菌科は、土壌や植物に生息することが知られる菌種と一緒に検出される傾向が見られ、このことから、腸内細菌科は土に由来する可能性が考えられました。

●除菌のコツ:除菌表示のある製品で、まんべんなく拭く

住まいの菌実態調査をもとに、菌数が少ない家庭、多い家庭について、普段、除菌のためにどのようなお手入れをしているのかを調査しました。

その結果、除菌行動に異なる傾向がみられました。
食卓のお手入れについては、「除菌したい」という意識は共通ですが、菌数が少ない家庭は、除菌表示のあるスプレーや使い捨てシートを使用している家庭が多く、拭き方も全体をしっかり拭き掃除しているのに対し、菌数が多い家庭では、台ふきんで水拭きをしている家庭が多く、アルコールスプレーを使っていても拭き方にムラがあるなどの違いがみられました。

除菌のコツは、除菌表示のある製品を選び、拭き残しがないように手のひら全体を使い、まんべんなく拭くことだといえます。

また、食材や手を介して菌が口に入る可能性のある場所である、食卓や調理台、衛生指標菌が高頻度で検出された冷蔵庫の野菜室は、意識して除菌する必要があると考えられます。

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